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勉強机と僕

作者: 市原 秋


7月15日22時31分


「さて、勉強でもしようかな」


なんて言って、勉強机につく。

机の上に勉強するスペースなんてない。

マンガや辞書、訳の分からないノート、教科書、衣類・・・などなどが散乱してるから。

そんな机を見て、僕はベットに潜り込んだ。

仰向けになり大の字になって目を閉じる。

そして深く息を吸う。

カッと目を開き、頬をたたく。


気合いが入った。


僕はベットから離れ、机に戻る。目の前に広がる机の上にいる敵と戦うことを決めたのだ。

とりあえず、ゴミを捨てよう。

・・・・・・・・・・・・・・・

辞書やマンガの下から懐かしい写真やいろんなものが出てきた。

僕はなんのために写真なんか持ってきたのだろう?

・・・・・・・・・・・・・・・

なんやかんやで一時間かけて机の上は綺麗になった。

さっき見つかった写真をアルバムに戻したら勉強をするかな・・・。



アルバムを開く。そこには幼い頃の僕がたくさん居た。

懐かしく想いながら、ページをめくる。

最後のページを開き,写真を納めようとしたときふとその上の写真が目にとまった。

それは、勉強机を買ってもらって自分の部屋に置かれた直後に撮られた写真だ。


誇らしげな僕。

優しい微笑みを浮かべる母。

力こぶを自慢する父。

そして・・・

傷一つないピカピカの僕の机。


初めて買って貰った高価なもの。

僕だけのもの。

毎日ここで勉強をしよう。

大切に傷をつけずに使おうと誓った。


そんな気持ちはいつしか消え、今僕の机は使われることなく物置場となり傷だらけである。

何十年間もあるとそこにそれがあるのは当たり前で、大切に使うという気持ちは薄れていく。



・・・申し訳ないと思った。

父に。

母に。

そして机に。



父も母も物置場として机を買ってくれた訳じゃない。

机だって、物置場として作られたわけじゃない。



これからは、大切に使おう。

今までの償いとして。

勉強机の存在を大切にしよう。


7月16日24時08分

僕はやっと落ち着いて勉強机に着席した。


24時09分

勉強机から離れ、電気を消しベットに入る。


「明日から真面目にしよう!おやすみ、勉強机」

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