ウォーリー
議場にて
勝って負けたのだったか、負けて勝ったのだったか、いやいや、負けは勝ちだったんです。といったところで議論が白熱している。議長は総ページ数300枚に及ぶ白書を読み上げている。しかし、その実左手には〝ウォーリーを探せ〟が握られているのを隠している。隠された〝ウォーリーを探せ〟は50ページにわたりイラストが描かれているが、全てのページにはウォーリーが1人のみ描かれており、背景等は一切無い。さらに全ページ同じウォーリーが印刷されており、どのページを開いても同じ絵柄のウォーリーが立ち尽くしているいわば金太郎飴的な内容となっている。一方、300ページにわたる白書こと議案書はその全ての文章に於いて〝白夜に大根〟とサンスクリット語で書かれている。「誰かァ、この文ぢを読めヱる者はぁ居りませぬか!」その文字がサンスクリット語である事に気づく者はいない。議題は徐々に議長の左手に集中していく。議長はそれをひた隠し、〝白夜に大根〟を解こうとしている。議員がひとり、文脈とは各々の諸現象に魂を吹き込む詐欺だったのですね、と口走り、議長が真っ二つに割れる。雲ひとつない場内に徐々にウォーリーが広がり始める。それもその筈、なんと議場は屋内だったのだ!だから雲ひとつない訳です。そもそもに於いて、ウォーリーとは存在する具現の無価値的象徴であったのであって、彼が何もウォーリーである必要はなかった。むしろ、あなた方がウォーリーである必要性があった。それだからなのです。真っ二つに割れる訳だったのは。どのウォーリーも〝シェー〟に似た、しかし眼には白雲木の花をあしらわれた出で立ちで描かれている。その口元は謎の笑いを浮かべています。
議長とは何かの象徴であり得るか




