第八話
広沢さんが私の話しに食いつき、同行した理由が解った気がする。
翌朝、広沢さんと待ち合わせて、敬一のもとを尋ねた。私は みっつの星を、広沢さんはペンダントを持って。。。
敬一の反応が心配だったが、意外にも落ち着いた様子で私たちを受け入れた。
広沢さんの話しを じっと聞いている敬一。
説明が終わった。
「他の人間が聞いたら笑われて相手にしないんだろうな。でも あれ以来、何かに呪われたような俺の人生を振り返ると、出来ることなら、あの時に、あのお化け屋敷に行く前に戻りたい。やり直したいと思う。駄目もとで、何か方法があれば、それに賭けてみたい。」
広沢さんは、敬一に赤いペンダントを見せた。私もみっつの星を見せた。
「青い星は 敬一、お前の星だよ。これは僕の推測だけど、敬一が ずっと悩み、隠し続けた秘密。敬一が本来持ってた心のパワーの一部が、この星に閉じ込められてしまったんじゃないかと思う。
明日、敬一が あのビルの世界で清に会う時、清に赤い星を渡してほしい。」
広沢さんも話しを付け加えた。
「その時、清君に聞いてほしい。美奈という21歳の女性が、そちらの世界にいないかと。いたら このペンダントを渡してほしいと。」
「わかった。預かるよ。」
敬一は 素直に清の星と、広沢さんから託されたペンダントを受け取った。
私と広沢さんは 敬一の部屋をあとにし、電車に乗った。
「広沢さん、今朝から気になることがあるんです。」
どうしても心配なことを確認したかった。
「もし、清や広沢さんの恋人がもとの世界、もとの時間に戻り、やり直しができるようになったとしたら、それからあとの未来が変わってしまうんじゃないんですか?」
「そうなんだよ。今 俺やお前の人生にも影響され、違う人生に塗り替えられるはずだよ。それが今より良い人生だと信じたいけどな。」
やはり そうなんだ。何らかの影響は必ず受けるはず。。
「それとな。。。この体験をした記憶も無くなるんだ。当たり前のことだけどな。」
これまでの記憶も塗り替えられてしまう。確かにそうだ。
「俺とお前が もしかすると出会っていない、なんて未来になってるかもな。でもなあ、俺は必ず、この選択に間違いはないと信じてる。そう信じようぜ。お前の持っていた三つの星、俺が大切にしていたペンダントに未来を変えるパワーがあるはずだということも。」