第六話
あさって、ここに敬一が来る前に、すべてを理解させなければ 敬一は自殺してしまう。切迫された気持ちのなかで、別の疑問があった。
「ひとつ聞きたいんだけど、あなたや清が ここに来た時の時間は、二つの世界が繋がってたんですよね?だったら そのポイントに行けば、もとの世界に帰ることが出来るんじゃないですか?」
「私たちにも よく解らないんです。ただ そこに行っても 何かのパワーが足らないような気がして、戻れないんです。」
私は 敬一の住所を教えてもらい、もとの世界に戻った。
時間がない。
なんとかしなくては。
兄貴のような存在である会社の上司。趣味でミステリー同好会を主催するほど、SF的なことに詳しく、興味のある人物だ。
この人なら 理解してくれるかもしれない。
相談に乗ってもらおう。
きょうまでの不思議な出来事を上司の広沢さんに話した。
信じてもらえるのだろうか。。。
広沢さんは、そんな不安など、必要ないほどの食いつきを見せてくれた。
「敬一君という友人を納得させるには時間がないぞ。ファーストコンタクトで相手が拒絶でもしたら、間に合わないかもしれない。今からでも会いに行くべきだと思うぞ。」
広沢さんは、クライアント先から直帰というかたちにしてくれた。
「みんな、俺も同行するからな。大切なクライアントだからさあ。あとは頼んだぞ。」
広沢さんが付いてくるとは思わなかった。でも心強いけど。
敬一の住居は、もと住んでいた市から電車で30分ほど郊外に向かった場所だった。
「もし、留守だったら、帰ってくるまで待つぞ」
広沢さんは 私以上に、積極的に向き合ってくれていた。
恐る恐る コーポの2階の一室に近づく。
ドアをノックしてみた。
反応はなかった。