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03



「浮かない顔をしてどうしました、お姫様?」

 翌日、未だ悩みに囚われていた私に王子様役をやるかおるちゃんが声を掛けてくれた。

 薫ちゃんは高校に入って一番に出来たお友達で、背が高くて中性的な容姿をしている。王子役もクジで決めたんだけど、疑問の残る私の主役に対し薫ちゃんの王子様はぴったりだ。

「実は……」

 薫ちゃんにはよく“お兄ちゃん”の話しをしていたこともあって、縋るように昨日の出来事を打ち明けた。すると−−−−

「あぁ。じゃあ、あれはもしかして噂の“お兄ちゃん”?」

「えっ?」

 クールに窓の外を示す薫ちゃんに釣られてそちらを向くと、確かに校門に見知った男性が立っている。今しがた話していた航生くん本人だ。

「ど、どうしよう……」

 彼の気持ちや動向は気になるものの、恥ずかしくて顔を合わせる気持ちになれない。窓から身を隠し、再び薫ちゃんに縋る。

 でも、彼女は今日もクールだった。

「カナの話を聞いただけじゃ、ウチにお兄さんの気持ちはわからないよ。だから、気になるなら逃げずに体当たりして来な」

 鞄を渡されて教室の外へ放り出される。本番も近いというのに、薫ちゃんには今日は練習する気はないみたい。でも今練習したって上の空になるのは目に見えているから、私も素直に背中を押されておいた。

 靴を履き替えて校門で佇む航生くんのもとへ走る。

「お兄ちゃん!」

 その呼び方に彼は一瞬眉を顰めたけど、懸命に走る私を見るとすぐにニコッと微笑んでくれる。

「奏」

 名前を呼んで、両腕を広げてくれる。いつもと変わらない彼なのに、告白されて意識し始めただけで、それが妙に嬉しいと感じてしまうのだから乙女心っていうのは不思議なものだ。

「訊きたいことがあるの」

 マユちゃんが相手でも、航生くんが相手でもこのポーズを見せてくれれば、いつもの私なら迷わずその胸に飛び込む、んだけど……今日はそうしないで、航生くんの正面で立ち止まって見詰めた。

 昨日までとは明らかに違う反応に航生くんは一瞬がっかりしたみたいだけど、すぐに笑顔に戻って「何?」と促してくれる。その優しさに甘えて、私は言葉を切り出す。

「私と……マユちゃんのこと、どう思っている?」

「マユ?」

 首を傾げる航生くんにコクリと頷く。

 昨日、マユちゃんは“航生くんが好きなんて嘘だ”って言っていた。でも、私はそうは思えない。絶対絶対マユちゃんは本気だった。本気で航生くんが好きだった、はず。

 私なんて、昨日告白されるまで、航生くんを“男の人”と認識していたことなんてないのに……。

 単純な乙女心ははじめての告白に舞い上がり、航生くんを前にドキドキ悲鳴を上げている。でも、まだ本当に好きかなんて分からない。それにマユちゃんの気持ちも、航生くんの気持ちも。本当のところ、私には分からない。

 だから、知りたいの。私は、二人のことが大好きだから……。

 ずっと三人仲良しでいたいから……。





 ども、可嵐です。

 もっと甘酸っぱさが欲しい今日この頃。修羅場にもならなければ、甘ったるくもならない。もっと「恋愛」というカテゴリに沿うように協力して欲しいものです←

 さてさて次回、航生くんの想いやいかに!(現在ノープランです)


 お付き合いありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


  可嵐


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