第二十二話 作戦会議のお話
誤字脱字等あると思いますが、楽しんでいただければ幸いです。
「それじゃあ、まず確認したいことがある」
お互い羊皮紙の契約書にサインをした後、俺はまずエリーナが言っていたことの詳細を確認することにした。
「確認したいことは2つ、“自治州の現状”と“俺たちの当面の敵となる他の議員たちの動向”だ。
まずは、自治州の現状だ。
帝国から調査団が来るって言ってたが、それは何時頃になりそうなんだ?」
まず、一番頭が痛い問題について確認する…帝国からの調査団、それが実質の自治州のタイムリミットになるかも知れないのだ。
「ええと、あと2か月って言ったところかな…
父が、何とか日にちを遅らせて、議員たちを説得しようとしたから、日付だけは余裕あると思うよ」
と、自分は何も動いていないくせに、なぜか自信たっぷりに言い放つエリーナ。
正直言って、エリーナの希望を叶える期間としては2か月は正直少なすぎる期間だった。
「いや、正直そこまで時間があるとは言えない。
お前の希望も叶えるが、だとしても帝国の調査団の受け入れは大きな難関の一つだ。
まあ、多少の期間があることは分かった。
それと、その前に絶対に解決しておかなければならないことがある。
お前以外の老害をどうにかしないとな…獅子身中の虫とはいかないが、俺たちの立場でさらに内部に敵までいるなんて正直絶望的だからな」
そこまで言って俺は確認したかったもう一つの事についてエリーナに尋ねることにした。
この質問いかんによっては、今の状況でもだいぶ楽になるはずだ。
「どうして、レグルニアと他の議員たちがつながっていることが分かったんだ?
はっきり言ってお前がそこまで頭が回るとは思えないんだが…」
はっきりと、言ってしまったがこれは重要なことなのだ。
もし物的証拠がどこかに会ってそれをエリーナ自身が持ち出すことができれば、それだけで議員たちをこの自治州から追い出すことができる。
それは彼女の“願い”に一歩近づくのだ。
「うん、父が生前お世話になっていた方がいるんだけど、その人が教えてくれたんだ。
“彼らはレグルニアと通じているから気をつけろ”って…」
「なるほどな。
そのお世話になった奴が誰かは分からないが…使えるな。
で、そこからお前なりに“裏”を取るために調べたんだろ?
何か物的証拠は出てきたのか?」
俺の言葉に最初はきょとんとしていたエリーナだったが、“裏”の意味を理解したらしく首を横に振った。
「え?
証拠なんてないよ。
その人から聞いただけだし…」
モゴモゴと口ごもるエリーナに対し、俺は頭を抱えた。
「まあ、あんまり期待してなかったけどな。
もし、物的証拠があれば議員たちを物理的に追い詰めるいい機会になったんだが…
本人に聞いてみるしかないな…
ちなみに、その父親が生前世話になった奴っていうのは、どこに住んでるんだ?」
まあ、エリーナ自身にはあまり期待をしているわけじゃないからいいんだが、人から教えてもらったのなら逆に考えればそいつなら物的証拠を持っている可能性があるってことだ。
それはそれで、まだ希望はついえてない。
「うん…ええーと…その人、自治州には住んでないんだ…」
妙に歯切れが悪いエリーナに俺は、適度に相槌を打って話を続ける。
今は何よりも証拠が必要なのだ。
「ふーん。
ってことは、ここから結構遠いのか?
そいつに話して議員たちの物的証拠をなんとしてもつかまなければ、お前の目標には到底追いつかないぞ?」
「で、でも無理だよ。
その人今、レグルニアにいるんだ…
それに、元貴族だし…」
レグルニアに住んでいるということを聞いて俺は少し肩を落とす。
だが、エリーナがぼそっとつぶやいた、“元貴族”と言う単語に俺は嫌な予感がした。
「あーわかった。
そいつが住んでいる場所がレグルニアってことが分かっただけで十分だ。
それ以上は聞かないよ。
だが、そうするとますます蹴落としにくいな…」
別に他人かもしれないが、ここで関われば俺が死んだことが無意味になりかねない。
だから、あえて名前は聞かない。
とりあえず、そのルートはあきらめて、別の方法を模索しなければならない。
そう考えて下を見ると、円卓に先ほど書いた契約書が二つ並べておいてあった。
やってやれない事は手だが、失敗する可能性の方が高いかもな…
目の前の羊皮紙に俺は一つの手を考えた。




