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王都の生活と人助け

ーー 新しき屋敷


1週間後、商会の案内で購入した屋敷に案内された。

「これが俺たちの屋敷か!」

驚く父ドライ、それもそのはず屋敷は豪邸であった。

既に使用人も働いているようで、玄関を開けると5人ほどの使用人が並んで迎えてくれた。

「こちらがドライ様一家です、長兄のフライ様が学園に通われることとなり家をご購入されました。その後も次兄のシフト様が学園に通われる予定ですのでしっかり働いてくださいね。」

と使用人達にドライ一家を紹介し、屋敷内を案内する担当者。

ドライとシフトが王都に滞在するのは学園の入学式まで、後1月の期間がある。

屋敷は住み込みの使用人用の部屋もあり、フライが1人で住むことも問題ないようだ。


次の日屋敷で目覚めた3人は、料理人が作った朝食を食べて不思議な感覚を覚えていた。

そんなところに商会の副支配人が現れて

「本日はシフト様に御用がありお尋ねしました。」

と要件を切り出した。

どうやらシフトがいる間に馬車の揺れを防止するカラクリが知りたいようだ。

シフトは

「やってみたいアイデアはいくつもありますが、揺れだけであれば1週間もあれば大丈夫ですよ。」

と請け負っていた。



ーー これでもか、と言う技術と魔法化。


ここは家を購入したイエルマ商会の工房、今シフトが案内されて来ている。

「ここは馬車などを製作、整備する工房です。」

案内人の店員がここで働く工房長にシフトを紹介していた。

「このガキが本当にあれを考えて作ったと言うのか?」

信じられないと言う感じの工房長。

「・・・帰りましょうか、僕の技術を覚える気がないようですので。」

と言い残しその場から帰ろうとするシフト。

その様子を少し離れたところから見ていた副支配人のセンス。

「工房長、貴方はあの馬車の防振装置を再現できるのですか?出来もしないのにそれの発明者を年若いと言うだけで信じないのですか?」

とたしなめれば、バツの悪い顔をした工房長が出て行こうとしているシフトを追いかけて

「済まない。俺が悪かった、あんなすごい機構を考えたのが子供と知って・・・すまねえ、この通りだ教えてくれ。」

と頭を下げたのだった。

それを見たシフトは

「いいでしょう。いくらでもアイデアはあるんです、開発を始めますよ。」

と言うと工房の設計の机に座りマジックバッグから取り出した紙を広げた。

「さあ、工房長どれが欲しいんですか?」

と言いながら一つ一つ説明しながら工房長と話し合いを続けだした。


暫くすると工房長が

「本当にこれだけの機能がこれで再現できるのか?これが大量生産できれば馬車の常識が変わる。イエルマ商会の馬車しか走らなくなるぜ。」

と興奮していた。


期間内にシフトがイエルマ商会の工房長に伝授できた機構は、

・タイヤ〜スライムゴムを開発して車輪の外側に巻いて衝撃を吸収する。

・サスペンション〜車輪を支える機構で上下運動の揺れを緩和する。

・四輪独立懸架〜四輪が独立して路面の高低を最小限に伝える機構

今後伝える可能性のある機構

・車体軽減魔法

・車内拡張空間魔法

これについては、現在付与できる魔法師がごく僅かと限られているので魔道具作製に依存するか魔法陣化が必要である。

この世界には魔法陣化と言う技術はまだ確立されていない。


創造魔法が中級になった。

創造魔法で造ったのがサスペンション用の板バネとスプリング、それと横揺れを防ぐダンパーと回転軸のベアリングだ。

この世界にはない機構や形の部品である事から見本として解体用にも何個か提出して研究してもらった。


簡単な機構や部品なら体半の物が作れるようになったシフトは、銃器を作り始めた。

ここで言う簡単な機構とは電子部品のような精密機器以外という意味であるが、この世界では十分に精密機械と見えたようだ。

創造魔法の利点は素材と機構の理解があれば創り出せるという事だ。

それを見本としてこの世界の職人に造らせればある程度のものは作れる。

それは魔法という方法があるからだ。

魔法のスキルに錬金術というものがあり、素材と機構が分かれば作れるのだ。

しかし残念なことに外側のみを真似しても機構の効果や働きが同じになるとは言えないことだ。

それがあるためにシフトがその原理や働きを指導教養した職人でなければ、同じ物は作れないため完璧な模倣はできない。

技術の流失は最小限度になるという訳だ。


空間魔法が中級から上級になった。

これで完全に時間停止のマジックバッグの作成が可能になった。

シフトは空間拡張の魔法陣を作成して馬車に付与する方法も発見したのだ。

空間魔法の上級取得で重力魔法(初級)が発現した。

これも熟練すれば魔法陣化出来ると思い使いまくるシフトであった。



ーー カオス村に戻る


フライの入学式に参加した2人は、山のような量のお土産を買ってカオス村へと馬車を走らせていた。

「次はお前も学園に通うのか。・・・産まれたばかりのアップルはどうするのかな?」

早くも娘にメロメロな父は、9年後の心配をしていた。

馬車の後ろには、空間魔法上級で造った小型の荷馬車が一台連結されていた。

当然その馬車にはシフトの付与した重量軽減魔法が施されており、かなりの量のお土産や素材が積まれていた。


10日後カオス村に帰ってきた2人は、家族の顔を見るために急いで家に戻った。

「ただいま母さん、今帰ったよ。」

「アップル、お父さんだよ寂しかったよね。」

その声を聞いて笑いながら赤子を抱いた母が姿を見せる。

「お帰りなさい。2ヶ月も居ないことなんか今までなかったからちょっと不安でしたよ。」

と言う母に父親とシフトが

「「お土産買ってきたよ」」

と答えて母の笑いを誘った。


「お土産ってこれは多すぎやしませんか?ダメになるものがあると勿体無いわ。」

と心配する母に

「その点は大丈夫だよ、新しく時間停止の魔法が使えるようになったから。」

と答えるシフトに

「なんでもありね。ふふふふ」

と笑う母。


カオス村に帰ったドライは、村長や親しい友人達に王都の土産を配り、王都の土産話に暫くは徹していた。

この村ではいやこの世界には娯楽が少ないのだ。

これが京楽の神が求めた影響だったのだ。

その様子に何処かで誰かがニヤリと笑っていた。



ーー ステータスの確認


現在のシフトのステータスは、

[ 名前 シフト、年齢 5歳、種族 人族(変化可能〜現在不可)、種族レベル 79

  MP〜2300、 HP〜2000、 INT〜1800、 VIT〜1500、 STR〜1800、

  DEX〜800、 AGI〜1500、 LUK〜1300、

  スキル

  言語理解、 状態異常耐性(大)、 身体強化(中)、 魔力感知、

  変身(使用不可)、 魔法属性(全)、 再生・回復(大)、

  

  魔法(人族)

  火・水・風・土魔法(上級)、 空間魔法(上級)、 創造魔法(中級) 

  時間魔法(初級) 重量軽減魔法(中級) ]

であった。

種族レベルの上限が80なのか90、99、100なのかで違うが、今まで80を超えるレベルの人物を見たことがない。

と言うか70超えも見たことがないのだが。

あと一つレベルを上げて確認をしてみよう。


と言うことでシフトは森に向かった。

レベル79まで上がると中々上がりづらいので、大物を集中的に狙うことにした。

森の奥に向かう森の反対側は、隣国ブータン王国。

流石にこの森を抜けてくる猛者はいないと思うが、この世界の強者をよく知らないからね。

シフトは向かってくる魔物を容赦なく倒しながら森の奥へと歩みを進める。

森の最深部を超え暫く走りながら進むと街道の跡が見つかった。

この辺りまで人が出入りしていたか、ここまで森が侵食したかだろうな。

と感傷的になりながら、進みやすい街道跡を進むと争うような音が聞こえてきた。


「ん!剣戟?誰か戦っている。相手は魔物・・・人か?」

シフトは、レベルが80に達した際に

[変身〜同種族にて変身が可能、クールタイムは24時間]

とスキルが変化していたので、試したいことがあった。

『年齢20歳くらいに変身』

と自分の20歳の姿を想像してスキルを発動。

すると一瞬身体が光り、目線が高くなっていた。

「成功かな」

と呟きながら変身時に着る可能性のある服の中から大人サイズのものを取り出し、着替えると気配を消しながら音のする方に移動を始めた。



森のブータン王国側では今、国王派と純貴族派それと辺境伯派の3つが争い混沌とした状況になっている。

特に純貴族派と言う者達は、昔からの貴族以外は認めないと言う考えの派閥で、新興貴族や成り上がりの貴族に対して高圧的な行動や言動がエスカレートしていた。


そして、王国派の新興貴族筆頭のデルクイナー伯爵が王都から自領に帰る際に襲われて命を落としたことを発端に、内戦状態に陥ったのであった。

西の大森林と呼ばれる魔境に接している、スタート辺境伯は新興貴族と友誼を結ぶ人物でデルクイナー伯爵家の後継である2人の子供を守るために人を送っていた。

しかし純貴族派は2人を執拗に狙って追いかけていた。

デルクイナー伯爵の子息は

・長女〜カミュイ8歳

・長男〜ストーク5歳

で、追手から逃げるようにしながらこの大森林に迷い込む形となった。

しかし追手は森の中まで追いかけてきたのだ。

ここで血の匂いをたたせれば周りの魔物が襲ってくることは明白。

追手は死を覚悟して2人を抹殺しようとしているのだ。


馬車の御者が凶刃に倒れる。

身動きができなくなった馬車を囲むように暗殺者が襲いかかる。

警護のスタート辺境伯の騎士5人が身を挺して馬車を守るが暗殺者は10人、毒を使い警護の騎士を1人また1人と行動不能にしていく。

手薄になった警護の穴をついて暗殺者が馬車の扉を開く。

2人の幼い子供が青い顔で震えているのが見える。

ニヤリとした暗殺者が2人に剣を突き立てようとした時。

「ウッ」

と声を漏らして倒れる。

暗殺者の仲間が周囲を見るがどこからの攻撃かわからない、そのままの状態で2人目、3、4人と倒される。

護衛の騎士は3人立っているが毒が回り始め、体の自由が効かない状態。

暗殺者は最後の攻撃とばかり6人中2名が子供らを残りが周囲を警戒する。

馬車ないに入り込もうとする2人の暗殺者に空から斬撃が降る。

馬車の出入り口に立った男が、残りの暗殺者を次々に切り伏せていく。

最後の暗殺者を倒すと

「怖かっただろ、もう大丈夫だ。」

と子供に言うとまだ意識のある騎士達に解毒のポーションを飲ませて回る。

意識のない2人の騎士はすでに手遅れの状態で、布で包んでスタート辺境伯領まで運ぶことになった。


騎士のリーダー格の男が、

「危ないところ助けていただきかたじけない。厚かましい申し出だが・・辺境伯領まで護衛してもらえぬか?」

と持ちかけてきた。

血の匂いを嗅ぎつけてかなりの魔物が近くまで来ている。

「分かった、すぐに出発しよう。馬車は、ぼ・・私が御者をする。」

と答えると御者台に乗り込み鞭を入れる。


森を出るまで何度か魔物の襲撃があるもシフトの魔法で片付け2時間ほどで森を抜け出た。

その間も幼い2人の子供らは無言で抱き合って不安を押し殺していたようだった。


「何故にこんなに早く森を出られたのか?」

と1人の騎士が不思議がっていたがそれはシフトが重量軽減魔法を使用していたからにすぎなかった。

森から出て通常の街道を走ること2時間で遠目に城塞都市が見えてきた。

「あれがスタート辺境伯領の領都ダッシュの街です。でもこんなに早く着くなんて・・・。」

案内の騎士が教えてくれる。

流石に馬が疲れた様子を見せたことから、しばし休憩となった。


馬車から恐る恐る出て来た姉弟は、少しほっとしているようだった。

「これ食べてみないか?今イスタンブル王国で流行っている焼き菓子なんだ。」

と言いながら小箱に入った焼き菓子と甘い果物ジュースを差し出すと、初めは遠慮していたが弟が一口口に入れて「美味しい」と声をあげると姉も食べ始め同じく「美味しい」と呟いた。

騎士の1人が先触れとして先行していくのを見ながらシフトは、

「ここはブータン王国領だと思うのですが間違いないですか?」

と騎士に話しかけた。

「ええそうです、もしや貴方はこの国からあの森に入ったにではないのですか?」

「はい、ぼ・・私はイスタンブル王国側から森に入って森を抜けたものです。」

「単独であの森を抜けられたんですね。それならあの強さは納得します。」

と答えた騎士がその後さらに丁重な対応を取り始めた。


休憩の後馬車を走らせ、1時間ほどで城塞都市ダッシュの街に入場した。

私はそこで

「申し訳ないが私にも用事がありこれからまた森を通過してイスタンブル王国側に戻る必要があります。ここでお別れということで構いませんか?」

と騎士のリーダー格に話かけると。

「そうですか、是非我が領主にお会いして欲しかったのですが・・・分かりました。最後にお名前だけでも教えてもらえませんか?」

「ええいいですよ。」

ここでシフトは名前をどうするか考えた。

本名では年齢が合わないし、新たな名を。どうせ種族を変えた際にも同じことか。

「私の名はミライと言います。」

と答えてその場で一行と別れたのだった。



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