造船の依頼を受ける
ーー スガルの港 商業ギルド
商業ギルドのウレールは困っていた。
目の前に座るのはエーデンス王国の海運業を司る大臣とそのお供の役人。
「商業ギルドでは造船の依頼は受けられないと言うことかな。」
「受けられないのではありません。通常であればギルドでも船大工協会でも造船の依頼は受けています。しかしあの巨船となると話は別です。あれにはドラゴンの鱗が丸々一頭分必要なのです。」
と頭をかきながら断りの口実を探すウレール。
「しかし、最近ではドラゴンの素材もイスタンブル王国ではよく売り出されているではないか、腕の良いドラゴンスレーヤがいるのだろう?その者に素材の調達を依頼すれば良いのではないか?」
「はいそれはそうなのですが・・・ドラゴンスレーヤというかあの船の作り手に連絡を取るので数日お待ちください。」
と、とうとう根負けしてそう答えた。
大臣は今の話であの船を作る重要人物がドラゴンスレーヤでもあることを知る事になった。
ーー イスタンブル王国の一室
カージナル辺境伯と宰相それに国王を交えた会議が行われていた。
「先日の軍艦お披露目で分かったがあの船は海軍戦力としては脅威だと考えられる。」
と宰相が辺境伯に向かい話しかける
「その通りでございます、そこで私とファーストなる者との間で密約を交わしました。」
「密約とな?」
「はい、私が購入した船は軍艦と言える装備をしておりますが、今後彼の作る船にはそのような装備は付けないと。」
「ほお、それではあの軍艦はあれ一隻でそれ以外は貿易用の巨船だということでいいのか?」
「その通りです、彼も争いは望まない。特に自分が作ったものが戦争に使われるのは納得できないと」
「しかし、船を購入して改造すれば軍艦になるのではないか?」
「可能性は0ではありませんが、それを言えば一隻も船は作れなくなります。」
「ではそれを信じろと」
「彼の言うには、我が軍艦には他の船にはない装備や工夫がしてあり、同じ物を作るには簡単ではないだろうと。」
「特別な装備?それは?」
「ドラゴンの盾でございます。しかも外郭についてもドラゴンの鱗を使っている関係で、簡単には改造できないと」
「最強の素材を使っているからこそ改造が難しいと。理解した。」
そこで宰相は陛下の顔をみる。
「相分かった。隣国が巨船を注文したとの報告もあるが貿易用だと聞いておる。しばし様子を見て他国が軍艦を手に入れるまたは改造するのであれば、我が王国としても軍艦を増やすしかなかろう。」
「はい、そに点は既に了解済みでございます。」
「何!先見の明があるの辺境伯。」
「はい、ありがきお言葉痛み入ります。」
これで軍艦問題は一応の決着を見たのであった。
ーー エーデンス王国の一室
海運の大臣が陛下を前に報告をしている。
「此度の依頼の件、先方が了承してくれました。3ヶ月以内には完成するとの話です。」
「何、了承してくれたか。して3ヶ月とは早すぎではないか?」
「話によると中の基礎は既に数隻分できており、外郭用のドラゴンを手に入れられるかが問題だと言うことで、我が王国分のドラゴンの素材は手に入った模様です。」
「ドラゴン素材か、それは貴重で頼もしい素材であるな。分かった、して金額はいかほどであったか?」
「1隻金貨10000枚にございます。」
「さもあらん、ん?1隻と言うと?」
「はい、僭越ですが私の一存で2隻注文いたしました。」
「何、良き判断だ。2隻あれば定期便が可能であるな。」
「はい、折を見て更なる注文をしたいと考えております。」
「よかろうお主の判断に任せよう。」
と言うことで、エーデンス王国にも巨船が手に入ることとなった。
この会話を聞き耳を立てていたある神が
「うん、これで海も面白くなってきたな。次はなんだ?」
と満足そうに笑っていた。
ーー 隣国ブータン王国
内乱の如き争いがようやく治ってきたこの頃。
情報部の男が騎士団長にある報告をしていた。
「イスタンブル王国では見たこともない巨船が帆もなくすごい速度で海を走る姿が見られている様です。」
「見たこともない巨船だと?我がブータン王国の海軍の持つ軍船よりも大きと言うことか?」
「残念ながら我が王国の船の数倍はあるそうで、海の魔物もものともしないと言う噂でございます。」
「う〜む。それで攻撃力や防御力は判明しておるのか?」
「何でも船全体にドラゴンの鱗を使っているとの噂で、通常の魔法や物理攻撃では刃が立たないだろうと申しております。」
「それは一大事ではないか。もっと情報を集めよ。」
「はい、しかと申しつけます。」
軍事力に力を入れているブータン王国としては落ち着いていられない情報であった。
ーー スガルの港の船大工協会
「今注文は何艘になっているのか?」
協会長がウヰスキーに声をかける。
「隣国が2艘、3つの商会から3艘の6艘が決まっており、予約待ちが10艘ほどきてる。」
「6艘分のドラゴンは手に入れられたと言うことでいいのか?」
「ああそう言っていた、ただし3艘分は飛竜の鱗だと言っていた。」
「それでもすごいなあいつ、この調子じゃドラゴンがいなくなる恐れがあるんじゃねんか。」
「俺もそれが心配で聞いたんだが、「ウジャウジャいるぜ」と答えてたよ。」
「そうかそれなら心配いらねえな。」
「しかしデカいために最大でも3艘しか作れねえな。」
と嬉しい愚痴をあげながら仕事に戻った協会だった。
ーー シフト、ドラゴン狩りと船造り
注文が多く入った関係でシフトは大忙しだった。
そこで今回精霊族の一つドワーフに変身できないかと考えていた。
ドワーフの技術が加われば、新たな物を開発できるだろうと考えてのことだ。
ドラゴン狩については,人族のファーストか獣人族のシルバーならば問題なく狩ることができる。
今も収納用のマジックバッグは10を超えてドラゴンが詰まっている状況。
2日もあれば船の外郭は完成するので、7日もあれば今のところは問題ない。
ファースト(シフト)は3箇所のドッグに向かい、ドラゴンの鱗を貼り付けて作業に集中する。
そんな時にエーデンス王国から追加予約の連絡が入った。
「次の船は人を乗せるのが専用か。フェリー的な考えか豪華客船かの違いか。」
と呟きながら飛竜の鱗の性質を試していた。
「飛竜は地竜よりも全体的に水に強そうだ。風の抵抗も少なく補助エンジンは水流発生よりも風流発生の方がいいかもしれないな。」
試行錯誤しながら巨船を作り上げるファーストの姿をいつも通り船大工のドワーフ達が見学している。
「いつ見ても見事な錬金術だな、そこまでドラゴンの鱗を加工できる奴は見たことがない。この船の修理や改造はファーストがいなければ進まんだろうな。」
と協会長が口にする。
3艘の船の外郭が完成した、それぞれ注文主の元へと処女航海で送られるのを見送りながら
「次に3艘に取り掛かるぞ!」
と協会長はドワーフ達に檄を飛ばす。
ーー エーデンス王国の船入港
サーカエルの港に2隻の巨船が入港してきた。
「とうとう我が王国にも巨船が手に入った。」
海運大臣が興奮気味にそう言いながら入港そう早々の巨船に乗り込み、エーデンス王国の王都にあるミールの港へ出港する。
1日もかからずにミールの港に着いた巨船に港では大騒ぎ。
暫くするとエーデンス王国の国王が視察にやって来た。
「これが噂の船か、数字以上に大きい。」
感動している国王を船に案内しながら海運大臣が説明を実施する。
「なるほど、これなら馬車での乗り降りは簡単であるな。」
船倉部に当たる広い空間を見ながら呟く国王。
客室は3つのランクに分けられており、ここが貴賓室に当たる特等客室です。
「なるほど、これなら王族が乗り込んでも問題ない・・・見事だ。」
と感心しながら客室内の魔道具等にも満足している様子であった。
エーデンス王国も巨船2隻体制で運用の試験を至急行う算段をしていた。
その後、国王は海運大臣に
「良い船だ、次はもっぱら人を運ぶものを予約したと聞いたが間違いないか?」
「はい陛下、以前あの船を見学した際にこの船なら人を中心に乗せる目的でも運用が可能だと判断しましたので。」
「確かにあれなら長期の船旅でも問題なかろう。早速航路の開拓などを検討せねばな。」
と次の展開に向けて動き出していた。
ーー シフト釣り用のクルーザー制作する
ファースト(シフト)は自分用のクルーザーを作ることにした。
そこで個人用のドッグを港の近くに造ると
「変身」
と唱えながらドワーフをイメージする。
身体が光り目線が変わる。
「上手く行ったようだ。」
毛深くずんぐりとした身体を見ながら呟く。
「名前はブランデーでいいか。」
それではと、ブランデー(シフト)は船の内部を設計図を見ながら作り始める。
「さすがドワーフ、見る見るうちに船が出来上がる。」
攻撃魔法は使えないが付与魔法と錬金と鍛治それに器用が爆上がりしている。
10日ほどでクルーザーを造り上げたシフトは、マジックバッグに収納すると海に乗り出す機会を待つのだった。
シフトの現在のステータスは
[ 名前 シフト、年齢 5歳、種族 人族(変化可能〜1時間後)、種族レベル 99(限界突破)
MP〜6500、 HP〜3500、 INT〜2800、 VIT〜3000、 STR〜3000、
DEX〜2500、 AGI〜2500、 LUK〜500、
スキル
言語理解、 状態異常耐性(大)、 身体強化(大)、 魔力感知(大)
変身(使用可)(人族3、妖精族2、獣人族1)、 魔法属性(全)、 再生・回復(大)、
気配察知(上級)、 牙・爪攻撃、 魔眼(看破)
嗅覚強化大)
魔法(人族)
火・水・風・土魔法(上級)、 創造魔法(上級)
重量軽減魔法(上級) → 重力魔法(初級) new
錬金術(上級) 鍛治(上級)
空間魔法➕時間魔法 → 時空魔法(初級)new
(妖精族)
緑魔法(中級) 幻惑魔法(中級) 付与魔法(上級) ]
で、新たな魔法が2つ増えていた。
「移転魔法の可能性が出てきた。」
と新たな可能性に胸を躍らせるシフトだった。




