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『ダイオウイカ先生の診察カルテ』   作者: ツナ缶
『ダイオウイカ先生の診察カルテ』 全7章
7/7

最終章:海図の最果て(ダイオウイカ先生)

しん…と静まり返った診療所。

潮の音さえ遠ざかった夜、ダイオウイカ先生はカルテの束をそっと整えていた。

さらさら…とペン先が海図をなぞる音が、海の深奥に響いていく。


誰かを診察しているわけではない。

この夜は、先生自身の記録の時間。


「誰かを癒すには、自分の揺れにも触れておかなければ…」

先生はぽつりと呟きながら、ひとつのカルテにくるくる…と渦を描き加える。


かすかに、ふわり…と揺れる灯。

過ぎてきた患者たちの鼓動と記憶が、ページの間に息づいている。


シュモクザメの孤独、マンボウの漂い、ホタルイカの光…

それらが、まるで波の層となって先生の胸に積もっていた。


じんわりと吸盤を閉じ、

さらさら…と最後の記録を綴るその所作は、祈りのようだった。


---


『海図の余白に、未来の灯を描く』


---

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