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『ダイオウイカ先生の診察カルテ』   作者: ツナ缶
『ダイオウイカ先生の診察カルテ』 全7章
6/7

第6章:重力のない眼差し(マンボウ)

ふわり…ふわり…と、海の宙を漂うようにマンボウの患者が現れた。

まるで重力を忘れたような、大きな体がひょこ…ひょこ…と揺れながら診療所へ向かってくる。


その瞳は、ぽやん…と遠くを見つめていて、

今ここにいるはずなのに、どこか別の世界に足を踏み入れているようだった。


「先生…ぼく、考えるとすぐふわふわしてしまうんです。

 気づいたら、何もかもが遠くなっていて…。」


ダイオウイカ先生はすーっ…と触腕を伸ばし、

マンボウの前にぽとん…と泡を一粒落とした。


「それは、あなたの感受性が深海のように広い証です。

 どこまでもぼんやり…と漂える瞳は、時に真理をすくいますよ。」


マンボウはぼんやり…と微笑み、ひらり…と体を傾けると、

その脇腹にぽっ…と淡い光を灯した。

それは、夢の断片。

つかみどころがないようでいて、誰よりも確かな感性の灯だった。


先生はその光をふわっ…と吸盤に包み込み、カルテの余白につつつ…と描き込んだ。


---


今日の診察記録。最終行には、こう記されていた――


『ふわふわの眼差しが、真実に届くこともある』


---

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