表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ダイオウイカ先生の診察カルテ』   作者: ツナ缶
『ダイオウイカ先生の診察カルテ』 全7章
3/7

第3章:波紋の記憶(アカクラゲ)

ざわ…ざわ…と揺れる今日の海。

遠くから、すぅ…と透明な影が近づいてくる。

それはアカクラゲの患者。

ぷるん…ぷるん…と揺れる触手が、海水をそっと震わせ、記憶の底をくすぐるように漂っていた。


アカクラゲはぽつり…ぽつり…と語り出す。

「先生…記憶が、ときどきずきん…と痛むんです。

 それでも、ぽろり…と忘れたくないんです。」


ダイオウイカ先生はこくん…とうなずき、

しゅるり…と触腕を机に伸ばす。

広げられた海図の上で、さらさら…と水面の揺らぎを描くように、記憶の波紋を書き加える。


「ひりひり…と痛む記憶こそ、あなたが真剣に生きた証です。

 その痕跡は、じんわり…とあなた自身を強くしてくれるものですよ。」


アカクラゲはふわふわ…と静かに漂いながら、

その中心部にある光をぽん…とひらかせた。

それは、希望だった。

過去の波紋の中央に、きらり…と未来への灯りが差し込んでいた。


---


今日の診察記録。

カルテの余白には、こう記されていた――


『記憶の痛みは、希望の入り口』


---

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ