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『ダイオウイカ先生の診察カルテ』   作者: ツナ缶
『ダイオウイカ先生の診察カルテ』 全7章
2/7

第2章:心に触れるとき(マッコウクジラ)

ぐぐん… どぼん… すう…

海の奥底から重たい音とともに現れたのは、マッコウクジラの患者だった。

波に染まった皮膚がゆっくりと光の方へ向かってくる。


診療所の灯りのもと、マッコウクジラはしずかに語りかける。

「先生…深く潜るほど、自分の内側に触れてしまいそうで。

 それが…怖いんです。」


ダイオウイカ先生は、ふわりと触腕を差し伸べ、マッコウクジラの胸元に吸盤を添える。

とくん… とくん… 深海の鼓動がしん…と伝わってくる。


「潜ることは、怖さに近づく行為です。

 でもその先で見つかるものは、あなたの弱さではなく、優しさなんですよ。」


マッコウクジラは尾びれをゆるやかに揺らし、目を細めた。

「先生…それなら、もう少し深く潜ってみようと思います。」


ダイオウイカ先生は、さらさら…とカルテに記録をつけた。

海図の隅に、小さな灯をひとつ描き加えながら。


---


今日の診察記録。

その最後の行に、こう書かれていた――


『深く潜ることは、自分に優しくなるための旅』


---


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