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力になります

2011/10/11(火)<1>


忙しい時こそ、焦らずにマイペースでやるのが1番だと思うヨッシーですよ。

てことで、早起きはしたくないので、バンド練習は夜だけになりました~(そこは焦るべきじゃ?


そんなわけで、今日もガミさんの店の手伝いをします。

とはいえ、もう料理は嫌だってことで、接客をやりますけどね。

「今日は料理しないのか?」

あ、今日もムラさんいますね~って、毎日来てません!?

仕事とかしてないの!?

と思ったんですが、どうやら農業をやってるらしく、自由な時間がそれなりにあるみたいですね。

ちなみに、この辺は畑とかも多いし、農業やってる人がたくさんいるそうですよ。


とそこで、見知った顔が客として来ましてね。

「あ、マツさん、こんにちは」

ヒロが普通に挨拶してますが、祭りの実行委員長を任されているマツさんですよ。

てか、ガミさんの話だとマツさんもこの店の常連で、よく来るそうです。

家も農家らしく、今はバイトしながら家の手伝いをするってな感じみたいですしね。


「マツさん、お久しぶりです」

「あ、ミサちゃん、久しぶり」

ミサとも顔見知りだったようで、簡単に挨拶なんかをしてました。

それから、マツさんは俺の方を見ましてね。


「この前はちゃんと挨拶出来なかったんですけど、ヨッシーさんですよね?」

「あ、はい」

「ガミさんやミサちゃんから、話聞いてますよ」

ああ、ガミさんやミサと知り合いだと、自動的に俺のことも知ってることになる法則が出来てますね。

てか、俺、どんな話をされてるんだか・・・。


まあ、流れでそのままマツさんと話すことになりましてね。

「祭りの実行委員長、大変そうですね」

「ホント、父さんのわがままには困ってますよ。みんな年上ばかりなのに、私が仕切って良いものなのか・・・」

うん、マツさん、リアルに悩んでるようです。

雰囲気的に、ヒロなんかと似たおとなしめのタイプみたいだし、大変そうですね。


「でも、まあ、きっと大丈夫ですよ」

「私じゃ無理ですよ。実行委員長をやりたいと思ってる人から妬まれて、きっと邪魔されます」

「いや、そこまでする人は・・・」

「きっと、出店、爆発します」

「えぇ・・・」

うん、マツさん、スーパーネガティブシンキングです。

ここまでネガティブな人、初めて見ましたよ・・・。

これは、何か力になってあげた方が良いかもしれませんね。


「いらっしゃいませ」

そこでまた誰かが来たらしく、ヒロが挨拶してましてね。

てか、エンじゃん!

「あ、ヨッシーさん、こんにちは」

「エンもここの常連なの?」

「はい、僕だけでなく、みんな時々ここに来ますよ。僕は仕事場がここから近いので、お昼によく来るんです」


ちなみに、バンドメンバーの中でエンだけが自分と同じ、正社員として働いてる人なんです。

しかも高卒で働いてるってことなんで、社会人としては俺よりも先輩でしてね。

色々とためになる話が聞けるかもです。

とはいえ、まだ会ったばかりだし、そこまで話してないんですけどね。


「エン君、久しぶり」

そこで、マツさんがそう言って、話に加わりました。

てか、エンとマツさんは同い年らしく、小、中、高と同じ学校でもあったそうです。

「今度、ライブやるんでしょ?」

「まだ、練習中ですけど・・・」

「私、何とか時間空けて見に行くから、頑張ってね」

「あ、はい」


あ、何か、この2人良い感じ?

てことで、俺は空気を読んで、距離を置きましてね。

マツさんが色々と話題を振って、それにエンが答えるって感じですが、エンも楽しそうだし、良い雰囲気です。

「ところで、祭りまではお互い忙しいけど、それが終わって時間が出来たら、2人で遊びに行かない?」

しかも、どうやらマツさんの方からアプローチをかけてる感じですよ。

いや~、マツさん、ネガティブな感じかと思ったけど、実は違うんですかね?


「すいません、2人で出掛けるのはちょっと・・・」

って、エン断ってるし!?

「せっかくだし、行ってくれば?」

まあ、俺からフォローみたいなのもしたんですけどね。

「仕事があるので、行きますね」

エンはそう言うと、行っちゃいました。


そんで、残されたマツさんは、

「私、エン君に嫌われちゃったかも・・・」

って、やっぱりネガティブだし!

どうやら、さっきは無理してアプローチしてたみたいですね。


「マツさん?」

ミサも心配そうな様子だったんですけど。

「良いんです。こうやって断られるのは昔からですから。今なら応えてくれるかもしれないなんて思った私が間違いなんですよ」

マツさんはそんな風に言った後、砂漠のように乾いた笑いを始めました。

あ、俺、ちょっと上手い例えだったかも!(そんなことないです

てか、エン、普通にひどい奴だな~なんて思いそうになったんですけどね。

何か、事情がありそうです。


「エンって、恋愛を避けてる感じなんですね」

あまり詮索するのもあれかなと思いつつ、そんなことを言ってみました。

そしたら、マツさんが困ったような表情を見せましてね。

「しょうがないことなんです」

「何があったのかは知らないですけど、あまり良くないと思うんですよね」

まあ、色々と考えてみましてね。


何か、ちょっと前の自分を見てる気分になったんですよ。

自分の場合は人を傷付ける恋愛をしてしまったことを後悔して、自重してた感じですけどね。

とりあえず、恋愛から離れてた時期がありました。

その時のことを振り返ってみて、あまり良い状態ではなかったなって思うんですよ。

まあ、今はミサがいるからこそ、そう思えるだけで、1人で考える時間も必要だったのかもしれませんけどね。

とにかく、エンが何か問題を抱えているとかで、恋愛から離れてるんだとしたら、その問題を解決したくなったんですよ。


てことで、ガミさんに聞いてみますか(ぇ

いや、エン、ここの常連ってことだし、何か知ってると思いましてね。

とりあえず、料理の手伝いを軽くしつつ、聞いてみたんですよ。


「エン、児童養護施設で育ったんだよね」

「そうなの?」

随分と意外な話が聞けましたね。

ガミさんの話だと、エンは生まれた時から両親のことを知らないようです。

だから、恋愛とかを自然と避けてしまっているのではないかと。


てか、ガミさん、勝手にエンのプライベートをバンバン話してるけど、良いの?

まあ、俺も勝手にブログに載せてますけど(ぉぃ

とはいえ、こうやって事情を教えてもらえるのは助かります。

ついでに、こんなのも聞いちゃいます。


「エンの仕事場ってどこか知ってる?あと、何時ぐらいに終わるかな?」

バンド練習の前に会って、話でもしようかなと思ったんですよ。

終わって出てくる時間帯に外で待ち伏せしちゃおうかなと(軽いストーカー?

ちょっとやり過ぎな気もするけど、自分はここに今週一杯までしかいないわけだし、解決するためにはドンドン進めないとですからね。


そんなわけで、ガミさんから色んな情報が聞けたんで、俺は接客に戻りましてね。

「マツさん、頑張って下さい!私、応援しますから!」

ミサもマツさんの件、応援モードに入ってますね。

「私はただ、エン君ともっと仲良くなれればと思って、恋人になるつもりは・・・うん、私なんかがエン君の恋人になれるわけないよね・・・」

相変わらず、ネガティブだ~。

「エンさんのこと、好きなんですよね?好きなら付き合って、そして結婚するべきです!」

お、ミサも珍しくやる気だ~。


・・・てか、まだ結婚といった話を保留にしちゃってる恋人として聞くと、軽く耳が痛いことを言ってますね。

まあ、今のエンが以前の俺と似てるってのをさらに突き詰めると、今のマツさんと以前のミサが似てるってことでもあるのかもしれません。

後で気付いたことですが、ミサ、恋愛する気ないって感じの俺に色々とアプローチかけてくれてましたしね。

俺がエンと自分を重ねて、何か力になろうと思ってるように、ミサもマツさんに対して同じ気持ちなんでしょう。


「でも、私は祭りの件もあるし・・・」

ただ、マツさんは今、この問題の方が大きいみたいでしてね。

「祭りの実行委員長って、どんなことやるんですか?」

「あ、さっきも話しましたけど、みんなを取りまとめる必要があるんです。色んな情報が行き交いますし、それも整理しながら指示を出す必要がありまして・・・私には無理です」

「そんなはっきりと言わなくても・・・」

まあ、要するに、色々な人の指揮を取る立場みたいです。

おとなしい感じのマツさんにとっては大変なことですね。


てか、実行委員長のマツさんがこんな状態で、祭りを無事に開催出来るだろうかって不安に思ってしまいますよ。

まあ、これについては、周りでフォローするってことぐらいしか出来ないですね。

とりあえず、こういう誰かを指揮するとかは自分も苦手ですし、あまり力になれないかもですけど。

誰か、こういうのが得意な人が協力してくれると良いんですけどね。


とそこでまた客が来たらしく、鐘の音が鳴りましてね。

「いらっしゃい・・・あ!」

「ヒロ、久しぶりだね!」

・・・って、アッキーだし!


「何でここに来たわけ?」

「何?来ちゃいけなかった?」

「いや、てか、俺がここにいるとか、当然知ってたんだよね?」

「ミサやヒロからメールで聞いたの。それより何で私に教えてくれなかったの?」

うわ、何かよくわかんないけど怒ってる?


まあ、とりあえずは軽く謝りましてね。

「私も暇だから、祭りの準備、手伝ってあげる」

「ああ、それは助かるかも」

「ついでにみんなの取材もさせてもらうから。この件について、何か書きたいし」

「だったら、マツさん、祭りの実行委員長だし、話を聞いてみれば?」

「そうなの!?」


てことで、アッキーは早速マツさんの取材を始めましてね。

仕事柄だと思いますけど、初対面の人とすんなり話せるアッキーってすごいです。

それに情報の引き出し方って言いますかね。

自然と色んな話をさせる雰囲気を作るのが上手いのか、色んな情報をドンドン手に入れてます。

さらに、そうして手に入れた情報を整理してまとめることも出来るわけだし、ホントすごいです。


てか、マツさんってネガティブな感じだし、話を聞き出すのは大変なんじゃないかと思ってたんです。

でも、既にメチャクチャ仲良くなってる感じでしてね。

「私、アッキーさんのコラム読みましたよ!」

しかもマツさん、ちゃっかりアッキーのファンだったみたいでしてね。

すごい喜んでます。

そんで、アッキーも自分のファンがいたってことで喜びましてね。

そのまま、ドンドンと話が発展して・・・


「泊まるところないなら、私の家に泊まって下さい!」

「良いの?」

「はい、私の家、広いですから!」

「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」

アッキー、マツさんの家に泊まることになりました~。


うん、さすがにここまで来ると展開が早すぎな気がしますけど、フラグ回収率に定評があるガミさんの周りではこれがデフォルトですからね。

しかも、マツさんのサポートとして、アッキーは適任な気もします。

てことで、マツさんのことはアッキーに任せて、自分はエンの力になりますかと思った1日の途中でした。

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