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そういうことですか

2011/10/09(日)<2>


祭りの準備とか、当然したことがないヨッシーですよ。

まあ、自分が今までしてなかったことをするとか、楽しくて良いですけどね。


夕方になりまして、店の方はガミさんの両親とミサ、ヒロの4人に任せるということになり、俺はガミさんと2人で祭りの準備に向かいました。

まあ、祭りの準備といっても、今日は打ち合わせみたいなものでしてね。

誰がどこに何の店を置くかとか、そんな話をする程度みたいです。

しかも、ガミさんがオムそば飯を出すってのが決まってるように、ある程度は既に決まってるらしく、あくまで形式的なもののようです。

なので、どちらかと言うと、打ち合わせというより、顔合わせや挨拶といった方が正しいかもですね。

だから人数もそんなにいらないってことで、俺とガミさんの2人だけで行くことになったんですよ。


・・・てか、俺もいらなくね?

だって、俺はここに初めて来て、祭りに行くのも初めてって感じの、いわゆる客です。

関係者からすれば、普通に部外者ですよ。

当然、何か意見を出したりも出来ないし、したとこで聞いてもらえないでしょうからね。

手伝いをするにしても、個人的にガミさんの手伝いをすれば、十分だろうし。

といったことを、ガミさんに言いはしたんですけど。


「ダメだよ!ヨッシーは早いうちからいないと!」


・・・どういうこと?

何か、謎のことを言われた・・・。

てか、連絡が来た時点からそうなんですけど、ガミさん、何か企んでる気がします。

まあ、俺に被害がなければ良いんですけど、高確率で被害をかけられますからね。

とはいえ、現状は何があるかわからないんで、様子見です。


そんなこんなで、みんな集まりましてね。

代表者だかの挨拶が始まりました。

「えっと、わ、私が今回の実行委員長でして・・・」

うわ、何だか頼りない!

自分と同じか、少し年下って感じの女性なんですが、顔も下を向いてるし、自信なさげですね。


「マツさん、自信持ちなさいよ!」

そしたら、そんな声がどこからか聞こえましてね。

マツさんと呼ばれた女性は、何だか困ったような表情を見せました。

「父が病気で、今年は初めて私が実行委員長をやることになりました。不手際も多くあるかと思いますが、よろしくお願いします」

そんな風に言った後、マツさんは礼儀正しく、お辞儀をしてました。


まあ、後でガミさんに聞いたんですが、祭りの運営なんかを行う、実行委員とかいうのがあり、その委員長はいつも同じ人がやってたそうです。

その人は、正に祭りをやるために生まれてきたってぐらい、祭り好きのようでしてね。

ただ今回、病気だかで委員長を辞退しないといけなくなったようです。

でも、本人は他の人に委員長を譲るわけにはいかないと聞かなかったみたいでしてね。

それでも、周りが散々説得した結果、娘がやるなら辞退すると言い出したとか。


そんなわけで、無理やり委員長を任されることになった人がマツさんというわけです。

だから、すごい不安げな感じなんでしょうね。


さて、委員長の挨拶が終わり、その後は何か言いたいことがある人が適当に言って下さいって感じになりました。

とはいえ、こんなとこで率先して発言する人なんて・・・


「はい!今回、出店でオムそば飯を出します!」


あ、ガミさんはそういう人でしたね・・・。

しかも、率先して出てきた割りには、緊張で声が裏返ってるし。

さてと、少し距離を置いて、他人のふりをしますか(ヒド


「それで、彼が親友のヨッシーです!」

「巻き込むなよ!」

「ヨッシーは歌とギターをやってて・・・」

「あ、単なる趣味で、やってるだけですからね」

「その演奏は、すごい良くて・・・」

「てか、いい加減黙れ!」


てことで、よくある巻き込まれを受けつつ、俺は引きましてね。

その後、開催に際しての注意とか、そういったものの説明がありました。

あとは各準備のスケジュールとかですかね。

てか、祭りは15日と16日の2日間で行われるようですね。

そういった話が終わり、とりあえず今日の集まり自体が終わりになりました。

とりあえず、やっぱり俺が来る必要なかったですね。

てことで、帰ることになるかと思ったんですけど。


「せっかくだから、色々と見て回ろうよ!」

といった提案がガミさんからあり、まあ、それも良いかなと色々見ていくことになりました。

ちなみに、祭りをやるこの場所は何かの工場跡地なんですかね。

とりあえず、広い敷地と今は使われてないらしい、空の建物が並んでる感じなんです。

まあ、何かイベントを開催するのに使われる空き地なんでしょう。

だから、ある程度前もって色々な準備が出来るわけですね。


そんな広い敷地をテクテクと歩いてたんです。

そしたら、途中で何やらステージみたいなのを見つけました。

「何かライブでもやるの?」

「うん、そうだよ!」

「そんなのもあるんだ?」

まあ、地元の人がここで演奏するってことみたいですね。


「あ、ヨッシー?」

「ん?」

「ちょっとここで待ってて」

「・・・何で?」

「ここで待ってると願いが叶うんだよ」

「はぁ?」


てか、また何か企んでるみたいです。

とりあえず、もっと上手い理由を考えてほしいものですけどね。

ここは素直に聞いてあげますか。


「じゃあ、動いちゃダメだよ!」

「はいはい」

まあ、1人になり、どうしようかなと思いましてね。

そこで俺はステージの方を見ました。

そして、マサのことを思い出してました。


ギターはまだ続けてますけどね。

マサのことを1人でも多くの人に伝えるため、有名になりたいという夢については、現状、何も出来ていません。

仕事があるからなんて言い訳も出来ないことないですが、具体的に何をするべきかってのがなくて、何もやってないってのが現状です。

こういったステージで歌うなりすれば、少しは変わるかもしれないですけど・・・。


まあ、何かのきっかけで、こういったステージに立ち、歌うってことになったとしても、緊張とかでまともに歌えるわけないんですけどね。

でも、いつか自分がここに立つ姿を夢見るのも良いかもしれないです。

てことで、ガミさんがここで待つと願いが叶うとか言ってたし、試しに願ってみますか。


いつかステージでライブが出来ますように!


「ねえ、あんた?」

そこで、そんな風に声をかけられましてね。

振り返ると、年下に見える女性がいました。

てか、初対面をあんた呼ばわりする人なんて、ルリだけかと思ってましたけど、意外にいるんですね。


「何?」

「あんた、歌とギターやってるの?」

「え?」

「さっき、言ってたじゃない」


・・・さっきの集まりにいたのか、ガミさんがいらんこと言ったのを聞いてたみたいですね。

「まあ、趣味でやってるだけだよ」

「バンドとか組む気ないの?」

「そこまで上手くないし」

てか、この人は何を言いたいんですかね?

今のところ、本題が全く見えません。

なんて思ってたんですけどね。


「私、バンド組んでるのよ」

「へ~」

「でも、今、ギターボーカルがいないの」

「あ、そうなんだ?」

「だから、あんた、うちのバンドに入らない?」


・・・?


「はぁ!?」

てか、一瞬何を言われたのか理解出来なかったし!

でも、ちょっと冷静になって考えてみます。

色々とおかし過ぎです。


まず、ギターボーカルってバンドのメインじゃないですか?

そのメインがいないという状況が理解出来ません。

そして、そのメインを俺のような見ず知らずの人に頼んでるのもおかしいです。

ついでに、一応サイレントギターとはいえ、ギターを持ってきてるんで、引き受けられないわけでもないというこの状況。

いや、てか、何よりもおかしなことがありました。

この人・・・右手首にミサンガ付けてます(ぇ


「ガミさん!」

「え、何でいるのがわかったの!?」


予想通り、近くで様子をうかがってたようです。

なるほど、そういうことですか。


「ガミさんの知り合い?」

「へえ、よくわかったわね」

「今時、ミサンガ付けてる人、ガミさんの知り合いだけだし」

「あ、なるほどねー。私、ホノって言うの。よろしくね」

「よろしくと言われても・・・」


てか、これまでガミさんが不審な行動を色々取ってましたが、全て納得です。

どうやら、俺をこの人のバンドに入れようと考えてたようですね。

ギターを持ってこさせたのも、今日ここに俺を連れてきたのも、全てはこのためだったわけです。

全く、ガミさんは相変わらず、俺を巻き込みますね・・・。


「ヨッシー・・・」

ガミさんは自分のしようとしてたことが俺に知られたからか、困った表情をしてますね。

てか、ホント、昔からガミさん、変わってないです。

そして、ここで俺が反発するってのが、昔からのパターンですね。


・・・今回は変えてやりますか(ぇ


「試しに音合わせしてみて、何とかなりそうならやってみようか?」

「え?」

「とりあえず、色々と言いたいことはあるけど、せっかくだしやってみるよ」

「ヨッシー、良いの!?」


いや、まあ、何て言いますかね。

いきなり、1人でライブするってことだと、緊張とかできついです。

でも、バンドでやるってことになれば、何人かでステージに立つわけだし、初めての経験としては良いかなと。

詳細も聞かずに安請け合いかなって気もしますが、たまにはこんなのも良いでしょう。

てか、ガミさんの言う通り、ライブが出来ますようにって願いが叶いそうになってると思いましょう(ぇ


「明日の朝、みんなで集まる予定なのよ。だから、あんたもそこに来てくれない?」

「ああ、了解」

「だったら、僕が連れて行くよ」

「うん、ガミさん、お願いね」


そんなやり取りをして、ホノは行っちゃいましてね。

俺とガミさんの2人になりました。


「ヨッシー、ありがと」

「いや、まだ正式に組むと決まったわけじゃないし。何の詳細も聞かなかったけど、とりあえずライブはいつ?」

「祭りの2日目だよ」

「それまで時間ないし、軽く音を合わせた時点で波長が合うって感じられなければ厳しいでしょ」


まあ、俺には色々と思うとこもありますが、それについては追々話していきましょう。

そんなわけで、今回、ただ祭りを楽しむってだけでは終わらないようだと判明した1日でした。

とはいえ、明日の状況でどうなるかって感じですけどね。

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