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オムライス対決

2011/10/09(日)<1>


昨夜は、ぐっすりと眠れたヨッシーですよ。

慣れないとこだと、なかなか眠れないかなと思ったんですけどね。

普通に10時過ぎまで寝てしまい、むしろ寝過ぎだよ!となりまして・・・。

とりあえず、すぐに起きて着替えました。


まあ、ガミさんやらは、いわゆる仕込みといった準備をやってました。

この店は、昼前である11時に開けて、夜の9時に閉めるって感じですからね。

丁度今が準備の時間になるようです。


てことで、厨房・・・というか、普通にキッチンなんですけど、そこにガミさんと両親がいました。

「おはようございます」

「あ、おはよう!よく眠れた?」

「うん、むしろ寝過ぎちゃったよ」

「ミサもまだ寝てるし、もう少し寝てても良かったのに」

てか、ミサはまだ起きてないんだ~?と思いつつ、だからって二度寝する気はないですからね。


「朝食はどうする?」

「あ、ミサが起きてからにするよ。あと、祭りの準備はいつから?」

「夕方からだし、奥でゆっくりしててよ」

「ああ・・・」


まあ、ここにいても邪魔になるだけかなとも思ったんですけどね。

「もし良かったら、何か手伝わせてよ。何もしないってのも退屈だし」

といったことを言ってみました。

そしたら、ガミさんなんかは嬉しそうに笑いましてね。

「だったら、ヒロが掃除してるから、それを手伝って」

「おう、了解」


まあ、俺はヒロの手伝いってことで、テーブルを拭いたりしましてね。

ちなみにこんなことをしてる理由は、今まで、アルバイトってのをやったことがなく、1度で良いから似たようなことをしたいと思ってたからです。

職を失うとかならない限り、まずないだろうな~と思ってたんですが、意外なとこで機会がありましたね。


そんなこんなで手伝いをしていたとこで、やっとミサが起きてきました。

「ごめんなさい、寝過ぎてしまいました・・・」

「別に俺もさっき起きたばっかだよ。てか、ミサは仕事1年目で疲れることも多いだろうし、たまには良いじゃん」

人見知りのミサが営業をやってるなんて、ホント驚きですからね。

詳しくは知りませんが、相当苦労してると思いますし、実家に帰った時ぐらいはゆっくり休んでもらいたいです。


まあ、ミサも起きたしって事で、自分とミサは奥で朝食を食べましてね。

食べ終わった頃には11時を過ぎまして、ガミさん達は店を開けたらしく、話し声なんかが聞こえてきました。

「店、開けたみたいだね」

「そうみたいですね」

「今日はどうする?祭りの準備は夕方からって話だし、時間空いちゃうよね?」

といった質問をしたら、ミサは少し考えましてね。


「・・・せっかくですから、店の手伝いをしたいです」

「ああ、俺もそうしたいと思ってたんだよね」

「ホントですか?運命感じますね」

「はいはい、感じますよっと」

てことで、今日はとりあえず、ガミさん達の手伝いをします。


そんなわけで、再び店の方に行きましてね。

いわゆる接客をやることになりました。

まあ、ガミさんの母親と、ヒロも同じことをしてるんで、人手は十分といった感じだし、うちらが手伝う必要ないやんって思いつつだったんですけどね。

ここ、客とのコミュニケーションを大切にするって言いますか、普通に会話とかしてる感じだし、多い分には良いんですよ。

そんなこんなで、しばらく接客をやってたんですけどね。


「ミサちゃん、いつ戻ったんだ?」

まあ、今日もミサは1人の常連さんから、そんなことを言われ、会話を開始したんです。

「ああ、君がミサちゃんの彼氏か?」

そして、必然的に俺もそんなことを言われ、一緒に話をすることになりました。


「ミサちゃんと結婚して、ここで働くことにしたのか?」

って、いきなり深いことを聞かれたし!

「いえ、今は遊びに来てまして、手伝いをしてるだけなんですけど・・・」

「ここは良いぞ。静かだし、都会なんかより、ずっと良い」

「はあ・・・」

「俺の息子は、それがわかってないんだよ。いつも都会に行きたいなんて言って・・・」


てか、気付いたら愚痴に付き合わされてるし!

まあ、こういうのも聞いてみると、結構楽しいですけどね。

この人、7歳ぐらいの息子さんがいて、その息子さんはまだ幼いのに、いつか都会に行くと言ってるそうです。

そんで、息子さんが都会に行くって事に、この人は断固反対していると。

でも、どんなに言っても息子さんが聞いてくれなかった時は、都会に行かせるんだろうな~といった雰囲気でもあるんですよ。

自分の考えはあるものの、息子さんの意見を最優先にしたいといった気持ちがあるんでしょうね。


「君も今は都会に住んでるんだろ?」

「いえ、都会ってほどでもないですけど・・・」

「絶対にこっちの方が良い」

「でも、仕事もありますし、こっちで暮らすとなると大変ですから・・・」

「だったら、ずっとここで暮らせば良いじゃん!」


ここで、ガミさん出現。

てか、どこから出てきたんだよ!?

料理してたんじゃないの!?

と思ったら、手が空いただかで、休憩してるみたいですけど。


「ヨッシー、料理も出来るから、ここで働けば・・・」

「いきなり突拍子のないこと言うなっての。俺、料理は人並みにしか出来ないし」

「そんなことないよ・・・そうだ!」


あ、ガミさんが何か思いついた様子?

これ、面倒なことになるパターンですよ。

絶対そうに決まってます。


「ヨッシー、オムライス作ってよ」

「え?」

「それで、僕が作ったオムライスとどっちが美味しいか、みんなに決めてもらうんだよ!」

「・・・え?」

「つまり、オムライス対決だよ!」


・・・やっぱり、面倒な事になったし!

てか、何を持って、そんな考えが浮かんだんだよ!?

と思いつつも・・・


「良いね。やってやろうじゃん」

俺、ちょっとやる気(ぇ

いや、何だかんだ言って料理とかやってる方だし、前よりは上手くなってると思うんですよ。

ガミさんには到底適わないと思いますが、ここでその上達振りを確かめるってのも良いかなと。


てことで、オムライス作り開始です。

まあ、デミグラスソースを一から作る時間は当然ないんで、そこは割愛します。

なので、チキンライスを作って、そこに卵を乗せるってことだけ、やれば良いんですよ。

とはいえ、こういう簡単なことこそ実力の差が出るというか、逆に難しいんですよね。

ちなみに昼はとっくに過ぎてるんで、ここで作ったオムライスを昼食代わりにするってことらしいです。

オムライスならミサの好物ですし、そもそもガミさんから作り方を教えてもらった料理でもあるし、丁度良いってやつですね。


そんなわけで、まずはチキンライスを作ります。

まあ、材料なんかは教えてもらいましたが、分量は自分で決めないといけない感じなんで、この店の味を再現するというのは不可能でしょう。

なので、味見なんかをしながら、自分好みの味にしてみます。

自分、薄味が好みなんで、薄い!とか言われそうですけど。

あと、グリーンピースはあまり好きじゃないので抜いちゃいます(ぇ

代わりに肉を軽く増量しちゃおっと(やりたい放題ですね


そんなわけで、チキンライスは完成です!

あとはトロトロのオムレツを作るだけですね。

「出来た!」

てか、ガミさんはもう完成させてるし!

普通に早過ぎだっての!


「冷めるとあれだし、先に出しちゃって良いよ」

ガミさんの方が確実に美味しいんで、自分の方を先に食べてもらいたかったんですが、しょうがないですね。

てことで、ガミさんを先に行かせて、自分はササッとオムレツ作りです。

てか、前も言ったとおり、料理する上でのコツは良い調理器具を使うことです(ぇ

ここは、さすが洋食屋ってことで、良い調理器具が揃ってますからね。

とても作りやすいですよ。


そんなわけで、トロトロのオムレツを乗せた後はデミグラスソースをかけて、完成です。

ガミさんから遅れること、数分って感じですかね。

とりあえず、持って行きましょう。

てか、客とかがいる中、堂々と昼食を取るとか、普通は出来ないと思いますけどね。

常連ばかりだからこそ出来ることってやつなんでしょう。


「お待たせ」

みんな、既にガミさんのを食べた後だから、悪い部分が際立って色々とダメ出しされるでしょうね。

でも、せっかく作ったので出しましょう。

ちなみに、食べるのはガミさん、ミサ、ヒロ、そしてガミさんの両親です。

うん、てか、誰も働いていないという、この店の今の状況はさすがにどうかと思うんだ・・・。

そんな考えも持ちつつ、とりあえず食べてもらいましてね。


「へぇ」

「なるほど」

ガミさんの両親は何か納得してる?

「ヨッシー、美味しいよ!」

まあ、ガミさんはお世辞でこう言いますよね。

「私はヨッシーさんが作った方が好きです」

ミサの言葉も予想の範囲内ですかね。

「ヨシ君が作ると優しい味がするんだね」

ヒロの感想はちょっと不明。


・・・総合すると、この感想はどうなんでしょう?

「俺も、もらって良いか?」

そしたら、さっき話をした常連さんも食べましてね。

「・・・この店の味ではないが、これはこれで美味しいな」

「そうですよね」

「私も驚いたよ」

・・・って、まさかの好評なんですけど!?


「いや、勝手に自分の好きなように作っただけですし、そんなことないですよ」

グリーンピースを抜いたり、肉を増やしたりとか、軽くやりたい放題でしたからね。

ガミさんが作ったのに、勝てるわけがないんです。


てか、思えば自分はまだ、どちらも食べてないですからね。

ガミさんのオムライスから、食べてみました。

まあ、ガミさんのオムライスは何回か食べたことありますが、その時の味です。

普通にプロの味ですよ。

そんで、それから自分のを食べてみましてね。


・・・うん、美味しいかも(ぉ

いや、ガミさんのは店で出してるわけだし、これを食べた多くの人が美味しいって言う味なんだと思います。

ただ、自分のは自分の好みに作ったわけなんで、当然、自分は美味しいって感じるんですよ。

とはいえ、これで店の商品として出せるかと言われると、絶対に無理だと思います。


とそこで、ガミさんが険しい表情になりましてね。

「これだよ・・・」

「え?」

「僕の目指す味は、これだったんだ!」


・・・え、悟り開いた感じ!?

てか、どんな急展開だよ!?


そんなわけで、オムライス対決の結果はよくわからない・・・てか、そもそも対決してたのかもよくわからない1日の途中でした。

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