バレンタインに思いを
2010/02/14(日)
バレンタインって、実はチョコを作ってるとこの販促が基だという話を聞いて、軽くショックだったヨッシーですよ。
まあ、ホントの話かどうか、わかりませんけどね。
そんなわけでバレンタインです。
世の中のもてる男性は、チョコをいくつもらえるかなんてことを楽しみにしてることでしょう。
まあ、自分は多分もらえないだろうなと思いつつ、昨日なんかも言った通り、別の楽しみがあるんですけどね。
そんなわけで、ヒロから連絡があったんですよ。
「昨日、ガミ君に渡すチョコを作ったんだけど・・・」
おぉ、ヒロ、ガミさんにチョコを渡す気なんじゃん!って思ったんですけどね。
「渡した方が良いのかな?」
よく聞いてみると、とりあえず作っただけで、渡そうかどうしようかは迷ってるみたいです。
「いや、せっかく作ったんだし、渡そうよ」
「でも、やっぱり迷惑だと思うし・・・」
「そんなことないって」
てか、普通に両思いだって言いたいとこですが、さすがにそれは出来ないですからね。
「とりあえず、今日、ガミさんとどっか行けば?それで一応チョコも持っていって、渡せそうな雰囲気なら、渡せば良いと思うし」
この辺で頑張ってもらいたいとこです。
まあ、その後も結構な時間、説得しましてね。
「じゃあ、そうしようかな・・・」
何とか納得してくれました。
ただ、困ったことがありましてね。
「2人きりだと緊張しちゃうし、ヨシ君も一緒にいてくれないかな?」
そんなことを言われちゃったんですよ。
まあ、ガミさんに聞いてみて、俺がいた方が良いってことならという条件で了解はしました。
てことで、俺も行くことになりましたよ(ぇ
うん、ちょっと考えれば、わかることでしたね。
ガミさんも、ヒロと2人きりだと緊張するとのことで、むしろ来てくれって話になっちゃったんですよ。
てか、俺、頭が働いてない感じなんで、ちょっと切り替えます。
そんなわけで、ヒロと合流しましてね。
「ヒロ、こんにちは!」
「うん、ガミ君、こんにちは。ヨシ君も来てくれてありがと」
まあ、俺は普通にお邪魔虫な感じだし、頃合いを見て姿を消しましょうか。
そんなことも考えつつ、とりあえず近くの喫茶店に入りましてね。
さてと、チョコを渡せそうな雰囲気ってのが、どんなのかわかりませんが、考えてみますか。
てか、少なくとも俺はいない方が良い気がします・・・。
てことで、頃合いを見てなんて悠長な感じじゃなく、いかにして姿を消すかってことを最優先で考えることにしますよ。
「あ、聞いて!」
そこで、ヒロは笑顔を見せましてね。
「あたし、この前の舞台を見てた人から声をかけられて・・・」
てか、セキさんから軽く聞いてたんですが、この前の舞台、メチャクチャ評判良かったそうですよ。
1回しかやりませんでしたが、普通にもったいないとかも言われてるそうです。
ついでに、セキさんの劇団に入団希望の人がたくさん来てるとも聞きましたし。
そんなわけで、ほぼ主役って感じだったヒロにも声がかかってるわけです。
しかも、1人じゃなくて、数人から声をかけられてるとか。
「その中で、映画に出てほしいって言ってくれた人がいたんだよ」
「マジで!?」
まあ、悪い言い方だとB級映画っぽいんですけどね。
こういうとこから有名になるかもしれないですし、良いと思いますよ。
そんなわけで、頑張れ~って感じの話になったんです。
その後は、どんな映画に出たいかなんて話にも発展しましてね。
ヒロは色々な役をやりたいとか話してました。
まあ、この前、舞台でやってた役も、普段のヒロとは違った感じだったし、ヒロならどんな役もこなせそうな気がしますよ。
といった話が、メチャクチャ盛り上がり、数時間が経過しました。
・・・って、無駄に時間使っちゃったし!
このままじゃ、ヒロ、ガミさんにチョコを渡せないっぽいし、俺は退散しましょうかね。
てことで、改めて、どうやって離れようか考えてたんです。
「ところで・・・ガミ君に渡したいものがあるの」
・・・って、いきなりヒロが切り出してるし!?
俺は気付かなかったけど、いつの間にかチョコを渡せそうな雰囲気になってんのか!?
てか、ヒロもガミさん同様、本題への切り出し方が下手なのかもしれませんね・・・。
とりあえず、俺は退散するタイミングを逃したんで、ここにいますか。
そんなわけで、ヒロはバッグから小包を出しましてね。
「あたし、ガミ君のおかげで将来の夢も見つけられて・・・その・・・」
ヒロは言葉を詰まらせちゃいました。
でも、深呼吸をした後、また続けましてね。
「今日、バレンタインだから、ガミ君のためにチョコを作ったの。美味しくないかもしれないけど・・・」
てか、ガミさんは驚いてる感じですよ。
「あたしの気持ちです!受け取って下さい!」
ヒロはそう言って、小包を前に出しました。
まあ、ガミさんの答えは既に知ってますが、ちょっとドキドキしちゃいますね。
・・・なんて思ってたんですが、ちょっとガミさんの様子がおかしいんです。
まあ、いつもおかしいんですけどね(失礼だって!
とりあえず、喜んでないんですよ。
「ヒロ、ごめんね。これは受け取れないよ・・・」
・・・はぁ!?
てか、何で断ってんの!?
てことで、完全に想定外のことが起きて、俺は混乱しちゃいました。
「そうだよね。迷惑だよね・・・」
ヒロは悲しそうな表情を見せました。
「ごめんね・・・」
そして、最後にそう言うと、ヒロは行っちゃいましたよ。
「ガミさん、どういうこと?」
ヒロがいなくなって、俺はそう聞きましてね。
「ヒロのこと、好きなんでしょ?」
「・・・うん」
ガミさんは困ったような表情を見せてます。
「だったら・・・」
「でも、僕はヒロと、ずっと一緒にはいられないから・・・」
ガミさんの言葉に、俺は言葉を失っちゃいました。
「ヒロに悲しい思いをさせたくないから・・・」
てか、ガミさんの表情を見て、俺は確信しましたよ。
ガミさん、ヒロのことが好きでしょうがないってぐらい好きなんだって。
でも、自分が後どれぐらい生きられるかわからないからと、ヒロの気持ちに答えなかったんでしょう。
・・・うん、納得いかないんで、俺はこう言います。
「ガミさん、バカじゃね?」
「え?」
「ヒロに悲しい思いをさせたくないとか言って、今させてんじゃん」
俺の言葉に、ガミさんは何も言いませんでした。
「それに、ヒロはガミさんのことを知った上で、思いを伝えたんじゃないの?」
「それは・・・」
「あと、俺の話、完全にスルーしてんじゃん。10年後、ガミさんはどうしてるか考える気ないわけ?」
まあ、ちょっと言い過ぎかと思いつつ、たまには良いでしょう。
そんで、ガミさんは少しだけ悩んでる様子を見せました。
「ずっと一緒にいたいって思ってんなら、そうすれば良いじゃん」
そこで、少しだけ考えた後、俺はこの言葉の続きを言うことにしました。
「もしも・・・残された時間が少ししかないとしても、一緒にいたいって気持ちがあるなら、少しでも長く一緒にいようとするのが普通じゃないの?」
てか、苦手分野である、恋愛関係のことで俺が人を説得してるってのが、信じられないですね。
でも、自然に言いたいことがポンポンと出てきましたよ。
そして、ガミさんは笑顔を見せてくれました。
「ヨッシー、ありがとう」
それだけ言うと、席を立ちましてね。
「ヒロに思いを伝えに行くから、一緒に来てくれないかな?」
そう言ってくれましたよ。
まあ、俺も一緒にって部分が納得いきませんが、しょうがないので行ってあげましょう。
てことで、ヒロの家に行きましてね。
「・・・どうしたの?」
さっきのことがあって、ヒロは落ち込んだ様子で出てきました。
そこで、ガミさんは・・・軽く固まってるし(ぇ
「ガミさん?」
「あ、うん・・・」
ガミさんは緊張してるようでして、深呼吸をしましてね。
「僕、あと1年も生きられないかもしれないって医者に言われて・・・」
てっきり、自分の気持ちを伝えるんだと思ってましたが、ガミさんはそんなことを言いました。
「だから、ヒロと一緒にいられるの、少ししかないかもしれないし・・・」
てか、改めて断ろうとしてるようにしか聞こえないし!
てことで、注意しようかと思ったんですけどね。
「あたしは、少しだなんて思わないよ」
そこで、ヒロは目に涙を浮かべました。
「あたし、ガミ君がいなかったら、今ここにいなかったかもしれないし・・・だから、この時間が大切なものだって思ってるよ」
ヒロは真っ直ぐガミさんを見ましてね。
「そんな大切な時間を、ガミ君と一緒に過ごしたいの。たとえ、1分でも1秒でも、ガミ君と過ごす時間は、あたしにとって、大きな意味を持つの!」
てか、ヒロがこんな風に自分の思いを伝えられる人だって、初めて知りました。
それに、ヒロが言ったこと、ガミさんが探してた答えみたいなものだったと思いますよ。
「僕・・・ヒロのことが好きだよ」
ガミさんは小さな声で、そう言いましてね。
そしたら、ヒロが目から涙を流しながら、笑いました。
「あたしも、ガミ君のことが好きだよ」
てことで、2人はめでたくって感じですね!
やべ、何だか普通に嬉しいんだけど!
とはいえ、俺は空気を読みますからね。
「じゃあ、俺は帰るから、2人でどっか行くなり、話するなりしなよ」
とりあえず、2人きりにした方が良いだろうってことで、俺は帰ることにしました。
ただ、その帰り道、何だか寂しかったんですよ。
ガミさんとヒロをくっつけようと動いて、上手くいったわけなんですけどね。
俺、普通に1人で何やってんだろうな~なんてことを思ったり。
まあ、最近は身近な人の恋愛にも、あまり関わってなかったですしね。
あと、それなりに1人でも楽しんでました。
でも、今回、ガミさんとヒロの件で、結構関わってしまったわけで、自然と自分も・・・って考えが生まれちゃってるのかもです。
そんなことを考えつつ、家に着いたんですけどね。
「あ、ヨッシーさん!」
「・・・ミサ!?」
普通にミサがいました。
てか、いつからそこにいるんだよ!?
「連絡してくれれば良かったのに・・・」
「それだと、サプライズになりません!」
「いや、てか、なぜにサプライズに拘るわけ?」
とまあ、そんな話をしたんですけどね。
ミサの手に、小包があったんです。
・・・って、もしかして?
「バレンタインなので・・・良かったら、食べて下さい!」
・・・!?
「え、これ何?」
「その・・・チョコです。一昨日から作り始めたんですけど、今朝まで出来なくて・・・」
てか、普通にチョコもらえましたよ!
一昨日から作り始めて、今朝完成って部分に疑問を感じますが、この際スルーです(?
「ありがとう!」
まあ、普通に受け取りましてね。
「てか、手作りってこと?」
「はい、上手に出来ませんでしたが・・・」
よく見ると、ミサ、指に絆創膏をつけてます。
そこまでして、頑張ってくれたってことだと思いますし、嬉しいじゃないですか!
・・・チョコを作る過程で、指を怪我する要素、あまりない気がしますけど。
「じゃあ、食べて下さいね!」
てことで、ミサは行っちゃいました。
・・・って、これを渡しに来ただけってこと?
ついでに、特に告白されたわけでもないから、義理チョコかもだし・・・。
とまあ、ちょっとテンションが下がったんですが、家に入り、早速開けてみたんです。
お、ハート型じゃん!
やべ、何かまたテンション上がってきたんですけど!
ちょっと表面に、ヘラか何かでならしたような跡がついてるけど、この際、気にしませんよ!
まあ、食べて下さいと言ってたし、早速食べますか!
てことで、頂きまーす!
・・・ガッ!
・・・って、硬いし!!
普通に歯が折れるかと思ったわ!!
てか、ならした跡がついてる時点で気付くべきでしたね・・・。
多分、チョコを溶かして、型に入れた後、固めただけっぽいです。
知らない人もいるかもしれませんが、そんなことをすると、チョコがメチャクチャ硬くなりまして、色んな意味で歯が立たなくなるんですよ・・・。
そんなわけで、このチョコ、嫌がらせなのかな~?なんてことを軽く感じた1日でした。
・・・てか、これ、どうしよう?
今回で余談的な章である『バレンタイン大作戦』は終わりです。
ガミさんとヒロの関係に、早くも1つの区切りが訪れた章でした。
ヨッシーの目線で描いているため、急展開なようにもしていますが、ヨッシーが応援したくなるほど、相性は抜群に良い2人なので、今後の進展も楽しみにして頂けると嬉しいです。
また、ヨッシーが苦手分野としている恋愛関係の事に、自ら関わっていった章でもありました。
その中で、ヨッシーの成長なんかを感じて頂けると幸いです。