表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
315/390

多少はのんびりと

2010/02/08(月)


昨日、ちょい役とはいえ、自分が舞台に出たってことが、軽く信じられないヨッシーですよ。

何だかんだで、あっという間の出来事でしたからね。


さて、舞台も終わり、軽くのんびり出来そうです。

「ヨッシーさん、時間ありますか?ちょっと来てもらいたいんですけど・・・」

まあ、途中でミサが来たんですけどね。

普通に今日は月曜だし、大学はどうした?って言いたいとこですが、昨夜は遅かったし、ほっときましょう。


そんなわけで、ガミさん宅に行きましてね。

「ヨッシー、昨日話したことなんだけど・・・」

そういえば、昨日は色々とあり過ぎて、言ってませんでした。


「俺は別に態度とか変える気ないよ。ただ、ガミさんの事情はわかったし、色々と気を付けてね」

とはいえ、これだけは言います。

「でも、出来ることとか出来ないこととか、その辺のことは教えて。これは別にガミさんが特別とかじゃなくて、友達として知っておきたいからさ」

前にも言いましたが、俺にも出来ること、出来ないことがあります。

そんで、出来ないことはカバーしてもらいたいって気持ちもありますからね。

その分、ガミさんに出来ないことはカバーしてあげたいですし。


そんな話をしたら、ガミさんもミサも安心した様子を見せました。

「てか、もっと俺を信用しろっての」

ちょっとえらそうかなと思いつつ、こんなことを何度か繰り返してますからね。

思わず、そう言っちゃいましたよ。


「黙ってて、ごめんね」

「まあ、それは別に良いよ」

「僕も・・・あまり言いたくなかったから」

そこで、ガミさんは悲しい目になりました。


「本来だったら、僕はもうここにいなかったと思うし、心臓移植を受けたおかげで、ヨッシーとも会えたんだけど・・・」

てか、ガミさんの話を聞いてて、気付いたことがありました。

ガミさんは1度、自らの死を受け入れたみたいです。

その中で、偶然ドナーが見つかって、助かったわけですが、今この瞬間も危険な状態と言えるのかもしれません。

だからか、今も自分の死を覚悟してるような印象を持ちました。


「実は・・・もしかしたら、1年も持たないかもしれないって言われたんだよ」

「そっか」

でも、こうして口に出すと、自ら認めちゃうって感じにもなるからと避けてたみたいです。


てか、俺はやっぱり、何を言えば良いか、わからなくなっちゃったんですけどね。

「てか、ゲーム作り、進めないとね」

とりあえず、こんなことから言ってみて、それから未来に対する目標みたいな話をしようと思ったんです。

「考えてみれば、俺も、いきなり交通事故とかで命を落とす可能性があるわけだし、今出来ることをやんないとね」

そして、真剣な目でガミさんを見ました。


「10年後、お互いに何をしてるか、考えようよ」

クリスマスの時、ガミさんからヒントを得て、未来をテーマにしたような、そんな曲を作って、自ら歌いました。

そのことを思い出しながら、今、この話がしたかったんです。


まあ、上手く言えないんですけど、ガミさんに、もっと先のことを考えてほしいと思ったんです。

ガミさん、他人の将来なんかは考えるのに、自分の将来は考えてないようですしね。

てか、普通に将来の夢とか持ってほしいんですよ。


「俺、ガミさんは10年後、何か料理に関することで賞とかもらってて、誰かと結婚もしてて、子供だっていて・・・」

そんなことを色々と言ってみました。

そしたら、ガミさんは笑顔を見せてくれましてね。


「現実は厳しいから、上手くいかないことも、あると思うけど、夢を持つのは勝手でしょ?」

「うん、そうだね・・・」

てか、俺はガミさんのおかげで、色々と変わりましたからね。

ガミさんにも変わってほしいって思ったんです。


で、そんな話をした後もガミさんと一緒にいまして、そしたら、ヒロから連絡がありました。

まあ、これから、軽い打ち上げをやらないかって話になったんです。

ただ、打ち上げと言ってもヒロは酒を飲めないって話でしてね。

少し考えて、ガミさん宅で食事会をすることにしましたよ。

思えば、ヒロはガミさんの料理を食べたことないと思うし、上手くいけば、ガミさんに対する印象が良くなるかもです。


そんなわけで、夜、ヒロに来てもらいました。

そんで、ガミさんの料理を食べてもらったんですけどね。

「美味しい!」

予想通り、好印象みたいです。


その後、ヒロから礼を言われたりしましてね。

「実は昼間、親に会ったんだよ」

「え?」

まあ、普通に心配しちゃったんですけど。


「また、あたしのせいで生活が苦しいとか言ってきて・・・」

てか、俺の予想通り、重い話かなと、この時は思いました。

「だから、そんなことない。全部自分のせいでしょって言っちゃった」

「え?」


そこで、ヒロは笑いましてね。

「昨日演じた、気の強い役で言ったから、驚いてたよ」

ヒロは笑顔のまま、続けました。

「でも、おかげで演技じゃない、本当のあたしがスッキリ出来たから、良かったよ」


てか、ガミさんって、人を変える才能があるんじゃないですかね?

自分のことよりも、他人のことを考える性格みたいですし。

少なくとも、俺やヒロはガミさんのおかげで変わりましたし。


「あと、あたし、女優を目指してみようと思うの」

「え!?」

てか、俺は驚いちゃったんですけどね。

「うん、頑張って!」

「応援してます!」

元はガミさんが言ったことだし、ガミさんとミサは早速応援モードですよ。


ちなみに、女優を目指すからという理由で、ヒロはセキさんの劇団に入らないそうです。

みんな、残念がってたみたいですが、応援もしてくれたそうですよ。

とはいえ、何かあった時には、また助っ人のような形で参加するかもしれないとは言ってました。


あと、ガミさんが、こんなことを言いましてね。

「だったら、ヒロの夢が叶うように、これをあげるよ!」

てことで、ミサンガが登場ですよ。

まあ、ヒロは少しだけ考えた後、ミサンガをつけました。

「ハリウッド女優になれますように・・・」

って、大きく出たし!?


その後、ガミさんは片付けがあるからと残り、俺がミサとヒロを送ることになりました。

まあ、まずは駅までってことで、近いミサから送りましてね。

「ヨッシーさん、ありがとうございました」

「別に、俺は何も変えないだけじゃん」

そんな風に言ったんですが、ミサにとってはそれが嬉しかったようです。


「お兄ちゃんのこと、よろしくお願いします」

そういえば、以前はこんなことを言われた時、適当に答えてましたね。

「うん、わかった」

でも、今は、そう答えますよ。


そんでミサを送った後は、ヒロを家まで送ります。

「女優になるの、大変だと思うけど、頑張って」

とりあえず、そんな話をしましてね。

「うん、夢と現実は色々と違うし、悩むこともあると思うけど、頑張るよ」

「まあ、何かあったら、ガミさんとか俺に話してよ。話を聞くぐらいは出来るからさ」


もう、ヒロは自分を傷付けるようなこと、しないと思います。

とはいえ、悩んでしまった時とか、わけのわからない行動を取ることとかあると思います。

「うん、ありがとね」

でも、何かあった時、1人で抱え込む必要はないってわかってるだけで、気持ちも楽になりますよね。

まあ、俺がそんな感じだからこそ、ヒロに対しても、こんな話をしたんですけど。


そんなこんなで、ヒロの家に到着しました。

「じゃあ、おやすみ」

「あ、ヨシ君?」

そこで、ヒロは少しだけ言葉を詰まらせました。


「その・・・ガミ君って好きな人いるのかな?」


最初、俺はその質問を素直に受け取りましてね。

ヒロが好きだって言いかけて、言っちゃダメだろって止めて・・・。

そこでやっと、ヒロがそんな質問をした理由を考えたんです。


「ヒロ、もしかして・・・」

「あ、やっぱり何でもないよ!」

そんな風に慌てた様子を見せた後、ヒロは家に入っちゃいました。


てか、ガミさんとヒロ、まさかの両想い!?

とまあ、そんなことが明らかになりましてね。

個人的に2人なら上手くいくと思うし、良いんじゃないかなと思った1日でした。

今回で『夢と現実』は終わりです。

ヒロとガミさんを中心に、夢を目指す事の大切さと、現実の厳しさ等を描いた章でした。


どんなに恵まれた才能を持っていても、運が絡んでしまう職業は多くあり、そうした職業は夢と呼ばれる事が多いです。

今回、そんな職業の1つとして役者を例に挙げましたが、個人的にはそうした職業を目指す人を応援したいと思います。


また、今回の章を書く上で、役者をしている(していた)知り合い数人の話を参考にさせて頂きました。

これを読んでいるかはわかりませんが、この場を借りて感謝の言葉を贈ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ