多少はのんびりと
2010/02/08(月)
昨日、ちょい役とはいえ、自分が舞台に出たってことが、軽く信じられないヨッシーですよ。
何だかんだで、あっという間の出来事でしたからね。
さて、舞台も終わり、軽くのんびり出来そうです。
「ヨッシーさん、時間ありますか?ちょっと来てもらいたいんですけど・・・」
まあ、途中でミサが来たんですけどね。
普通に今日は月曜だし、大学はどうした?って言いたいとこですが、昨夜は遅かったし、ほっときましょう。
そんなわけで、ガミさん宅に行きましてね。
「ヨッシー、昨日話したことなんだけど・・・」
そういえば、昨日は色々とあり過ぎて、言ってませんでした。
「俺は別に態度とか変える気ないよ。ただ、ガミさんの事情はわかったし、色々と気を付けてね」
とはいえ、これだけは言います。
「でも、出来ることとか出来ないこととか、その辺のことは教えて。これは別にガミさんが特別とかじゃなくて、友達として知っておきたいからさ」
前にも言いましたが、俺にも出来ること、出来ないことがあります。
そんで、出来ないことはカバーしてもらいたいって気持ちもありますからね。
その分、ガミさんに出来ないことはカバーしてあげたいですし。
そんな話をしたら、ガミさんもミサも安心した様子を見せました。
「てか、もっと俺を信用しろっての」
ちょっとえらそうかなと思いつつ、こんなことを何度か繰り返してますからね。
思わず、そう言っちゃいましたよ。
「黙ってて、ごめんね」
「まあ、それは別に良いよ」
「僕も・・・あまり言いたくなかったから」
そこで、ガミさんは悲しい目になりました。
「本来だったら、僕はもうここにいなかったと思うし、心臓移植を受けたおかげで、ヨッシーとも会えたんだけど・・・」
てか、ガミさんの話を聞いてて、気付いたことがありました。
ガミさんは1度、自らの死を受け入れたみたいです。
その中で、偶然ドナーが見つかって、助かったわけですが、今この瞬間も危険な状態と言えるのかもしれません。
だからか、今も自分の死を覚悟してるような印象を持ちました。
「実は・・・もしかしたら、1年も持たないかもしれないって言われたんだよ」
「そっか」
でも、こうして口に出すと、自ら認めちゃうって感じにもなるからと避けてたみたいです。
てか、俺はやっぱり、何を言えば良いか、わからなくなっちゃったんですけどね。
「てか、ゲーム作り、進めないとね」
とりあえず、こんなことから言ってみて、それから未来に対する目標みたいな話をしようと思ったんです。
「考えてみれば、俺も、いきなり交通事故とかで命を落とす可能性があるわけだし、今出来ることをやんないとね」
そして、真剣な目でガミさんを見ました。
「10年後、お互いに何をしてるか、考えようよ」
クリスマスの時、ガミさんからヒントを得て、未来をテーマにしたような、そんな曲を作って、自ら歌いました。
そのことを思い出しながら、今、この話がしたかったんです。
まあ、上手く言えないんですけど、ガミさんに、もっと先のことを考えてほしいと思ったんです。
ガミさん、他人の将来なんかは考えるのに、自分の将来は考えてないようですしね。
てか、普通に将来の夢とか持ってほしいんですよ。
「俺、ガミさんは10年後、何か料理に関することで賞とかもらってて、誰かと結婚もしてて、子供だっていて・・・」
そんなことを色々と言ってみました。
そしたら、ガミさんは笑顔を見せてくれましてね。
「現実は厳しいから、上手くいかないことも、あると思うけど、夢を持つのは勝手でしょ?」
「うん、そうだね・・・」
てか、俺はガミさんのおかげで、色々と変わりましたからね。
ガミさんにも変わってほしいって思ったんです。
で、そんな話をした後もガミさんと一緒にいまして、そしたら、ヒロから連絡がありました。
まあ、これから、軽い打ち上げをやらないかって話になったんです。
ただ、打ち上げと言ってもヒロは酒を飲めないって話でしてね。
少し考えて、ガミさん宅で食事会をすることにしましたよ。
思えば、ヒロはガミさんの料理を食べたことないと思うし、上手くいけば、ガミさんに対する印象が良くなるかもです。
そんなわけで、夜、ヒロに来てもらいました。
そんで、ガミさんの料理を食べてもらったんですけどね。
「美味しい!」
予想通り、好印象みたいです。
その後、ヒロから礼を言われたりしましてね。
「実は昼間、親に会ったんだよ」
「え?」
まあ、普通に心配しちゃったんですけど。
「また、あたしのせいで生活が苦しいとか言ってきて・・・」
てか、俺の予想通り、重い話かなと、この時は思いました。
「だから、そんなことない。全部自分のせいでしょって言っちゃった」
「え?」
そこで、ヒロは笑いましてね。
「昨日演じた、気の強い役で言ったから、驚いてたよ」
ヒロは笑顔のまま、続けました。
「でも、おかげで演技じゃない、本当のあたしがスッキリ出来たから、良かったよ」
てか、ガミさんって、人を変える才能があるんじゃないですかね?
自分のことよりも、他人のことを考える性格みたいですし。
少なくとも、俺やヒロはガミさんのおかげで変わりましたし。
「あと、あたし、女優を目指してみようと思うの」
「え!?」
てか、俺は驚いちゃったんですけどね。
「うん、頑張って!」
「応援してます!」
元はガミさんが言ったことだし、ガミさんとミサは早速応援モードですよ。
ちなみに、女優を目指すからという理由で、ヒロはセキさんの劇団に入らないそうです。
みんな、残念がってたみたいですが、応援もしてくれたそうですよ。
とはいえ、何かあった時には、また助っ人のような形で参加するかもしれないとは言ってました。
あと、ガミさんが、こんなことを言いましてね。
「だったら、ヒロの夢が叶うように、これをあげるよ!」
てことで、ミサンガが登場ですよ。
まあ、ヒロは少しだけ考えた後、ミサンガをつけました。
「ハリウッド女優になれますように・・・」
って、大きく出たし!?
その後、ガミさんは片付けがあるからと残り、俺がミサとヒロを送ることになりました。
まあ、まずは駅までってことで、近いミサから送りましてね。
「ヨッシーさん、ありがとうございました」
「別に、俺は何も変えないだけじゃん」
そんな風に言ったんですが、ミサにとってはそれが嬉しかったようです。
「お兄ちゃんのこと、よろしくお願いします」
そういえば、以前はこんなことを言われた時、適当に答えてましたね。
「うん、わかった」
でも、今は、そう答えますよ。
そんでミサを送った後は、ヒロを家まで送ります。
「女優になるの、大変だと思うけど、頑張って」
とりあえず、そんな話をしましてね。
「うん、夢と現実は色々と違うし、悩むこともあると思うけど、頑張るよ」
「まあ、何かあったら、ガミさんとか俺に話してよ。話を聞くぐらいは出来るからさ」
もう、ヒロは自分を傷付けるようなこと、しないと思います。
とはいえ、悩んでしまった時とか、わけのわからない行動を取ることとかあると思います。
「うん、ありがとね」
でも、何かあった時、1人で抱え込む必要はないってわかってるだけで、気持ちも楽になりますよね。
まあ、俺がそんな感じだからこそ、ヒロに対しても、こんな話をしたんですけど。
そんなこんなで、ヒロの家に到着しました。
「じゃあ、おやすみ」
「あ、ヨシ君?」
そこで、ヒロは少しだけ言葉を詰まらせました。
「その・・・ガミ君って好きな人いるのかな?」
最初、俺はその質問を素直に受け取りましてね。
ヒロが好きだって言いかけて、言っちゃダメだろって止めて・・・。
そこでやっと、ヒロがそんな質問をした理由を考えたんです。
「ヒロ、もしかして・・・」
「あ、やっぱり何でもないよ!」
そんな風に慌てた様子を見せた後、ヒロは家に入っちゃいました。
てか、ガミさんとヒロ、まさかの両想い!?
とまあ、そんなことが明らかになりましてね。
個人的に2人なら上手くいくと思うし、良いんじゃないかなと思った1日でした。
今回で『夢と現実』は終わりです。
ヒロとガミさんを中心に、夢を目指す事の大切さと、現実の厳しさ等を描いた章でした。
どんなに恵まれた才能を持っていても、運が絡んでしまう職業は多くあり、そうした職業は夢と呼ばれる事が多いです。
今回、そんな職業の1つとして役者を例に挙げましたが、個人的にはそうした職業を目指す人を応援したいと思います。
また、今回の章を書く上で、役者をしている(していた)知り合い数人の話を参考にさせて頂きました。
これを読んでいるかはわかりませんが、この場を借りて感謝の言葉を贈ります。