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救えた命

2009/11/13(金)


色々とがんばってみたけど、くしゃみが止まらないヨッシーですよ。

てか、ネットで調べたんですけど、犬を洗ったりするのは週一ぐらいが限度だそうです。

アッキーも言ってましたが、シャンプーなんかで肌が荒れたりしちゃうそうですしね。

てことで、部屋の掃除やら空気の入れ替えやらをしてる今が、自分に出来るアレルギー対策の限界になります。


・・・それで、冒頭に書いた通り、くしゃみが止まらないっていうんじゃ、もうどうしようもないですよね。

まあ、でも、何とかしようと思いつつ、今日はとりあえず散歩に連れてくことにしました。

てことで、首輪を着けたりして、出発です。


そしたら、丁度外にガミさんとアッキーがいましてね。

「何やってんの?」

「あ、見つかっちゃった・・・」

「はぁ?」

てか、ガミさんの言葉から、俺に内緒で何かしようとしてることが丸わかりですよ。

そんで、2人とも紙を束で持ってて、すぐにピンときました。


「貼り紙?」

「あ・・・うん」

「ヨッシー、聞いて。この辺りに住んでる人が飼ってくれれば、時々遊びに行ったりも出来るし・・・」

「そうそう都合良く飼い主なんて見つからないだろうし、俺が世話するって」

「だから・・・」

アッキーはどう言おうか迷ってる様子だったんですけどね。


そんなアッキーに変わり、ガミさんが話しかけてきました。

「ヨッシーはすごい人だから、色々なことが出来るのは当たり前だと思ってたし、今まで黙ってたんだけど・・・」

てか、色々とツッコミどころが満載ですが、とりあえず話を最後まで聞きますか。

「ヨッシーは無理してるよ!」

そんなこと言われちゃいました。


まあ、多少は自覚ありますけどね。

「最期にマサから、出来ることをしろって言われたんだよ。だから、出来ることをしてるだけで・・・」

前も言いましたけど、俺って単純です。

マサに言われたことを守ろうって感じで、色々と意地になってますし。


「別に無理してないよ」

自分でも、どこがだよ?って言いたくなるぐらい、嘘っぽい台詞ですね。

てか、正直なところ、普通に具合悪い感じになっちゃってるし。

そんな俺の状態がわかってるようで、ガミさんも引き下がらない状態でしてね。

そのまま、しばらく言い争いって感じになっちゃいました。


「あら、どうしたの?」

そこで、買い物に行ってたらしい大家さんが丁度帰ってきましてね。

ガミさんなんかが持ってる貼り紙に目をやりました。

まあ、それで、早速ポチを手放そうとしてるって思ったみたいでしてね。


「結局、飼わないことにしたの?」

「それは、勝手にガミさんが・・・」

「ヨッシー、犬アレルギーなんです!だから、このアパート、またペット禁止にして下さい!」

・・・ガミさん、それは無茶じゃね?

このアパートのルール、そんなガミさんの一存で変わらないだろ!


「犬アレルギーなの?」

「あ、大したことないので・・・」

「何度もくしゃみしてるじゃん!」

「俺が大丈夫って言ってんだから、大丈夫だよ」

そんな感じにガミさんと言い争いを再開してたんですけどね。


「犬アレルギーなのに、犬を飼うなんて難しいよ」

大家さんからも、そんなことを言われちゃいました。

「でも、ポチの世話をちゃんとしてくれる人、見つからないですし・・・」

てか、ガミさんじゃないんですけどね。

ポチを見ず知らずの人に任せたくないなんて、考えも生まれちゃってるんです。

もし、ポチが誰か知らない人の家に引き取られちゃったら、なかなか遊びに行けないじゃないですか?

そんなのは嫌なんですよ。


てことで、悩んでたんですけどね。

「全く、しょうがないね」

大家さんは呆れた様子で笑いました。

「だったら、私が引き取るよ」


・・・え?

一瞬、何を言われたのか、全く理解出来ませんでした。


「私には任せられない?」

「いえ、そんなこと・・・」

てか、犬の世話の仕方とか大家さんから教わってるぐらいですからね。

任せられないなんて考えが生まれるわけがないんです。


「でも、どうしてですか?」

ただ1つだけ、そんな疑問というか、不安があったんです。

言い方は悪いですが、思い付きで言ってるだけじゃないかとか、そんな風に思っちゃいましたし。


そこで、大家さんは少しだけ笑いましてね。

「私も10年ぐらい前に捨て犬を拾って、世話してたんだよ。でも、何年か前に亡くなって、それが悲しくてね」

「そうなんですか・・・」

「それで、もう犬は飼わないって決めたんだよ。でも、何もしなかったら、この子は殺されてしまうってことの方が悲しいからね」


考えてみれば、大家さんとは今までほとんど接することがなかったのに、ポチの件では随分と気にかけてくれました。

それは犬を大切に思う気持ちがあったからかもしれません。

てか、絶対そうですね。


「でも、本当にお願いして良いんでしょうか?」

だけど、大家さんに負担をかけてしまっても良いのか、心配だったんですよ。

でも、俺の質問に大家さんはまた、笑顔を見せてくれました。

「あなた達のおかげで、この子を飼うことが出来る。私はそうとしか考えてないよ」

そんな風に言ってもらえて、やっと安心しました。


「じゃあ、お願いします!」

もう、お願いしない理由が見つからないですからね。

「いつでも構わないから、時々、散歩に連れて行ってあげたりしなさい」

「あ、丁度今、行こうと思ってたので行ってきます」

「じゃあ、私も行く!」

「僕も!」


そんな感じで、ガミさんとアッキーも連れて、散歩に出かけました。

「ヨッシー、良かったね!」

「うん・・・でも、これで良かったのかな?ポチだけは救うなんて言って、結局は大家さんに任せちゃったし」

「ヨッシーは出来ることを精一杯やって、そのおかげでポチを救うことが出来たんだよ!」

ガミさんの言葉、微妙に納得いかなかったんですけどね。


「それに、ポチを飼うことは大家さんの出来ること。ヨッシーは他にたくさん出来ることがあるんだから、それをしないと」

「そういうもんかな?」

「もう、解決したんだから、素直に喜びなよ」

はい、アッキーの言う通りですね。

ポチがちゃんとした人のところに引き取られるってことなら、それで満足と考えましょう。


でも、今回はホント運が良かったと思います。

結果的に、良い形で解決しましたしね。

だけど、今回知った、ペットに関する様々な問題。

それに対して自分が思ったこと。

そういったことは忘れないようにしないといけないなと思った1日でした。


あ、ちなみに帰った後、部屋を大掃除したら、くしゃみが止まりましたよ~(ヤッタネ

ヨッシーの変化も描いた、『救える命』は今回で終わりです。

この章に限った事ではありませんが、実際に自分が経験したエピソードを元に作りました。

自分自身、様々な理由でペットを飼いたくても飼えない1人です。

そんな自分だからこそ、悲しい現実に対して、何か出来ないかと思い、この章を入れさせて頂きました。

この章から、俺ガミの中で大切にしているテーマである、「出来ること」について、少しでも考えて頂けたら、大変嬉しいです。

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