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2話 帰還方法と決意

        

      第2話 帰還方法と決意


「私達もう帰れないの?」

「お父さん...お母さん...」

 異世界召喚という今の状況や帰還方法が分からないと言われほとんどのクラスメイトが混乱している中、一人立ち上がるものがいた。それは、山田雄太郎(やまだゆうたろう)だった。彼はクラスでは漫画やアニメに詳しいいわゆるオタクであった。それ故に、今の状況への適応が早かった。

 

「みんな僕は、この世界の人達が困っているなら助けたいと思う。」

 山田がそう言うと西園寺が立ち上がり山田の胸ぐらを掴んだ。

「うっせぇぞ!オタクは黙ってろ!今の状況わかってんのか?俺ら全員こいつらに誘拐されたんだぞ!」

「ひっ!?ご、ごめんなさい」

 西園寺の怒りはピークの達しており、このままでは暴れ出すのではないかと思った。その時、俺たちを囲っている騎士の中から杖をついた白髪の老人が二人に近づいて行った。

「まぁまぁ、少し落ち着きなさいな」

「あぁ?何だテメェ!」

ドンッ

 衝撃音と共に信じがたい光景が目に飛び込んできた。先ほどまで山田の胸ぐらを掴んでいた西園寺が床に押し倒され、老人が西園寺を抑え込んでいたのだ。

西園寺はあんな性格だが格闘技界では名が知られていて、テレビなどでたまに見かけるような人物なのだ。そんな西園寺が老人相手に身動き一つ取れないという状況に俺たちは動揺が隠せなかった。

「おいジジイ!離しやがれ!」

「ちっとばかし大人しくしてくれんかのぉ。」

 そう言うと老人は西園寺を押さえ込みながら話始めた。


「まず、お主らは勘違いをしておる。帰る方法がないわけではなく、ワシらがその方法を知らないだけなのじゃ。魔族が侵略を始めた数百年前も勇者召喚は行われたのじゃよ。その結果魔族の数は減りワシらでも拮抗できるまでになったのじゃ。そして、その時の勇者は元の世界に戻ったものも居れば、この世界に残ったものもいるそうじゃ」

「一つ質問いいかしら?」

 そう言いながらピシッと手を挙げる人がいた。

 彼女は篠宮沙耶(しのみやさや)。篠宮財閥の一人娘で容姿端麗、成績優秀。そして、俺たちのクラスの委員長。物言いは少しきついがそれ以上に結果を出している。だから、俺達のクラスで彼女に逆らえる人はほぼいない。

「良いぞ。言うてみ」

「この世界に残った勇者がいると言ってけど、その人達は帰還方法について何か残したりいなかったのかしら?」

「ふむ。残していたのかもしれないがこの世界に残った勇者はどこかの国に貴族や王族になったりや危険な地域で隠居したりしてしまったからのぉ。残していてもそれぞれの国で厳重に管理されておるか危険な魔物の住処の中じゃからワシらには取りにいけんのじゃよ。」

「じゃあもう一つ質問良いかしら?この国に残った勇者はいなかったのかしら?」

「この国に残った勇者は一人居ったよ。その勇者が残したものは勇者召喚についての書物と勇者が使っていた聖剣この二つじゃな」

「そう、質問に答えてくれたこと感謝するわ」


 篠宮は老人と会話を終えると立ち上がりクラスメイトたちの中央に向かった。

「みんな話は聞いていたでしょ?元の世界に戻る為に魔族とかいう奴らを倒すしかないみたい。私は元と世界に戻りたいだから戦うわ!貴方達はどうする?」

 元の世界に戻れないと思っていたクラスメイト達は顔を上げ篠宮の意見に賛同した。

「俺はやるぞ!」

「帰る方法を絶対に探してやる」


 

 しかし、それでも半分ぐらいの人はまだ下を向いたままだった。それもそのはず、元々の強い口調からクラスで浮いていた篠宮が言っても聞くものは少ない。

反対はしないが賛同もしない。

 そんな時皇光輝(すめらぎこうき)が動いた。皇光輝。彼は芸能人としてよくテレビで見かけた。スポーツ、勉強何においても彼が一番篠宮でさえ彼には勝てなかった。何に置いても完璧超人だ。


「俺も篠宮さんに賛成だ。元の世界に帰りたいというのも理由の一つだが、この世界の人が困っていて俺たちが救える力を持っているというのならば、俺はその力を使ってこの世界の人達を助けたいと思うんだ。みんなはどうかな?」


「皇くんが戦うなら私も!」

「確かに二人がやるって言ってるのなら!魔王も簡単に倒せちゃうかも」

「俺もやってやる!」

 皇の言葉で残りの半分の賛同を得ることができ、最終的に全員戦いに参加する流れとなった。西園寺が拒否するかと思ったがあの老人にやられたのが相当悔しかったのだろう。拘束を解いてもらった後、終始老人を睨みつけていた。


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