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eleven （side 小梅）

（それにしても、あんな素人が作った感丸出しの花束で大丈夫かな）

少しだけ、不安が残っている。

（リボンだって……果物籠のだなんて、やっぱりやめた方が良かったかな）

その時は良いアイデアだと思ったが、冷静になってみると、そうでもないような気がしてくる。

物腰の柔らかい、男性だった。腕につけていた時計もとても高級そうなもので、多摩さんがハイスペックと評したのも分かる気がした。

顔立ちも整っていて、その態度に好感が持てたし、何より恋人に花束をあげるだなんて、なんて心の優しい人なのだろうと思った。

こんなにも優しい男性に愛されている女性は、一体どんな人なんだろう、と考える。

普段はあまり見ないテレビの中にいる、名前はわからないが綺麗な女優やモデルの顔が思い浮かんだ。頭の中で並ばせると、しっくりときて、ちょっと嬉しくなった。

（うわあ、ピッタリだあ。絵に描いたような恋人同士だな）

自分の身長が気になった。チビな私には遠い存在だ。けれど、そこを羨んでも仕方がない。

（それにしても、あの花束。お二人の仲がうまくいくといいな）

この人のために何とかしてあげたい、助けてあげたい、そう思って一生懸命考えて作った花束だった。が、果たして自分が作った花束で大丈夫だっただろうか？

騒ぐ胸を落ち着けるように、私は胸に手を当てた。少しだけドキドキしてくる。うまくいきますように、何事もありませんようにと小さく願った。