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自殺願望ちゃんとペペロンチーノ男爵

作者: KAREHA

投稿主自信知識があまりないため不快な言葉や気になる点些細な事でも報告して下さると幸いです

貴方のプラスになりますように

ペ→ペペロンチーノ男爵

自→自殺願望ちゃん 下のイラストは自殺願望ちゃんのイメージです。話題のAIイラストを使用してます。著作権が怖いです。

挿絵(By みてみん)


自殺願望ちゃんとペペロンチーノ男爵

福岡県○○市 二千二十二年十一月七日二十一時四十四分




自転車での配達の帰りに君を見た

冬休み、俺は短大二年目

お金が欲しくてバイトを始めた ピザを配達するバイトだ 免許は持っていないので自転車で配達をしている 家からは近くでバイト先の人達もいい人達だったから上手くやれていたと思う

理由は忘れたけどその日は忙しかった ぼーっとしながら配達先から帰っているとふと人影が目に映った

そこは新築の住宅に囲まれた場所 大きな湖があって底が深く比較的綺麗な場所だ 辺りは静かでその人影が嫌に目立った


大きな湖は岩場のためぐるっと一周柵が掛かっていた その人影は柵の内側にいて岩場に微動だにせず突っ立っている


もしかして自殺だろうか 配達も面倒だったし休憩がてら声を掛けてみることにした

「なぁ、何してんだ?」

後ろから柵越しに話しかける

「…」

声に反応し振り向く 無言のままこっちを見つめている 薄暗くてよく分かりづらいが黒の長髪で上下黒の服だ 綺麗な顔立ちをしている

スタイルもいい 美少女って言葉が似合う


「そこ危ないぜ?」

「…」

彼女は無言だ

「もしかしてなんだけどさぁ君自殺しようとしてる?」


自殺と思った理由は至ってシンプル 顔の表情が暗いし危険な場所にいたから あと一歩踏み出せば彼女は深い湖に真っ逆さまだ いやその前に岩にぶつかって死ぬかも 彼女が無言のため立て続けに喋る


「死にたいってどんな感じ?やっぱ怖い?俺はさ死にたいって何度も思ってんのに死ぬのが怖いんだよなぁ 君もそんな感じ?」


彼女は無言のまま湖の方を向いた 本来一般というか当たり前の人間ならここで彼女の自殺を引き止めるべきなんだろう

しかしこの日の俺は、その、なんというか、とても恥ずかしい話だが……全員死ね状態になっていた

はぁ、もう、恥ずかしい


詳しく話すとイライラや自分の不甲斐なさとか色々マイナスな時 思考回路がおかしくなる状態だ

この説明をした理由はこの直後の言い訳としてとても大事だからだ 念の為もう一度、大事だからな!


「俺さぁ、別に君の自殺を止めたい訳じゃないんだよね」

全てがどうでもいい

「正直な所自分以外の人間なんてどうでもいいし」

自分は最低だと思った でも仮にこれから死ぬんだったら言ってもいいとも思った

「まぁここから言うことはヤバいやつの類いなんだろうけど、いいや、どうせ死ぬ人だし」


「俺とエッチしてから一緒に自殺しねぇ?」

今更弁明の余地はないがただの犯罪だ 言い訳も甚だしい


「急な話で悪いんだけどさ、周りのやつが五月蝿いんだよな 童貞を自慢してきたり卒業したとかなんとかさ なんでそんなに威張れるか分からないんだよな その話をでかい声で話すやつの気もしれないし。気持ち悪いって伝えても強がりだのなんだのと…」


俺は異性に興味があまり無い が 付き合ったら付き合ったで愛すし一人なら一人でスローライフを過ごす そんな感じだ

「本当に不愉快な連中だよ」

さっきまでエッチしてから自殺しようと言ってたやつが何言ってんだか…説得力の無い言葉だな…ふっ(笑)


「あ、えっちしたい理由は経験してみたいからなんだよね 俺何事も可能な範囲であれば経験してみたいんだよね」


これはまじのまじだ 実際一度経験してみたくてクラブやゴルフ、それこそ今のバイトもそうだ やってみたかったからやった


「それでさ、一緒に自殺した時さ、あいつ女と自殺したらいしぜ…みたいになったら面白くね?」

彼女の顔が何故だか汚物を見るような目になってる気がした


「俺今頭おかしくてさ、あ薬物とかじゃないよ?吹っ切れてんの もう全てがどうでもよくてさ」


一方的に汚物が話すと彼女が消え入りそうな寂しい声でようやく声を出した

「別に…いいけど」


色々嬉しかった 話してくれたし声も良いし顔も良いし了承してくれたし そこには明確な温度差があったが気にも留めなかった


「まじで!じゃああと少しだけ待っててくんね?今から体調悪いって言ってバイト速攻で終わらせてくるからさ!それまでに自殺すんなよ!絶対!柵から出て!今直ぐに!」


半ば強制に彼女を柵の外に乗り越えさせた 俺は軽く手を振り全力で自転車を漕いで帰った


体調不良を言い訳に早上がり 平気に淡々と嘘を述べる自分が普段通りの為なんとも思わない 罪悪感とかも何も感じない


駐輪場にある愛用の通勤自転車に乗り換え直行で大きな湖にいる彼女の場所に向かった


着いた時彼女は柵に背中を預け体操座りで俯いて座っていた 近づきながら

「待っててくれたんだ 待たせてごめんね」

声に反応し彼女は顔を上げる いやぁしかしまじでいい面してんな なんて思っていると彼女は静かな声で

「お腹減った」

真っ直ぐこちらを見つめている

「え?」

「お腹 減った」

なんやこいつと思った しかしここで流石に辛辣な言葉を述べるのも如何なものかと思った…


と言うのは建前で彼女の上目遣いに負けただけだ なんて俺はちょろい人間なんだ


近くのコンビニで幾つかのおでんと水を買ってきて彼女に差し上げた

女の子は手を合わせておでんを食べ始める 所作がとても綺麗だった 彼女の惹き付けるような二重の綺麗な瞳や綺麗な黒髪 食べ方をチラチラと見ていると

「ありがとう」

と言った 俺は指をグッとサインにする こんな時でも俺が気になっているのは今後の展開だ どう切り出すか エッチのことを


頭の中で真面目に考えていると

「この後どうするの?」

と彼女が言ってきたので

「どうしたい?」

と聞くと彼女は熱々の大根を頬張りながら

「えっふぃする?」

ときたもんだ 普通の人なら食べながら話すな 行儀が悪い とか飲み込んで喋りなさいと説くのが普通なのだろう しかし俺はそれらを心の中で言って

「うん する」

と聞づらい言葉を聞き逃すことなく理解し それも言うこととは裏腹のことを述べている自分に我ながら驚いた 性欲に塗れたゴミだ俺は


もはや文面すらも馬鹿馬鹿しく感じる てか馬鹿だ 彼女がおでんの汁まで飲み干し水を一口飲むとこちらをみつめる


「えっと…どうかしました?」

「しないの?」

俺は正直内心焦っていた なんか出会い方が変なくせしてスムーズに内容が進んでいることに対してこれはドッキリなのでは?と 後で無理やり性暴力をしたと訴えられるのではと疑っている始末である


「する!するけど…その…本当にいいの?」

「いいよ?ホテル?それとも家?私の家は無理だよ 両親いるし どうする?そっちに任せる」


俺の家も両親いるから(両親はいないがホテルに行ってみたかった)ホテルで!…って正直に言えばいいのにここで俺の急激な謎思考回路と謎プライド(童貞卒業はちゃんと付き合ってからがいい)により新たに別の答えが導かれる それは…


「お金が勿体ねぇな!どうせならどっかで全部使ってから死にたい!」

「………え?」

彼女は困惑していた これは俺の悪い癖なのだ 話を聞いてる時や誰かの話の時に頭の中で別のことを考えるのだ


作曲だったり可愛い子の顔だったり宇宙を想像したり…なにかを考えてしまうのだ

でも今回に至っては良かったと思う 普通に考えて赤の他人とエッチしてから自殺とか俺がニュースとかで見たら言葉も出ないだろう


「俺さ美味いもん食いたいんだよなぁ 食べるの凄い好きなんだよね」

彼女は明らかに引いていた

「君は気持ち悪いね そこら辺の犯罪者よりよっぽどタチ悪いよ」


彼女のストレートな言葉に俺は少し後悔したがそうしたいのは事実その通りなのでこのまま押し切ろうと考える


「別になんだっていいよ どう?一緒に自殺仲間として旅でもしようよ!」


彼女は押しに弱いのか今更だからいいかと思ったのか多分恐らく後者だろう ため息をひとつついてから

「分かった いいよ」

と言ってくれた


「計画とかは…考えてるわけないよね」

断定された えぇ、まぁその通りですよ

「別に今から考えたって遅くないだろ!」

少し俺は拗ねた そう拗ねたのである

「でもお金旅できるほどはないんだよな 今全財産20万くらい…困った」

出だしから詰まる


「計画は後 それよりまず名前 ずっと言ってないよ 私の名前は…」

「ちょ!ちょっと待って!タンマタンマ!ストップ!」

俺はある考えがあった

「今度は何?」

彼女は溜息をつき呆れている

「名前はお互い言わないようにしよう!」

「その理由は?」

と呆れ交じりの声で聞く

「最後自殺する時に知りたいんだ その方が後ずさりなく死ねると思う 名前を呼ぶとさ 親しみが湧くでしょ?それは嫌 最後の最後に死にたくなくなるのは」

「ふぅん…まぁわかった」

思ったよりすんなり受け入れてくれた事に少し驚いた


「じゃあせめて互いの呼び方くらい決めとかない?君って呼ぼうか?」

「その考えは天才じゃん!呼び方は俺が考えるね!」

「どーぞ」

暫し考え脳内にぽっと浮かんだものを口に出した


「決めた 俺はペペロンチーノ男爵 君は自殺願望ちゃんにしよう!」

ネーミングセンスは母親の腹に置いてきたらしい 自殺願望ちゃんは謎展開に慣れたのか呆れることにすら疲れたのか

「わーすごーい素晴らしいね」

めっちゃ棒読みだった 夜遅かったので一旦帰ることにした 帰り際上着を脱いで彼女に言う


「寒いでしょ 着な」

「いいの?」

うん と言って彼女に着せてあげる

くだらない考えも片隅にあったが普通に彼女の服装が寒そうだから貸してあげるべきだと思った


少し触れた手は冷たかった 俺は彼女を見る 気のせいかもしれないが少し顔が和んだ気がする 軽く手を振り別れる 彼女は上着のポッケに手を突っ込んで帰っていった


翌朝 午前十時天気は晴れ 今から計画実行に向け彼女からグレードダウンした自殺願望ちゃんに会いに行くのである


そして俺は浮かれている うきうきしている 何故かって?美人の私服姿を見れるからだ 昨日は暗くてよく分からなかったし今日はまじまじと見よう


久々に寝癖を整え歯磨きをし服を着替え財布と携帯をポッケに入れて出発した

大きな湖 昨日自殺願望ちゃんと出会った場所を待ち合わせにしている

待ち合わせ時間は十一時 自殺願望ちゃんは先に着いていたようだ


「ごめん 遅くなっ…っ!」

彼女を一瞥する 衝撃を受けた 私服姿 むっちゃ可愛いんですけど それに綺麗 めっちゃ綺麗


上には厚めの紺色パーカーを着ており下はジーンズだ そして何より俺の上着をパーカーの上から身につけて来たのだ 心の中で大きく息を吸い叫ぶ

(すぅきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!)


「おはよう 私もさっききたとこ 返すね上着 ありがと」

「おはよう 私服超似合ってるね」

「どういたしまして 君は随分シンプルな格好だね」

「別になんだっていいだろ」

服の価値観が分からない だから安くてシンプルなやつしか選ばない


極力ダサくなければ俺はいいと思っているしかしこの女 やや軽蔑した目で見やがって

「それじゃ計画の内容だけど昨日何か考えた?」

「調べた訳じゃないけどとりあえず目標的なのは決めたよ」

「目標?」

「と言うより条件かな まず旅はなるべく近いとこにしたいんだよね そこまでお金ないし なるべく近場且つ低コストで行ける場所がいい」

「いやそのくらい私も考えてたよ他にないの?」

「可愛くないなぁ…まぁここからは俺の勝手なんだけどなるべく景色が良く高い場所をいくつか行きたいな 出来れば有名なところとか!それでどれが良かったかを二人で選ぼうと思う 選んだ場所で二人で投身する どお?ロマンチックでしょ」

「うっわ 面倒臭い…景色とか有名な場所とか選ぶ理由が分からないよ」

「流石の自殺願望ちゃんでも分からないか!」

「もういいから早く言って」

可愛くないな全く


「景色はいい方がなんか雰囲気も良くない?儚さ的な?よく分からんけどいいと思ったから」

「はぁ 呆れた…」

その顔まぁまぁ好きなんだよな 俺


「有名な場所で死ねたらそこを心霊スポットに変えてやろうと思ってるんだよね」

「もういいよ…とりあえず君の条件に合うところ探してみようか」


彼女はペンとメモ帳にスマホを取りだし早速近場で検索する


こっちはスマホと財布に対し準備力が高い彼女にただ感服した


「ごめんね色々と面倒で 何か協力出来ることある?もし良かったらだけど」

「じゃあお昼ご飯 コンビニでサンドイッチ買ってきてくれる?お金は昨日の分後で必ず返すから」

「いや俺に奢らせてください この先もお世話にしかなりそうにないので」

「じゃお言葉に甘えて」


高速でコンビニでご飯を買い彼女とお昼を共にした

「そういえば今更なんだけどさ 君は家とか大丈夫なの?多少は長旅になるよ?」

「父さんは今出張中 ここ数ヶ月帰ってきてないよ 母さんは別に言いよってさ お金も結構出して貰える 自殺の旅なんて知る由もないだろうね」

「ふーん」

「てか自殺願望ちゃんこそ大丈夫なの?」

「私の家庭は実力主義だからね 勉強のため旅に出るって言ったら了承してくれたよ」

「嘘はダメだろ」

「君って変なとこで拘るよね」

「はい すみません てか どんな嘘ついたの?」

「医学を学びに行ってくるって言った うちの家系代々医者だからさ お金も沢山出してくれたよ」

「じゃあ奢ったぶん返してよ」

「ヤダ」

「つーかバレたらヤバそうだなそれ…あ、でも死ぬなら別にいいか 家柄君も大変だね」

「本当に大変なんだから もう疲れたの…窮屈な人生だから死のうと思った」


彼女の表情が少し曇る 家系 家柄に縛られているのだろう

ドラマや漫画の中の世界とばかり思ってい この空気に自殺願望ちゃんは気づいたのか

「さっ 続きやろうかな」

ゴミを片付け袋を結んで傍に置き調べる作業を開始する

「うん 俺もやるよ」

スマホを取り出し一緒に調べることにした

それから二時間ほど経った 調べた場所を見合ったり話し合ったり意見を交換した 集中力が無くなってきて疲れて休憩に入った 近くの自販機で彼女の分の飲み物を買って差し出す


「ありがと」

「ん」

「とりあえず六つに絞れたけど もう疲れちゃった…やっぱりなかなか見つからないね 変に拘るから」

「別にそこまで本気にならならくていいよ 旅の本質は計画を完璧に練る事じゃなくてある程度の規則のもと自由に楽しむべきだと思うよ?」

「それはそうだね じゃあこの三つでいい?」

「うん お金も無いし別にいいんじゃね?」


とりあえずなんとか俺の拘りと旅の条件に合う場所を見つけた


一つ目は馬蹄岩 田心姫神が馬に乗り沖ノ島へ飛び渡った際に出来た足跡と言われている 森の中をくぐり抜けた先に見えるのは海を一望できる絶景スポット 落ちたら岩か海に真っ逆さまだろう


二つ目は望雲台 英彦山へ向かう山道の途中にある断崖絶壁 高澄神社の表参道から入り鎖場を超えた先にある 景色は圧巻で落ちたら一溜りもないだろう


三つ目は釈迦岳 釈迦ヶ岳とも言い福岡県の最高峰の山 最高点の普賢岳は大分県側にある 今回は釈迦岳に登るが道幅は狭く距離は長く危険なルートはいくつもある しかし山頂には努力の対価に見合った景色が見られる まぁ気になるなら調べてみてくれ


「んっ…はぁ 疲れたー」

隣で背伸びをする彼女の胸に目が釘付けになる その光景を目に焼き付け彼女の背伸びが終わると同時に前に向き直す


「いやほんとお疲れ様 助かるよ本当に 俺も疲れちゃったよ…」

すると彼女はこちらを向き

「君が変な条件をつけなければこんなに時間はかからなかったよ?」


少し睨まれたが可愛いから気にもしなかった 可愛いは正義だ

「別にいいーの!楽しく笑って死ねれば俺はいいかなーって」

「楽しく笑って?」

彼女は首を傾げる


「だって暗いまんま死ぬのは嫌だもん 笑いながら死ねたらある程度後悔せず死ねるから だからこの三つの中から俺は真面目に選ぼうと思う」


投身探しの場所に真面目も不真面目もないが俺は俺の言葉でしっかりと伝えた

「そう…じゃあ一緒に楽しく死ねるように頑張ろうね よろしく男爵ん」

「ん?今なんて言った??男爵くんじゃなくて略して男爵んて言ったよな!ペペロンチーノを省くなかないでよ!」

俺はなんて面倒なやつだ


「はいはい分かったよ 疲れたから眠くなってきちゃった 今日はそろそろ帰ろうかな LINE交換しよ?計画の為に連絡してあげる」

なんか上からの言い方に少しいらってきたが実際彼女のおかげだ このくらい仕方ない でも女の子からメールがくるのはなんか嬉しいな


「あ!それとLINEの名前変更しなくちゃ!私の名前適当に変更しよっと 君も変えといてね?」

この子気が利くなぁ…

「じゃあ俺はペぺロンチーノにしよっと」

LINEを交換した 彼女のアイコンは綺麗で透き通った海に女の子が一人ぽつんと沈んでいる 海に陽が差し込みスポットライトのようになっている 空に向け右手を弱々しく伸ばしている 悲しくなるアイコンだ


「じゃあまた!後で会議しよう!帰りは大丈夫?眠いなら近くまで送ろうか?」

「大丈夫歩いて帰れるよ そこまで遠くないし また後でね」

彼女は軽く手を振り微笑んで歩いていった まったく…何度俺の心を射抜こうとするのだろうか 自転車で家に到着し自分の部屋でポッケからスマホを出すと自殺願望ちゃんからメールが一通来ていた


最初のメールは普通 あ とかほんの少しだけだったりするだろう しかし彼女は ペペロンチーノ男爵君後で連絡するから通知オンにしててね と書かれている はーい と送った


メール越しだけど名前ちゃんと書いてくれてることに何故か感動した 通知音をオンにし 音量を上げ更にバイブレーションの振動を上げて彼女の連絡に反応できる最適のコンディションにした


翌朝 天気はいい 見た夢は昔の知人とそこら辺をあちらこちら歩き回る夢だ そんなことはさておき昨日は自殺願望ちゃんからメールが届いた 俺の家に行きたいと連絡がきたため住所を教え快く快諾した 親はいないし 断ることは罪に値する 部屋を軽く片付け掃除をする 数十分後…チャイムが鳴る ドアを開け挨拶をする

「おは…」

俺の口が塞がらない 間抜け面だっただろう しかしそうなるのも無理は無い 彼女は変わっていたからだ


綺麗な黒髪が目を惹きつけるような茶髪に変わっており左耳には少し輝いて垂れ下がっているピアスが開けられていた 薄桃色の口紅をしており軽く化粧もしている 一言で言い表すならば彼女は神に成っていた いやまじだよ?ほんとに…


「お おはよう…その…どう…かな?」

「好き 結婚しよう 明日にでも」

脳死の返事だった

「もう…聞きたいのはそれじゃないよ 似合ってるかな…初めてしてみたんだけど…ちょっと恥ずかしい…あ あんまり見ないでよ…」


ギャップに俺はやられてしまった 軽くツンデレツンツンツンくらいしてた子が急にしおらしく そのくせ神ときた こりゃ俺でも流石にノックアウトだ


「似合ってるよ 似合いすぎだよ 本当に…と、とりあえず上がって!」

と中に入るよう促すが目が離せない それくらい彼女は美に変わっていたからだ 見事に魅入られてしまっていたのだ


「お邪魔します…」

彼女はよほど恥ずかしいのか少し俯いてお邪魔してきた いい匂いする

「とりあえずそっちの部屋で待ってて!何か持ってくるから!」

部屋に行く彼女に目が吸い寄せられる

「うんじゃあ待ってるね」


俺は母さんが買っていたクッキーとりんごジュースを持って自殺願望ちゃんの前に座る

「びっくりしたよ本当に 黒髪も似合ってたけど茶髪も似合うね!」

建前は無しに本音を伝える

「ありがと 学生なんだし少しは青春したいなって思ってて…投身自殺しようとしてる人が何言ってんだって話だけどね」

俺たちがこうして会えているのは学校をサボっているからである バイトは入れてない 彼女はバイトよりも学業を優先とのこと 両親からそう決められているらしい 医者の家系は大変なもんだ


「まぁ死ぬ前の俺達は最強だからね!いい思い出になるよきっと 俺もイメチェンしてみようかな ファッションとか髪型とか興味ないけど…」

「君はそのままの方が似合うよ さ、準備を初めよっか 私はもう準備してるけど」

彼女の可愛さのあまり大きなバックに気が付かなかった 既に彼女は旅の用意をしているらしい 彼女と必要最低限の荷物と必要になりそうなものをバックに詰めていく 交通機関、宿泊費、食費に費用をかけることにする 衣服は宿泊先や近くのコインランドリーなどで洗う もしくは洗わない などなどこんなふうに計画を建てて言った


お昼は自殺願望ちゃんが冷蔵庫にある有り合わせで作ってくれた めちゃ美味かった その後は二人でroundonに行った ボウリングをやる

「またガターじゃん 男爵くん下手くそ〜」

「うっせ!あとペペロンチーノ忘れるな」

「分かったよ ペペロン」

結局ボッコボコにされた 許せない!!リベンジマッチという事でダーツをやる

「この一投で全てが決まる…見てな自殺願望ちゃん 真ん中穿つから」

「かっこよく言おうが穿とうが君の負けは決定してるんだけどね」

「うっせぇ!ここ真ん中とったら俺の勝ちな 異論は明日にしか聞かん」

「なんじゃそりゃ」

結局外した しかも大きく逸らした 自殺願望ちゃんは笑っていた

「俺と卓球しろやぁ…」

「はいはい 付き合ったげる」

僅差で負けた またまた負けた

「カラオケで負けたら先に死んでやる!」

「私 結構自信あるけど?」

自分の十八番や推しの曲で勝負した 流石俺だ 期待を裏切る事なく負けた 完敗です

「ねぇ 顔色悪いけど 大丈夫?」

「ふふ…ははははは」

そのまま家に帰った 虚ろな目のまんま


「ふふっ ほんと君って面白いね こんなに話したのは本当に久しぶりだよ」

彼女はあの日と比べとても明るくなっていた

「俺もいつぶりだろーな こんな話したの 楽しい時は時間があっという間だな…色々ありがとね 準備も計画もご飯まで…」

「私も久々に楽しかったしお代はそれでチャラでいいよ」

「てか自殺願望ちゃんそろそろ帰りな?外もう暗くなってきてるよ それか家まで送ろうか?」

「私家帰りたくないなぁ…」

「そ、それはどうして?」

「髪型とかピアスとかで両親が怒っててさ 私もイライラしちゃってて でもそんな事忘れちゃうくらい楽しかった だから…帰りたくない」

「え…じゃ、じゃあ、そのぉ…泊まる…ってこと?」

「もし男爵くんがいいなら ダメ…かな?」


最後のセリフは世の中の男子が言われたいランキング上位に食い込むと思う すまない世の中の男子達…許せ…裏切り者と罵れ…俺はそれでも歩みを止めない


「もちろん俺ん家でよければ喜んで!」

傍から見れば俺は彼女の手のひらを勝手に転がってくれる滑稽なやつろうな でも、仕方ない…


「ありがとう じゃあとりあえず夜食どうする?」

「うーん もしよければまたありあわせで作ってくれないかな」

「いいよ その代わり何か曲歌って」

「おー全然いいよ 俺の推しの曲全力で歌わさせて頂くぜ」


彼女は俺の歌に合わせて歌いながら料理を作る 俺はこの空間がたまらなく好きだ なんだか家族みたいだな


夜食をすませると待つのは皆さん分かりますよね?そう、ご名答!お風呂の時間です!

「お風呂入りたいんだけど一緒にお風呂掃除してくれる?」

「いいぜ!」

俺は少し食い気味だった 掃除が終わってお湯を張りボタンを押す


「ふぅ ありがとう それじゃあ君から入る?」

俺は考えた 彼女のお風呂の後にそのお風呂に入ったらどんな感じなのかと 変態だろう 構わん このチャンスを逃すわけにはいくまい

あ、覗きとか無理だよ?だって犯罪だもん


「レディーファーストだね お先にどーぞ」

「そ、じゃあお先に失礼するねー」

約二十分後くらいに彼女が学校のジャージ姿で部屋に戻ってきた やっぱ風呂上がりも可愛い なんか自分家のお風呂で自分が使っているシャンプーとかを彼女が使っているって考えると…へへ


「よし、じゃあ行ってくるわ」

部屋から出たら小走りでお風呂へ向かう 風呂の水は…抜かれていた

言ってくれよ…水抜いてるって…言ってよ!なんだか少し寂しい気持ちになった


面倒になったのでシャワーですませた 寒い 部屋に戻ると彼女は布団にくるまっていた 俺の布団…

え?寒いから返して欲しいんだけど こっちシャワーなんですけど しかもお風呂洗ったし自殺願望ちゃん優先したのに


「あれ?随分早かったね」

「あのー布団頂いても?」

色々言いたかったけどとりあえず布団でくるまりたい

「えー ふわふわだしいい匂いだから離したくないよ」


普段の俺なら許すだろう しかし今回は寒いから俺もやだ 彼女の布団を引っ張る 彼女は抵抗し寝っ転がって芋虫状態になる こいつ、布団を死守しやがった 意外に力あるぞ…なんでやつだ


「じゃあ一緒に入ろ?」

布団を広げる 俺は無言で入る これまで女の子と近距離で体が触れ合う距離で接したことがなかったので恥ずかしくなり体が熱くなってきたので抜け出した


「あれ?もしかして恥ずかしいの?」

彼女はニヤッと笑う 小馬鹿にする顔で 俺は少しムッとしたので彼女の布団に再度入り彼女の肩に寄り添う

「そっちこそ恥ずかしいんじゃないの?俺が髪型褒めた時照れ隠ししちゃってたじゃん」

「ふーん。じゃあ…」

彼女は体を俺の方に向ける 彼女の腕が首元に巻きついてゆっくりと顔が近づいてくる


俺は動けず無言のままただその後の出来事を待つことしか出来なくなってしまった 小さな吐息が 温もった彼女の体温が そしてジャージ越しで分かる彼女の胸が肩辺りに触れる


心臓の音が小さく伝わる 途中から俺の心臓の音がかき消すほど大きく鳴っている そして俺の顔を胸に誘導し被さるように抱きしめる

小さな声で 優しい優しい声で

「ありがとう」


急に言われてなんの事だか分からなくなった 俺は 恥ずかしいがそれよりも何故か…なんでだろう 心が苦しくなり涙が止まらなかった


止まらない…どうして?本能からなのか久しく無かった温もりからなのか分からない 意味が分からないまんま 涙は止まらない


でも生きる価値なんて大層なものは見出せなくて そんな中で自分と気が合う奴と死ぬ前に色々やって 正直楽しくないわけが無い


「泣いてるの?」

俺は言い訳を考えようとしたがその時間さえなかった それくらい涙が止まらなかったし全ての考えをかき消していた

「なぁ…」

「どうしたの?」

涙と一緒に何かも零れたのか 気持ちを伝える


「俺…君が好きだ…」

「うん…嬉しい」

彼女はどこまでも優しくどこまでも温かくなっていた あの日と違って手の温もりが明確に分かる 俺も彼女の方を向いて抱きしめる いつもなら変な一人コントが始まるのに自分でも驚くくらい真っ直ぐ 純粋な言葉と心で彼女に告白をした


「落ち着いた?」

「うん…」

「君は偉いね」

「え?」

「君は何かと募らせすぎなんだよ 君みたいなタイプは相手に怒っても後から自分が悪かったんじゃないか 謝るべきかな ってなるタイプ

そして仲が戻っても相手の些細な行動であの日の事まだ気にしてるのかなって引きずる だから色んな事が募る」


全くその通りだった答えが見つかったかもしれない 泣いてしまった理由が…彼女もまた俺と同じタイプだから


「もう大丈夫 大丈夫だよ」

彼女の言ったことが答えなんだろう でも それで片付けたくなかった だから行動した

「君は優しくて温かいね」


そう言って彼女の頬に右手を軽く添える 意図を察したのか彼女は目を瞑る 初めてなのに自然と出来た 彼女の柔らかい唇に数秒触れて離れる 彼女の目がゆっくり開く なんて綺麗なんだろう


彼女は以前家でのルールが厳しいと言っていた 今は関係ないが彼女の所作はその規律あっての賜物だろう だからこそ関係ないとこまでもが美しい


「君がリードしてくれるの?」

俺はドキッとしたが沢山泣いたせいか落ち着いている 俺は彼女のジャージをゆっくり下ろす 白いブラが覗きふくよかな胸が顕になる


彼女は恥ずかしそうに俯いている あの日俺は謎思考と謎プライドにより結局エッチをしないままだった でも今なら…でも俺はまた考えてしまう 悪い癖だ


まだ出会って間もないし愛も明確に確認したばっかなのにしても大丈夫なのかと…ゴムもないし彼女は本当に俺なんかでいいのかと…名前も知らないし(俺のせいだけど)流れでそんな雰囲気になってしまってるのではないかと…いくつもいくつもそんな考えがよぎる 手が止まる


「その、俺…」

どこまでも面倒なやつだ俺は

「大丈夫だよ」

彼女はそう言ってキスをする そしてもう一度言う

「大丈夫」

彼女は俺の心を見抜いてる 俺はそのまんま何も言わず彼女と夜を過ごした


昼に起きた 昨日は…察して欲しい 自殺願望ちゃんはまだ寝ている 服を着せ布団をかけて部屋を出る 本当に夢のような感覚だ 未だに信じられない でもあまり語る気にはならない 歯磨きをすませて部屋に戻る 彼女は目を擦って寝ぼけた声で

「おは…よう」

俺は目を合わせず話す

「おはよう もう昼だよ よく眠れた?」

彼女は不敵な笑みを浮かべ

「今更恥ずかしいの〜」

と煽ってくる 張り合う気はなく少し笑って

「お風呂入ろっか」

背を向け行こうとすると彼女は背に飛び乗ってきたので反射で彼女を背負う

「出発進行!」


軽く小走りで洗面台に向かう 彼女は持ってきた歯ブラシで歯磨きをする 俺は彼女の歯磨きが終わるまでに風呂場を洗いお湯を張る

「先入ってるね」服を脱ぐ 彼女は歯磨き中なので手でおっけーサインを作る 少しして彼女も入ってくる お互い裸だけど妙に落ち着いている 面と面で向かい合ってお湯に浸かる


「なんか昨晩の間に君大人になったって感じ」

「からかわないでよ」

笑い声が響く この空間 例えば休みの日雨が降ってて雨が屋根にパラパラと鳴る音が心地よくてまた寝てしまいそうになるあの感覚みたいだ


雑談を交わし何事もなく風呂から上がる 朝ご飯は俺はいつも食べない スマホを弄りながら彼女が食パンとコーヒーを飲食してる姿を見る 朝食を済ませると

「さ、計画の話をしよっか」


「よし最初に行くのは馬蹄岩だな 楽しみだぜ きっと凄いところだろうな」

ワクワクしてきた

「天気も大丈夫そうだし 早速行こっか」

準備を済ませ家を出る

(調べるのは面倒なので移動中の内容は省きます)

交通機関を使って着いた

「海凄かったねー」

「いやまじですげぇよ海綺麗だったなー意味ないのに写真取っちゃったよ」


上陸してまず近くのホテルに行くことにした ホテルで一夜を過ごし早朝にホテルを出て馬蹄岩にむかう 早めに出る理由は景色が見やすいからである 数時間後…馬蹄岩に無事たどり着いた その景色は壮大で美しい 思わず俺たちは


「おおおおー」

二人で思わず声が漏れてしまう

「す、すげぇなこれこっわ!」

「本当すごいね 寒さが余計に怖さを掻き立ててくるよ」

景色を背景にツーショットを撮る

「いい写真が撮れた ベリグー」

「ねぇ男爵君ギリギリまで行ってみてよ まさか今更ビビらないよね(笑)」

この童が…舐め腐りおってからに


「いいだろうやってやろう」

ギリギリの場所で座ってみせる 後ろを向いてピースするが顔は強ばって足は震え鳥肌が寒さとともにぞわりと全身をなぞる

こえええーーーー内心はこんな感じだ 数秒後ゆっくり後ろにさがりながら立って戻る


「どーよ!どーよ!」

ドヤ顔で戻ってくるが彼女は嘲笑うかのごとく笑いを抑えている

「じゃあ次はもちろん自殺願望ちゃんだよね?」

「チキン(臆病者)とビーフ(勇敢)の差を教えてあげよう」

彼女はギリギリで立って大きく手を広げる これでも充分凄い…しかし彼女はその場で大きく飛び跳ねる 俺は驚いた


「うひゃあー怖かった!時間が遅くなって体が止まってしまったような感覚だったよ!」彼女は笑っている 死を スリルを楽しんでいるかのようだ

「凄いね君は…驚いて声も出ないよ…ても 君はビーフってよりは馬と鹿だね」

「チキン野郎に何言われても気になりませーん!」

「はいはい 俺はチキンですよ!」


そんな会話をしながら周りを二人で見回り写真を撮りご飯を食べる 普通の光景なんだろう 旅の一つ目だが俺は正直かなり満足していた ある程度時間が経った

「そろそろ帰ろっか 船の時間に間に合わなくなっちゃうし楽しかったね」

「うん 本当に楽しい…」

彼女は少し寂しげの顔をしている よっぽどここが気に入ったのだろう

「また…れ…かな」

彼女の声は冷たい風に掻き消されて聞こえなかった

「ん?」

「いやなんもないよ……行こっか!」


笑って誤魔化されたような気がしたが頷いて戻っていく 旅は終わりに向かう 俺達に始まりはない 今から出会う初めてがもう二度とないと考えると思い出が美化されていくような気がした 次の目的地に向けて向かう俺達…そして俺達の携帯には幾つもの電話とメールが来る それら一切を全て無視した 今頃大騒ぎだろう でも俺は気にも留めなかったし彼女もそのようだ


のんびり数日かけて次に向かったのは望雲台である 頂上は軽装のため途中にある望雲台までにすることにした 到着したら表道の石段を上がり高住神社にお参りをした 願ったのはこの数時間の安全祈願だ


この山は危険なのはもちろん死ぬ場所も多い 俺達は明らかに登山の服装じゃないので慎重に登ることになるだろう しかしここで気づく いつも通り朝早くから来たわけだが…人が居ない!!駐車場見たけど車一台しか無かったぞ!少なっ!とりあえず登ることにした 登山道は九州自然歩道ってとこを通って数十分後に分岐に到着 左に進み少しするとまあ凄い


「ねぇ、凄いねこれ」

見上げるとV字型になっている岩の崖がある 苔がお生い茂っている 太い鎖が奥まで続いている

「やっっっばいなこれ…安全祈願この時間だけ作用してくれると助かるな」


靴が心配だ 寒くなる季節だから厚着なので多少転けたりしても大事にはならない…問題は靴だ 滑るぞ絶対 フラグをしっかり立てて彼女と距離を少し起き先に登る

「ちょ、お、おぉ…うわっ!」

案の定転ける 靴がもう酷い…なんとか魂燃やして鎖を離さなかった

「ねぇ遅い!落ちてこないでよ!私巻き添えで死にたくないからね!」

器用に丁寧に登る彼女はどんどん距離を縮めつつ戯言を言ってきやがる


「集中してんだよ!俺は!そんな距離詰めないでくれませんかぁ!?」

彼女はまた笑う よく見る顔だ

「もー負け惜しみいいから!余所見しないで気おつけてよ!」

心配してくれるから許そう さっきの戯言言ってたこと とりあえずゆっくり登って崖を抜け出した 少ししてから彼女も登ってきた

「おつかれちゃん」

かばんから一緒に使っている水筒を差し出す 彼女は一口飲んで大きく息を吸って吐くと

「帰りも苦労しそうだねー」


彼女は至って平気そうだ くぅ…腹立たしいぜ 崖っぷちで少し休憩したら続きを登る 二メートル程の崖をのぼり少し進むとほぼ…てかもう垂直の崖がある 十メートル位はあるだろうか 鎖が下がっている


「うっわ…もうやってらんないよ」

大きくため息を着く 登山してる奴らは凄いな とか思っていた すると彼女は我先に すいすいと登っていく そして半分くらいで軽く振り向き言う

「まだビビってんの?早く来なよ〜」

また笑われてしまう でも俺は彼女の尻を眺めていた いやはや絶景かな ………ごめんなさい 直ぐに負けじと登る 普通に怖いんですけど 落ちることも滑ることもなくなんとか上まで辿り着くと彼女は登る俺を笑って待っていてくれた と言うより待つ他なかった


「今度こそおつかれちゃーん」

「そっちこそ」

とだけ返して最後を登りきるとすぐ目の前にあまり意味無さそうな柵がありその奥には一面緑が広大に広がっていて目が釘付けになっていた 彼女もその光景を目に焼き付けている

「ねぇねぇ下見てよ 頭がぐわんぐわんする」

そう言われて下を見ると断崖絶壁だった 吸い込まれそうな感覚に陥る

「これはえぐいな」

唖然としていた 少し景色を眺めて持ってきていたお菓子を食べて休憩する 軽く雑談を断崖絶壁でした後は慎重に 登りの時よりも遥かにゆっくりのペースで降りていった 無事に降りることに成功した


「凄かったねーなんか生命を感じたよ」

「な!でも次は登りたくねー」

「でも楽しかったしいい収穫なんじゃない?」

彼女は顔を軽く傾け笑ってみせる 可愛い

「ま、そうだね それはそれでいっか」

いつも通りお喋りを続けまた次の目的地へ向かう この日々が…楽しいと思える日が続けばいいな…でも、俺は死にたい こんな最高に楽しい今だからこそ 絶望なんかで死にたくない 終わりはもう目の前に迫ってきている 俺も 彼女も ペペロンチーノ男爵と自殺願望ちゃんは終点が近いんだ


そして翌朝…最も面倒を極めるであろう最後の砦、釈迦岳に向かうのだが天気は大雨で交通機関も止まり外は渋滞していた。泊まっているホテルでのんびり過ごすことにした。雨は降り続け部屋でゲームやらSNSやら自分達が失踪しているニュースとかを見た。普通に面白かった。そして夜になった。

自「雨止まないね…」なんかの漫画のセリフだと思った。

ぺ「そうだね…」雨は勢いと強さを増していく。

自「ねぇ、いきなりでなんだけどさ…外で思いっきり遊んでみない?」俺は少し驚いてから

ペ「いいね!すぐそこの公園行こーぜ」寒い風に雨が付いてくる中公園で遊ぶことにした。早速準備をして外に出る。言うまでもないが外は荒れている。公園までキャー、ワーとか言いながら走る。公園に辿り着いたら遊具で遊んだり滑り台滑ったり鉄棒で回ったり色んなことをした。人が何人か通ったがじろじろとこちらを見ているのだけ分かった。こっち見んなって思った。ある程度遊具で遊んでふざけたら濡れたブランコに乗っていつものように雑談をする。

自「今思えばこんなに雨の日に外で遊んだことなかったなぁ…意外と楽しいね」濡れた髪と服が張り付いてうっすら見える肌が彼女の美しさを更に引き立てていた。

ぺ「俺も思ってたよか楽しいよ…でもやっぱ寒いし…そろそろ戻らない?風邪引くよ」俺は身震いし歯が少しカチカチなっている。少し空白の時間が空いてから彼女は思いきったように言う。

自「明日…明後日も明明後日も…ずっとこんな楽しい日が続けばな…君との楽しい日が。」俺は少し戸惑っていた。最近の彼女はどうも死にたくないような…死ぬのが嫌みたいな…そんな発言をここ数日するようになった。俺は冗談混じりの声で聞いてみる。

ぺ「もしかして死にたくなくなった?」彼女は黙ってしまった。嘘であってくれ。頼むから…楽しい思い出のまま死にたいよ…嘘であってくれ…そんなことを願っている。でもやっぱり無駄…無駄だ…

自「私ね…死ぬのが嫌なんじゃなくて君と生きたいって思ったの…なんとでも思ってくれていいよ。それでも私…」

ぺ「嘘って言ってくれよ…」彼女の言葉を遮り言葉を必死に紡ぐ。

ぺ「この旅の目的は死ぬ場所を探すことだろ?なんのための旅だったんだよ…俺は…俺は今…久しぶりに本当に楽しいって…心の底から思えてて…そんな気分のまま死にたいのに…とうして?ああもうまただ…クソッ…言いたいことがまとまらない…ねぇ、なんでだよ…俺は…」

自「ごめん…ごめんなさい…私も本当に死にたかったの…あの日は…でも君が居てくれたから生きたいって思えた。こんな楽しい日々は君となら続けれるんじゃないかって!死にたいと思っていた時を忘れるほど本当に楽しかったの!だから…!」

ぺ「じゃあどうして言ってくれなかったんだよ!今決めたことじゃないだろ?楽しかったのは俺もだし生きたくなるような気持ちも分かるよ!でも俺はもう戻りたくないんだ!」涙と雨が体をずっとつたっている。

自「本当は言おうと思ってた。分からないよ…何でいえなかったかなんて!生きたいと思った!でも死にたいとも思った!私だって考えたの沢山!でも君を失いたくないの…」彼女もまた泣いている。

ぺ「生きてたって辛いだけだろ?君も身をもって経験してるだろ!親とか!表面だけの友達とか!誰だっていい!建前ばっかりの奴らとつるんで嫌になるあの気持ちが…気分が!」

自「分かるよ!でも他は関係ないでしょ!?私たちだけこのままの関係で続ければ…」

ぺ「このままの関係?ふざけんなよこっちがどれだけの思いで辛さを抱えてたか分かんのかよ!あの日!君に声をかけたあの時の俺の気持ちすらも踏みにじんのかよ!?」

自「私にはあの日の君の気持ちもこれまでの辛い思いもなんだって分かるよ!分かるもん!!君ばっかりが辛い人間だとでも思ってんの!?」

ぺ「思ってねぇよ!飛び降りて自殺しようとした人間が急に変わっちゃってさぁ!そんな人間だったやつが何言ってんだよっ!」

自「そんな事言われなくても分かってるよ!馬鹿!君はいつでも屁理屈ばっかり!この分からず屋!私の気持ちが分からないの!?お願いだから生きたいって言ってよ!!」初めて彼女が激昂している姿を見て俺は驚いて我に返っていた。彼女は小さく泣き声を…そして小さく嗚咽している…俺は吐き捨てるように呟く

ぺ「俺は君がいてくれたから死にたいって…死ぬのが怖くなかったのに…」彼女は真っ直ぐに応える。

自「私は君がいたから生きることが悪くないことだって思えるようになったの」

ぺ「…」もう何も言えなかった

自「きて」強めの口調で彼女は強引に俺の手を引っ張ってホテルに戻る。その手は強く握りしめられていた。ホテルに戻ったら風呂場に連れていかれる。服を回収され体を洗い風呂に浸かる。その間の会話は何も無かった。風呂から上がって歯磨きをしてベットに横たわる。俺は疲れて眠ってしまった。何も話さなかった。話す気もなかった。

翌朝目覚めると隣で彼女は寝ている。今部屋から抜け出せば俺は死ぬことが出来る。なんならホテルから飛び降りても死ねる。こんな可愛くて美しくて…最愛の人との思い出…楽しかった思い出のまま…でも俺は動かなかった。昨日の彼女が鮮明に浮かぶ…怒っていて泣いていて…初めて見る彼女の一面…そして言葉がずっと脳内リピートされている。彼女が目覚め俺を認識した瞬間うずくまるように抱きしめられる。

自「ごめんね」俺は何も言い返せない。俺も彼女も冷静になっていた。そのまんまいつも通り歯磨きをして彼女はインスタントコーヒーを飲みクッキーを食べている。そして…

自「私の事…もう嫌い?冷めてしまった?」彼女はコーヒーを置いて俯いて…その答えを待っている。少しだけ震えている。

ぺ「嫌いになることなんてないよ…でもこの後どうしようかなって…」

自「昨日は酷いこと言っちゃってごめんね…」すると彼女は急に泣き出した。

自「本当に…ごめんね…泣くつもりなかったのに…なんだか急に…昨日のこと思い出すと…我儘だよね…きっとおこがましいよね…」昨日の続きみたいだ…

ぺ「落ち着いて…もう大丈夫だから…」昨日お互い気が気じゃないのは確かなのだ…あんだけ本音で話したのだからそりゃ熱くもなる。

ぺ「俺いっつも心のどっかで言ってることとは違うことを考えてたり思ってた。でもさ、初めて建前なしに話せたんだ。それが俺はなぜか少し嬉しいんだ。」

自「私…君と会えて良かった。私に少しだけ考える時間をくれないかな?」

ぺ「うん」暫く時間が経った。

自「君はまだ死にたい?」

ぺ「一人で死ぬのは嫌だな…怖いよ…でも君が一緒なら躊躇うことなく死ねる。」

自「そう…私に考えがあるの、大きな湖の場所に行かない?そこで決めよう全部」彼女なりの今すぐ一緒に死にたい俺への最大の譲歩なのだろう

ぺ「分かった。」ホテルを出る準備をする。その時ふと窓の外から警察が入ってくるのが見えた。確実に俺たち二人を探しに来たのだろう…

ぺ「自殺願望ちゃん!警察が来てる!どうする?」

自「え!?本当?なら逃げ切る!荷物は置いてってもいいよ!後で回収してくれるだろうから、とりあえずお金とスマホだけ持ってって!」急いで準備し部屋を出る。部屋の外にある男子トイレに隠れる。警察が部屋にノックをして声をかけている。部屋はカードで読み込み式のためオートロックがされている。俺らは警察がそこでなんかしている間に急いでホテルの人に鍵を返却しホテルの裏口から出る。予め逃走経路を知っていたため上手くいった。受付の人が俺らを引き止めていたが無視した。幸いタクシーが目の前に止まっていたので

自「私の家族が事故にあったの!急いで!○○市方面で!行けるところまで行って!」と必死に嘘をついてタクシーを出させる。俺は少し笑ってしまった。

自「もう…何笑ってんの」タクシー運転手に聞こえないように小声で言う。

ぺ「ごめんねあまりにも必死なのが変だったから」彼女は頬を少し膨らませていた。可愛かった。移動時間は極力喋らないようにした。わざとソワソワした雰囲気を出したり焦ってメールを打っている感を出した。勿論メールはこれからどうするかとかこうした方がもっとそれっぽく見えるんじゃね?みたいなことを相談していた。楽しい…途中で警察が追ってきてるかもしれないから乗り換えようということで途中で降りて別のタクシーに乗って目的地まで行く。目的地までもう少しのところで後ろからスピーカーで声が聞こえる。いつの間にか警察が追いついてきていた。止められたのでタクシーは左側による。俺らはある程度車のスピードが落ちたらドアを開けて大きな湖まで全力で走る。警察官がまだ何か言っている。車で俺らを追いかけてくる。俺は走りながら少し右ななめ後方を見る。自殺願望ちゃんが息切れしている。速度が徐々に…徐々に落ちていく。

ぺ「自殺願望ちゃん!ハァッ…ハァ…大丈夫!?」

自「もう…無理…し…んじゃう!」後ろからは警察官が車で迫ってきている。俺は咄嗟に彼女をお姫様抱っこする。

自「わぁ!?ちょ、え!?」俺は全力で走る。正直やっぱりきつい。心のどっかでは警察からはもう逃げられないと思っていた。案の定その通り。警察が車で前まで来て複数人降りてくる。俺は彼女に耳打ちする。ぺ「この警察達…ハァハァ…あんまり警戒とかしてない。俺がこれで驚かすから大きな湖まで走って。」

俺はカバンの中に包丁を入れていた。理由は特にないけどあった方がいいかと思ったからだ。

自「でも君が…!」

ぺ「自殺願望ちゃんのアイコン…俺すげぇ好なんだよね。一緒に行こ?」俺は疲れていたが無理にでも微笑む。彼女も意を決したのかその時が来るまで様子を伺っている。警察がまたなんか言ってる。引き止めるためにあーだのこーだの…うるせぇよ…ある程度近づいてきたところで俺は包丁をカバンから取り出す。

ぺ「いつもいつも…邪魔しやがって…てめぇらには関係ねぇだろ!!」ナイフを向け突進し咆哮のような雄叫びのような荒々しい声を上げる。

怯んだ警察の間を彼女が通り抜け一直進に走る。俺は本当に…いつも…いつもダメなやつだ。本当に…いっつも…勇敢なのかバカなのか…突進した警官の隣のヤツが俺に飛び込んで押さえつけられたのだ。彼女は立ち止まってこっちを振り向く。声は聞こえなかったが男爵君って言ってたのは分かった。俺は声を振り絞って思いっきり叫ぶ。

自「君が選べ!俺は君を決して責めないから!君が飛び降りるなら俺も君を追いかけるよ!君が生きたいなら!必ずここで!ここで会おう!!」彼女も何か叫んでいるが周りの警官の声で掻き消されてしまう。俺は尚も抵抗し最後に言い放つ。

自「ここ以外で名前を知ったら!俺は…俺は死んでやるからな!クソが!絶対死んでやる!」彼女にこの声は届いただろうか…俺が叫んでいる最中彼女は別の警官に連れていかれる。俺たちはそのまんま引き離されてしまった。寒い風が吹いていた。



それから━━━━━━━━━━━━━━━




同じ季節が繰り返す。

有名な人が…知っている人が死んでも人は必ず日が経つ度感じてた思いは薄れていく。喜怒哀楽は時間が残酷に流す…流すはずなのに…俺は馬鹿だから未だに…毎日毎日…二十一時にこの場所に来てしまう。俺は今社会人だ。今は三年目免許はあるが自転車で通っている。仕事は朝早いが夜は早く帰れる職場だ。その職場を選んだ理由はたったのひとつ…今も彼女を待っている。あの日ここで俺は待つと言ったからだ。彼女とは連絡も繋がらない。あの日以降色んな人がなんか色々言ってきたが話を適当に合わせて済ませた。親が色々してくれたらしく俺は無事釈放された。なんと優しいことに警察の人が気を利かせて彼女の名前を俺に伝えなかった。本当に感謝しかない。今俺はボロマンションで静かに暮らしている。親に助けてもらったのに謝りもせずに楯突いたのでずっと連絡も…会ってもいない。俺は酷いやつだ。でもそんな事さえ些細なことなんだ。彼女さえいてくれれば…今日もまた…大きな湖の場所に行く。











あ…

雪が降っている…珍しいな…

はー寒い寒い…仕事終わったし帰りますか…























福岡県○○市。二千二十五年十一月七日午後二十一時四十四分、自転車で帰宅途中に君を見た。

ぺ「あ…あぁ…!」俺は自転車を止める。既に泣いている。止まらない…止まらない…雪も涙も…

大きな湖にある柵の外側で湖を眺めている。ある程度近づくとこっちに気づいて体を向ける。俺は泣きながら言う。

ぺ「もし…かして…なんだけどさぁ…君……自殺しようとしてる?」

自「私は…生きようとしてる」俺は声を聞いた瞬間彼女に抱き着く。

ぺ「うぅ…あぁぁ…」なきじゃくっていた。

自「ただいま…ずっとずっと待っててくれてありがとう…待たせてごめんね」

ぺ「ずっとずっと…会いたかった…」

自「私も…ずっっと君への思いは薄れたことはなかったよ」

落ち着いたら彼女がおでんと水をくれた。

ぺ「はい!お返しするね!」具も水も同じだ。

俺はそれを汁まで平らげ水を一口飲んである程度落ち着いたら彼女に聞く。

ぺ「君が来るって信じてて良かった…俺の言ってたこと届いてくれてたんだ…」彼女はキョトンとする

自「え?え?なんのこと?」俺は唖然とする

ぺ「え…俺警察に捕まって最後にここで会おうって…君の名前を知ったら死んでやるって言ってたの…聞こえてなかった?」

自「叫んでるの分かったけどそんな事行ってたんだね〜正直なんも聞き取れてなかったよ!」

ぺ「じゃあ俺の名前知ってる?」

自「知らない…私君と別れたあとパトカーの中で私は男爵君の名前知ったら自殺してやるって言ったの!そしたら名前は伝えないでくれてさ!いやーほんと感謝だね!ラッキー!」俺は少し笑ってしまう。

ぺ「家の方は?」

自「完全に絶縁状態だよ…あの後男爵君に会わせないように強引に引越しだよ…なんか家系がどうだの代々伝わるだの言ってたけど全部無視!お金稼ぐためにいい子ちゃん演じてたけどある程度お金溜まったからら全部切ってきた!」俺は驚きすぎて声も出ない…彼女も大胆になったもんだ…

ぺ「君の選択はどっちになったの?」訳を説明せずとも伝わる。彼女は少し間を置く。

自「君と会えない数年間…私はもぬけの殻で本当に死のうと思った…でも君がいるんじゃないかって…そう信じてた…」こっちを振り向く。

自「私は生きたい…生きたいから君を信じれたし生きたいから自殺しなかった…君とこれからもずっといっしょに生きたい…これが私の選択だよ」

ぺ「うん君がいいなら俺も構わない…」

ぺ「何はともあれ…おかえり」もう一度彼女を抱きしめる。今度は離れないように

自「ただいま!」自分の家に帰る時に手を繋いだ もう もう離れないように…








〜エピローグ〜










それから数年後…俺たちは今そこそこ立派な一軒家に住んでいる。彼女の仕事は稼げる仕事だ。俺は会社を辞めて小さなカフェを経営している。なかなか繁盛している。再開した後はお互い名前を知った。俺から先に名前を言ったもんだから彼女はゲームは君の負け!と言ってくる…全く生意気なもんだ。今日は休日だ。雪が降っていて寒いので家でゆっくりのんびり…彼女は本を読んで俺はスマホゲームをしている。

自「四行目の左から十八番目からのセリフ好きだな…それと五行目の左十五番からのセリフ…いいねぇ」彼女は本をお上品に読んでいる。様になってますね。彼女の隣に行き勝手に本をめくる。

ぺ「分かるそこもいいよなぁ、でも俺は十行目の最初と十行目最後のセリフ好きだなぁ」

自「ちょ、ページ分からないんですけど」

頬を膨らます。可愛いなぁ…ドアが開く。小さな足音が聞こえて高い声が響く。

鳳 巫冬「おとーさんおかーさん!雪だるま作ったよ!ねぇ見て見て!」元気いっぱいの声が聞こえる。久しぶりに雪が積もって大喜びの様子だ。俺たちは顔を合わせて微笑む

ぺ「巫冬!滑らないようにな!直ぐに行くから待っててね!」

鳳 巫冬「うん!分かった!」そう言って外に走って出ていく。うちの子供は活力が凄い…準備を済ませて彼女と…俺の奥さんと一緒に玄関にむかう。

自「冬になるとあの日を思い出しちゃうなぁ…」

ぺ「そうだねぇ…本当に夢みたいだよ今も…」

自「現実で良かったね!」そう言って俺の頬にキスをしてから

自「行こっか!巫冬が待ってるし、雪だるまどんな出来か楽しみ〜」

ぺ「うん…」そう言って玄関の扉を開く。外は寒くて雪が降り積もっているけど…家族のおかげで暖かくなっていた。



おしまい





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