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デッド・メモリー  作者: えあの
4/11

第4話

幕間


「おい、お前なんで普通に帰したんだよ!」


佑が騒がしく怒鳴る。


「だって…小さい女の子もいるなんて聞いてないよ…」


「女の子?誰だ?」


「白髪で外国人っぽくて…」




「お前知ってるのか?なんで先に…」




「あぁ、もうわかったよ、言うとおりにすればいいんだろ?待っとくよ」


佑はそのままドシッとあぐらをかいた。


「わ…私は邪魔だろうし帰るね…」


少女は返答も聞かず、そのまま走って部屋を去っていった。



第四話


走るのは久しぶりな気がする、筋トレしたほうがいいのかなぁ…。


そんなとりとめもないことを考えて走っていたせいで、人にぶつかってしまった。


「すみません!」


真っ先に謝る、見ると青髪11歳ほどの中性的な顔立ちの少年が転んでいた。


「あ、大丈夫だよ。けがは何もないから」


少年は咄嗟に立ち、そう言った。


「ご、ごめんね。お兄ちゃん前見てなくて」


「兄ちゃんが前見てなくてぶつかったわけじゃないから、安心して」


「…?」


「早く行きなよ、急いでるんでしょ?」


「あ、うん。ほんとに大丈夫?」


「大丈夫だって、僕頑丈だから。そうだ、この機会に預かっててくれないかな」


少年が渡してきたのは白い宝石のついたペンダントだった。


「な、なにこれ?」


その返答を無視するかのように少年は続けて言った。


「僕のことは夜って呼んでくれ。もう一度会うことがあったとき君が失ったもの、今失っているもの全部取り返してあげるから」


「え、いや…」


「じゃあね、隼人さん」


「え…名前…」


ほぼ一方的に話を進めて、夜と名乗った少年は走り去っていった。


なんか、よくアニメで見たことがある展開だが実際に会うとゾッとするものだ。なんだろうあの人…。


ふむ、このペンダント捨てたらどうなるんだろう…。メタ的思考が脳裏をよぎる。


…。


い…一応人から貰ったものではあるしやめとこう。


ペンダントはポケットにしまい、そのまま駅に入った。


思いのほかそこから真二の家に着くのはすぐだった。


インターホンを押す、が反応はない。


そういえば用事があるって言ってたな、用事が長引いているのだろうか。


寝てる可能性もあるか、とドアを押すと鍵が閉まっていなかったようで普通に開いた。


「おーい、真二?」


返事がない、部屋に真二はいなかった。


不用心だな、防犯のなんたるかを教えてやるか。


そのまま入るとライが座っていた場所にぬいぐるみはあった。


カエル…じゃなくて、クマのぬいぐるみ。


あ、いや別にいいんだが…。


用事も終わったので帰ろうとすると、


「あ」


声がハモった。


振り返った視線の先には玄関でこちらを見て立っている如月佑、クラスメイトがいた。


自分が言うのもなんだがなんで勝手に部屋に入ってきてるんだ?あくまで自分視点ではあるがそんなに真二と関わっていたような記憶はない。


「なんでいるんだ?」


と問うと


「それは茅出もじゃないか?」


茅出は僕の苗字だ。


如月は腰に右手をあて堂々とした態度で返される。人の話を聞く態度じゃねぇな…。


クラスメイトとは言え、こちらはぼっちなので話したことはない。


ほぼ初対面なのにこの態度…、失礼だが不良と言われるのも納得かもしれない。


「僕は…、ただ忘れ物を取りに来ただけだ」


「嘘つけ、お前はもう気付いてるからここにいるんだろ?別に隠さなくていいぜ」


は、はい?いきなり嘘つき呼ばわりされても…


「なんのことだ?」


「お前だろ?街の人間によくわからねぇ超能力みたいなのつけて争わせてるのは、まぁなんとも戦闘向きじゃなさそうのもいたが…」


「争う…?」


「しらばっくれるんじゃねぇよ、お前のせいで俺の妹は!」


と腕を叩きつけ


いきなり怒鳴り始めた、重ね重ね失礼だが情緒が不安定なんだろうか…。


と如月は息を吐き右手を構えた。なんかやばそう…。


「ちょっと待て!何言ってるかわからねぇよ!」


そこで一瞬で頬をプラズマのようなものが掠める。


「仲並のやつも最初はそう言ってたな、似たもの同士ってことか。

俺はきちんと見たからな?証拠はこっちにあるんだ、さっさと正体明かせよ」


真二の苗字は仲並、状況からして真二のことを言っているのだろう。


「本当に待ってくれ、僕は本当に何も知らない!」


「おい、証拠はあるって言ってんだろ」


と目で捉えられないほどのスピードで近づいてきて胸ぐらを掴んできた。


「能力者は今調べれている中で、俺含めてうちの学校の奴らだけだ。お前らが学校の旧校舎で作ったものはなんだ?」


「本当になんなんだ?それに君に能力?」


「今能力を使わないってことは、自分でやっておいてお前はまだ使いこなせてないのか。鳶が鷹を産むとはこのことだな」


「は?」


いきなりことわざ使うとか、中二病かよ。押され気味だったが少し気持ち落ち着いてきた。


まだ気持ちは押し負けない。


「その程度か。お前もあいつと同じようになればいいさ、俺を冒涜した罰だ」


とその瞬間ドアの外に向けてありえないスピードで投げられた。とても人間業とは思えない。


「いっでぇ!」


背中打った、結構痛い。やっぱ日頃から筋トレしておけば…。


こんな状況でも割と人は冷静なものだ。


見ると服の掴まれた部分に焦げた跡のようなものがつき煙が出ている。なんだこれは…


「能力あるんだろ?使ってみればどうだ?」


「だから何言ってるかわかんないって、その、わかるように説明していただきたい」


あちらも冷静になれるかと冷静に返答したが…。


「いつまでやんだよ」


そんなわけなかった。


と、あいつの右手から電気でできた雷の槍のようなものが飛んできた。


「え…」


咄嗟に避けた、多分当たったら即死レベルだ。そこでライが言ったことを思い出した。


見るのはすぐだと、こういうことか…。なかなかに想定以上の事態だ。


あいつは確実に僕を殺す気でいる、逃げないと。


「あいつはまだ使いこなせてたぞ?ちっせぇ氷を飛ばしてな」


嘲笑しながら如月はそう言った。


氷…?


続けて佑は


「もう終わったことだから教えてやるよ。

昨日さっさと片付けようかと思ってたんだが、俺に気付いたのかお前に連絡しようとしてたからよ、あいつの携帯を俺の能力で使えないようにしてやったんだ」


「諦めずあいつはお前のとこに行こうとしたんだろうなぁ。まぁそうなったらめんどうだから、あそこの路地裏で


殺した。


今日のニュース見たか?犯人は俺ら、それが答えだ」


「最後に言ってたぜ、隼人はお前なんかには負けないって」


「2人仲良しさんで健気だなぁ、

…だから俺がお前も殺して会わせてやるよ。俺に感謝しろよ?」


真二が死んだ……?そのことで頭がいっぱいになり、他の言葉はほとんど聞こえなかった。


そんなことも構いなしに電気を纏った拳が物凄いスピードで目の前に飛んで来た。


手で咄嗟に防御をしようとするが到底防げそうにない。


し…死ぬっ………



その瞬間、後ろから声が聞こえた。


『ぬいぐるみありがとね、隼人』


目の前に氷の塊が浮いていた。

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