何てことの無い日常
特にオチもなにもない話です
「ほい、今日の依頼分の傷薬と風邪薬。」
「おう、ご苦労さん。んじゃこれから鑑定するから適当にそこら辺で待っててくれ。」
王都にある狩人組合の建物でカウンターの受付の男に薬が入った瓶を渡す祐二、今日は訓練が休みの日で軍資金を稼ぐために適当な依頼を受けに来ていた。
以来の内容は薬の作成、狩人組合で販売している傷薬や風邪薬は専門の契約を結んだ”調合”のスキルなどを持った人物が行っているのだが、それでも一度に作れる量には限度があり、また作るのも使うのも人である以上、作る人本人が風邪になったりすることもあるし、薬が高くて買えない人も現れる。
そんな時、偶に発注される依頼で薬の作成と言う依頼がある。作るのは傷薬や風邪薬、腹下しの薬などの作るのに専門的なスキルが必要のない簡単な薬ばかり、その作成を狩人に依頼。作成後、質に問題が無いことを確認することで依頼達成、普通の薬よりも割安で組合がお金がない新人狩人達に売るという内容だ。
勿論、依頼達成した際に払われる金額もショボいのだが、依頼達成までの労力や時間を考えたら意外と割のいい依頼である事を多くの狩人達は知らない。祐二もスレーヤから薬の調合を学び、エミールから斡旋されなければ知らなかっただろう。
一緒に来ていたミラと共に掲示板などを眺めていると鑑定が終わり、カウンターに呼び出される。
「鑑定した結果、今回も薬に問題なし、むしろ中々質のいい薬だって鑑定専門の職員が褒めてたぜ。ほい、今日の報酬と。」
カルトンに数枚の銅貨が置かれる。これなら今日の昼食分くらいにはなるだろう。帰りに市場により材料を買い、クレアに昼食を作ってもらう事にする。
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「ユージってさ、勇者税が廃止した後って考えてる?」
ミラとニスア、アシュリーとクレアという、いつものメンバーで昼食を終え食後のお茶を飲んでいるとミラが急に祐二に問いてくる。
「後か、、、何も考えてないな。」
元々のんびり集落で暮らすはずだったのを、御剣達が遊び歩いているのを知って衝動的に動き出したのだ。目的を達成した後など考えてるわけがない、精々全て終えたら指名手配されているのでほとぼりが冷めるまで、逃げようぐらいしか考えてない。
「じゃあさ、薬局とかいいんじゃない?」
「薬局?」
「そ、今日も職員さんに褒められてたし、適当な村でお店を開いてさ。薬はあって困る者じゃないし。」
「確かに、そう考えると悪くないかもな。」
逃亡中の潜伏先として考えてもいいかもしれない。
「でしょ♪鑑定してもらって問題が無ければ”調合”のスキルが無くても薬の製造、販売は禁止されてないし、何よりこんなに可愛い店員さんが四人もいる薬局だったら絶対話題になるよ。」
「面白そうです!薬の作り方は分かりませんが、材料の栽培なら”豊作”のスキルを持ってる私なら役に立ちます!看板娘としても頑張っちゃいます!ん、アシュリーさんの場合は看板未亡人ですかね?」
「別に無理に看板にしなくてもいいよニスアちゃん。じゃあアタシは裏方かな?」
「経理は私にお任せを、父に商売についてみっちり仕込まれましたので。」
どんどん盛り上がっていく四人、確かにこの四人とひっそりと店を構える生活も楽しいかもしれない。しかし全員気づいていない、さも5人が一緒に暮らす前提で話が進んでいる事を。いや、というよりそれが当たり前に全員は考えているのだ。
全員が共に暮らす生活に居心地の良さを感じ、これからもこの生活を続けたいと思える関係。ある意味それは理想的な関係そのものかもしれない。




