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俺TUEEE勇者を成敗 ~俺にチートはないけれどもチート勇者に挑む~  作者: 田中凸丸
勇者の恐怖と民衆の希望の誕生
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2話:2時間目 スキルと魔法について、後種族も

今回は、長めです。次の話で主人公を異世界転移させたいので世界観などの説明をこの話で終わらせるためです。申し訳ございません。今後の更新として土曜日か日曜日の16時に週に一本投稿したいと思います。筆が乗った時などは週に二本か三本投稿していきたいです。

「私たちの世界、フェストニアにはスキルと魔法と呼ばれる。地球にはないものがあります。これは大事なことなので聞き漏らさないでくださいね。」


 ニスアが、ホワイトボードに”スキル””魔法”と文字と絵を書いていく。祐二もニスアの揺れる尻や胸に集中してしまいそうになるが、必死に耳を傾ける。


「まず、スキルについてですが、フェストニアに暮らす人には生まれつきスキルというものがあります。このスキルというは、持っていると特殊な技術や技が使えるというものです。」


 ニスアの説明に対し、”そういうところは、ゲームと同じだな”と考える祐二。


「スキルは千差万別で、同じスキルを持つ人が何人もいたり、逆に一人しかもっていないスキルもあります。」


「一人しかもっていないスキルってやっぱレアだったり、強力だったりするんすか?」


 日本でカードゲームなどに興じていた祐二は、”一人しかもっていないスキル”にそういった印象を持ってしまう。


「はい、その通りです。スキルにはランクが存在し、それぞれ”コモン” ”アンコモン” ”レア” ”スーパーレア” ”ウルトラレア”が存在し、レア度が上がるほど希少且つ強力なものになります。とくにウルトラレアの中には大陸を支配するレベルの物もあります。」


「また、スキルにはレベルが存在し、同じスキルでもレベルが高いほうが、より強力となります。」

 

 ニスアの話を聞き不安になる祐二、自分はそういったスキルを持っていないが果たしてフェストニアで生きていけるのだろうか。

 祐二の表情から、感情を読み取ったニスアは慌てて説明を続ける。


「あっ!! も、勿論祐二さんたちには、私たち神からスキルを授けられますので、そこは安心してください!」


「あと、これは神の間でも勘違いしている人が多いんですが、技術系のスキルは持っていないからと言って扱えないわけではないんです。」


「スキルがなくても扱えないわけではない?」


 ニスアの妙な説明に、思わず祐二は聞き返してしまう。そんな祐二を見て”フフーン”とドヤ顔をし、胸を反らすニスア。揺れる胸に思わずガン見してしまいそうになるが慌てて目を反らす。


「これは、ほかの神も気づていなくてフェストニアの人たちもあまり気づいていないんですけど、例えば”剣術(けんじゅつ)”というスキルがあり。このスキルは持っている人に対して生まれつき剣が扱えるように作用するスキルですが、このスキルを持っていなくても剣を握って剣術を学べば持っていない人でも剣を扱えるようになるんです。」


「なるほど」


 スキルを持っていないからと言ってできないわけではない。努力次第でできるようになる。そう伝えるニスアに、祐二は微笑む。”ということは上手くいけばスキルを持っていなくてもウルトラレア並みの技術が習得できる”と考え異世界転移に希望を見出しているからだ。


「あっ、ただ怪我を瞬時に治す”超回復(ちょうかいふく)”や放ったものが必ず当たる”必中(ひっちゅう)”など技術でどうにもならないものは無理ですけどぉ」


 説明が尻すぼみになっていくニスア、先ほどまで、希望に溢れていた祐二に対してテンションを下げるようなことを伝えるのに罪悪感を感じているのだろう。

 もっとも当の祐二本人は、そんなこと全く気にしていないのだが。


「そりゃまぁ、そうでしょうね。頑張れば怪我を一瞬で治せられますってなったら、スキルなんていらないだろって話になりますし。」


 祐二の返答にたいしてニスアは安堵の溜息をつく、再度自分に気合を入れるとスキルの説明を続ける。


「後、スキルには先天的に備わっているものと後天的に取得したものに分けられます。」


「先天的なスキルは、生まれた瞬間から使うことができ、またどのようなスキルになるかは両親によって判明しますね。先天的なスキルは両親からの遺伝によって決まりますので、まぁそのせいで強力なスキルを持つ男女を貴族が無理やり結婚させるなんて話もあるんですけど。」


 酷い話もあるもんだ。よくこういったファンタジーな世界観では貴族が無理やり婚約を強いるなんてテンプレだが、自分がそういった世界に向かうとなると気分が若干滅入る。祐二は、このスキルがフェストニアに深く浸透し、それが人の人生を左右するか改めて理解した。


「次に、後天的に取得するスキルですけど。これはスキルオーブといったアイテムを使用します。スキルオーブには、スキルが一つ封印されていて使用者が封印を解くことで使用者にスキルを授けます。勿論レアなスキルのオーブはとても希少で、基本的に国のお偉いさんが保持と管理をしています。」


「スキルについての大まかな説明は以上ですね。細かい所は、今説明しても覚えきれないでしょうし、転移してから覚えていった方が良いと思います。これまでの説明で何か質問はありますか?無ければ次の授業に移りますけど。」


 ニスアの台詞に対し祐二は、どうしても一つ質問したいことがあった。それは、彼女は下着を身につけているのかという質問だ。

 先ほどから揺れる胸やスカートに浮かぶ尻のラインから、とても下着を身につけているように思えないのだ。かと言って馬鹿正直に「下着つけてないんですか?」などと質問したらセクハラとして女神の天罰が下るだろう。気になるが命と引き換えには出来ない、祐二は首を横に振り次の授業を促した。


「質問は無いようですね。それでは次の授業は、魔法についてです。」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「魔法についてですが、基本的に地球のメディアに出てくる魔法のイメージそのままです。」


 地球の魔法のイメージと言われて祐二が真っ先に思い浮かべたのは、某眼鏡の魔法使いである。杖を使い呪文を唱え魔法を使う。そんなイメージしか沸かない


「魔法には二種類存在し、直接攻撃に使用する攻撃魔法と回復などに使える支援魔法です。また魔法を使う方法も二種類あり、呪文を唱える”詠唱”と魔法陣を描く”刻印”がありそれぞれにメリットとデメリットがありますが、その説明は後程。」


「攻撃魔法には属性があり、”火”や”水”といった各属性を用いた直接攻撃を行うといったものです。支援魔法は傷ついた体を治したり身体能力を上げたりといった攻撃は行わず対象の肉体に影響を与える魔法です。」


「魔法を扱うには適正が必要で、この適正は”魔法適正”(まほうてきせい)というスキルを所持しているかで判断します。」


「適性がない場合、どうなるんすか?やっぱり魔法が使えないとかですか?」


 ニスアの説明に対し質問をする、ニスアの説明を聞く限り、”魔法適正”(まほうてきせい)というスキルを持っていないと使えない印象がある。そうなった場合、素手や武器での戦いになる。RPGなどでは武器と魔法を使って敵と戦うことが多いが、武器だけとなるとかなりキツイできれば”魔法適正”(まほうてきせい)のスキルは欲しい。


「いえ、そんなことはないですよ。スキルと同じで努力を続ければ魔法を使うことができます。ただスキルの有り無しは戦いに於いてはかなり重要です。魔法に関するスキルを持っている人ともっていない人だと威力や発動時間にかなりの差が出ますので。」


 彼女の説明に祐二は顔を曇らせる。異世界で戦いに行く以上やはり魔法に関するスキルは欲しい。最低限戦いで使用できるくらいには魔法を使えるようになりたい。


「といっても、それを気にする人は魔法師ぐらいの方で、生活で役立つレベルの魔法はだれでも使えますので一般人の方はそれほど気にしていません。」


「次に魔法を使う方法の説明です。”詠唱”は、特定の単語を羅列した呪文を発することで魔法を発動できます。メリットは声さえ出せれば発動できる点です。デメリットは詠唱する時間によっては隙になることですね。このデメリットをカバーするには、高速詠唱(こうそくえいしょう)詠唱破棄(えいしょうはき)のスキルが必要ですね。」


「”刻印”は、呪文の代わりに魔法陣と呼ばれる図形を書くことで魔法を発動できます。メリットは即座に魔法を発動できる点です。デメリットは、汎用性が低いことですね。”呪文”は内容を変えることで魔法も変えられますが、”刻印”は新たに魔法陣を書かないと使えません。」


 自分は、絶対に”刻印”にしようと祐二は心に誓う。一瞬のやり取りが生死を分ける戦いに於いて隙を見せる”詠唱”など百害あって一利なしだ。

 決して、人前で呪文を唱えるのが恥ずかしいとか、厨二病時代の自分を思い出してしまうとかそんな理由ではないのだ。そう、決してそんな理由ではないのだ。


「魔法については以上です。ところで祐二さん。先ほど私が火薬が普及しなかった理由について話しましたが、理由はわかりましたか?」


「まぁ、なんとなくは、そんなすごいスキルや魔法があったら”火薬なんて必要ないだろって”って話ですよね。」


 祐二の回答に対し「正解です」と答えるニスア。スキルで超人的なことも行えて、魔法で火も起こせるのだ。一々火薬や銃火器を作るよりもよっぽど手間がかからない。


「では、いよいよ最後の授業です。最後はフェストニアに住む種族について教えます。」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「フェストニアに暮らす内、文化を持つ種族は大まかに”人間族””獣人族””亜人族””魔族”の四種です。」


「まず”人間族”は、祐二さんたちが分類される種族で特徴として、繁殖力が高いこと、後好奇心が強いことが挙げられます。平均寿命は80歳から100歳までで、フェストニア全土において一番数が多い種族ですね。」


 ホワイトボードに書かれている四つの種族に対し若干テンションが上がる祐二、ファンタジー世界特有の種族の違いに興奮しているのだ。

 まだ彼は15歳、中学二年生の際に発言した厨二の炎はまだ彼の心の奥底で燃え上がっているのだ。


「次に”獣人族”の特徴として、体のどこかに動物のような身体的特徴があることですね。祐二さん達に合わせて言うと、猫耳や犬耳が実際にあるということです。他には、20歳前後で成長が止まるということも挙げられます。」


「成長が止まる。それって不老ってことですか。」


「いえ、不老ではありません。ただ20歳前後で成長が止まり、暫く若い肉体を保持しますが100歳に近くなると徐々老け始めます。平均寿命は100歳から140歳です。」


 それでも十分、人の身からしたら羨ましい。特にプロスポーツ選手などには喉から手が出るほど欲しい肉体だろう。


「成長が止まる理由については、獣人族は繁殖力が低いのでそれをカバーする形で若い肉体を保持するためと言われています。」


「”亜人族”は、主にエルフやドワーフといった人たちが呼ばれる種族です。ただ残念ながら亜人族については、詳しいことは私も知らないのでお応えできることは、ありません。」


 しょんぼりと頭を下げるニスア、それは別に構わないのだが、最初の説明から所々世界を管理する神らしくないことを言っていることが気になる。


 火薬の説明についても”過去に成功したと聞いた”種族の説明についても獣人族は”言われている”亜人族に至っては”詳しいことは知らない”と言っているのだ。世界を管理しているならそう言った歴史や種族は知っているはずでは?祐二の中で疑問が膨らむ。


「最後に魔族ですが、この種族はフェストニアに突如現れた種族で、現在各大陸に攻め込んで各種族と戦争を起こしています。」


 真面目な表情になるニスア。彼女からしたら、自分の世界を滅ぼそうとしている種族なのだ。真面目になるのも当然だろう。


「彼らの特徴として、全員が”スーパーレア”以上の攻撃魔法、支援魔法に関するスキルを所持していること、その中でも強力なスキルを持つ6人が種族全体を取り仕切っていること、肉体的な特徴として男性は筋肉質に女性は肉感的な体になる事が挙げられます。だっ!だから!ハニートラップに引っかかちゃダメですよッ!」


 前のめりになり祐二に顔を近づけるニスアに対し思わず怯んでしまう、彼女とキスしてしまいそうになるほど顔が近い。先ほどから彼女の胸や尻をチラ見していた祐二にハニートラップに引っかかるな、というのは難しいだろう。だが不安げなニスアをみて”大丈夫です”と答える祐二。噓も方便なのだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「以上で授業は終わりです。次はいよいよお待ちかねのスキル選択です。今から授けられるスキルを表示しますので、どのようなスキルにするか必死に考えてくださいね。スキルが表示されるまでは目を閉じててください」


 ここからが大事だ。ここで選択を誤ると一生後悔するだろう。祐二は眼を閉じ、これから表示されるスキルについて必死に考える。


「はい、もう目は開けていいですよー。」


 ついにその時はきた。祐二は眼を開け表示されているスキルの一覧を眺める。その中に合ったスキルは、


・音遮断Lv1(コモンスキル)

・遠見Lv1(コモンスキル)

・聴覚強化Lv1(コモンスキル)


これだけだった。他にはなにもない。本当に何もない。これで世界を救わなければならないのだ。


「ないわー」

 

 祐二はただそう呟くことしかできなかった。








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