1話:1時間目 フェストニアって何?
「つまり俺は、貴方達の世界を戦争から救うために異世界転移をしたってことですか?」
ニスアの妙なテンションからの発表から数分たち、お互い落ちついて話し合うことで、ようやく自分の身に何が起こったのか祐二は理解できた。
「はい。正確には異世界転移の途中、駅で切符を買おうとしているところですね。後、祐二さんだけでなく祐二さんのクラスメイト42人も私とは別の神の元で現在、転移について説明を受けていますね。」
ニスアが祐二の理解に対し、詳細な説明を付け加える。
「それで、これから祐二さんには私たちが管理する世界、フェストニアで勇者として戦争から世界を救わなければならないんですけれど。ええっと、その~。急に勇者になれっていわれて怒ってたりしてませんか? いっ一応元の地球に戻すことも可能ですけれど、それは少し時間がかかるのですぐには戻せないんです。」
ビクビクとしながら聞いてくるニスアに対し、祐二は”腰の低い神様だな”と割と失礼なことを考えながら、返答をする。
「まぁ、いきなり勇者になって世界を救えって言われて困惑してますけど、向こうの世界の事情を知っちゃった以上元の世界に帰っても気分悪いですし、自分なりに力になろうとは思います。正直実感ないですけど。」
祐二の返答に対し、救われたような表情をするニスア。出そうになる涙を堪え声を上げる。
「あっ!ありがとうございます!それでは早速ですが、フェストニアについて説明させていただきますね。」
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「まずフェストニアという名前は、祐二さんの居た世界の「地球」のような名称のことです。」
ニスアが、どこからか持ってきたホワイトボードに絵を書きながら説明をしている。それは良いのだが、なぜ眼鏡をかけタイトスカートを穿き、女教師のような恰好をしているのかそっちに突っ込みたかった。
「フェストニアは、四つの大陸に分かれ、それぞれグレーリア大陸、ランセ大陸、シャーフ大陸、魔族大陸に分かれています。」
「この四つの内、魔族大陸を除いた三つの大陸に私たち四神を祀っている国が存在します。何か質問は、ありますか?」
こっちを見るニスアに対し、「何もないです」と返答する祐二、「じゃ、続けますね」と説明を続けるニスア。
説明をしてくれるのは嬉しいが、ホワイトボードに絵や文字を書くとき尻を蠱惑的に振るのは正直困る。
祐二とて思春期の男子高校生、かなり興味はある。このままでは頭ではなく別のところに血液が集中してしまう。ニスアはいたって真面目に説明しており、本人に祐二を悩殺するつもりがないのが余計に質が悪い。
「次に各大陸の特色について説明しますね。グレーリア大陸は祐二さんの世界でいうと中世ヨーロッパのような大陸で、騎士や貴族がいます。政治は主に各国の王と貴族が取り仕切ります。ランセ大陸は日本の戦国時代のような大陸で、小さな国々に分かれて国ごとに王が統治していてその王をまとめているのが天と呼ばれる人です。シャーフ大陸は、三国志のような大陸で三つの国家に三人の王が統治しています。」
「そして、現在この三つの大陸に戦争を仕掛けているのが、魔族が支配する魔族大陸です。こちらは後ほど詳しい説明をしますね。」
ニスアの説明に対し歴史の授業や小説で知った内容を思い出し、思案する祐二。その中で一つ疑問が思い浮かび、口に出す。
「フェストニアの技術水準ってどのくらいなんですか、話を聞く限り、大陸ごとにかなり特色がありますけど。」
祐二の質問に対し、眼鏡を光らせるニスア。まるで「よくぞ聞いてくれた!」とでも言いたげだ。
「良い質問ですね祐二さん。技術水準としてはどの大陸も同じようなもんです。ただ文化の違いとそれによる技術力は大陸ごとに表れています。」
「例えば、同じ剣でも大陸ごとに両刃剣、日本刀のような片刃剣、青龍刀のような剣もありますし、大陸によって冶金技術や医療技術も異なります。技術水準としては、剣や弓で戦っていて銃火器は存在しない火縄銃が出る前を想像してもらえればよいです。」
ニスアの回答に対し、祐二は納得した顔をする。確かにその例えならある程度想像しやすい。
「あっ、ただ薬学や冶金学から派生した錬金術という技術があって過去、黒色火薬の発明に成功したという話は聞きました。まぁでもスキルや魔法のせいであまり普及しなかったそうですけど」
「スキル?魔法?」
今のニスアの説明の中に無視できない単語があり、祐二は思わず声を出してしまう。それに対しニスアは、また眼鏡を光らせた。
「はい、よくぞ気づきました。二時間目はスキルと魔法について教えます。」
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