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40. そして週末のお茶会は

お待たせしました。


ドロシア様からのご招待を受けましょう。

 王立学院に編入して初日こそ色々ありましたけど、それ以降今週は面倒な事件は起こりませんでした。

 何と言っても、初日のローナ様対応に意識がいっていましたので・・・



 まさか、あんなに大人しそうで、常識人に見えた? ローナ様から5年前の事を言われるとは思ってもいませんでしたから。それも、あの言い方はまるでコチラが()()()の様な言い方でしたわ。違うでしょう!? ヤツが悪いのでしょうが!! 


 ああ、いけません。興奮してしまいました。まあ、男性から見た女性の評判や評価が、正直あまり宛てにならない事が良く判りました。


 そう考えると、私も皆さんからどのように思われているでしょうか? よく、天使だのと言って頂けますけど。マリからは、黒いだの? 鬼だの? 悪役令嬢だの? と言われていますから、女子目線と男子目線の違いは大きいですわね。


 まあ、そんな感じで、ローナ様にはあれ以来ずっと無視されていますけど、ロイ様とはあれからご挨拶を交わせるようになっています。それに、生徒会役員ということで年間行事等についても今度教えて下さると、約束して下さいました。少しずつ距離を縮めましょう。


 そして、セドリック様は相変わらずですけど、私の事をフルネーム呼びしなくなりました。何の心境の変化でしょうか? でも、まだ慣れなくて言葉の端々に変な間が空くのですが、それもご愛嬌ということですわ。私としては、他の方がいる時にフルネーム呼びされると恥ずかしいので、できればこのままの方が助かります。


 エーリック殿下とカテリーナ様は、特に変わったことはありませんわ。

 でも、カテリーナ様が何だかとっても楽しそうです。特に、セドリック様に何か囁いたり、目配せしたり? していますけど。その度にセドリック様が真っ赤になったりするので、余計揶揄われているようです。それをエーリック殿下が時に納め、時に見て見ぬふりをされることもあって、余計な火の粉を浴びないようにされています。良い判断だと思います。そして上手ですわ。




 とにかく、未だヤツ(フェリックス殿下)と接点を持つことはありません。エーリック殿下とセドリック様が、必要以上に警戒して下さっておりますので。

 そうですよね。私が仕返しをするつもりでいるなんて、言っていませんから・・・お二人からしたら、接点をなるべく減らして、印象を薄くして下さっているのかもしれません。








「何だか、申し訳なくなってきましたわ。お二人は善意でそうして下さっているのですもの」


 思い出して、溜息を漏らしてしまいました。




「お嬢様? どうされました?」


 今日は、お誘い頂いたドロシア・ミレーヌ・コントルー公爵令嬢のお茶会に行くのです。そのために、念入りに準備をしている訳です。

 週末のお茶会はコントルー公爵家で、気の置けないクラスメートのみで行われるとのことですから、マリの気合の入れ方が半端ないです。


「だって、コレールに戻ってきて初めてのお誘いですよ? それも上位貴族ばかりの女子の集まり! ()()()()()! いいえ、()()()()()!!」


「そうね。クラスの女子勢力図を知るにも良い機会ですけど。他の方ならまだしも、直々にドロシア様が私に言ってきたということが引っかかりますわ。婚約者候補についての事じゃないかしらね?」


「まあ、そうでしょうね。そのご令嬢から見たら、お嬢様は脅威ですから。まさかこのタイミングで強敵が出現って、感じなのでしょう」


 マリはそう言うと、ダリナスで流行しているブルーのリボンをハーフアップにした髪に結びました。今年の流行はブルーなんですって。そして、ボリュームのある白い袖が可愛らしいブラウスとリボンの共布で仕立てたたっぷり広がるスカートです。動くとフレアーが綺麗な円を描く様が素敵なのです。


「如何ですか? 昼のお茶会にぴったりな爽やか淑女コーデですわ。見る人が見れば判るこの流行色、このブラウスの仕立ての良さ! そして、このスカートの秀逸なデザイン! カ・ン・ペ・キですから」


「ありがとう。マリがそう言ってくれるなら大丈夫ね。それでは、そろそろ行かなければね。お土産は出来ていて?」


「はい。勿論ですわ。女子仕様にプリティー仕上げでご用意してあります」


 

「じゃあ、いざ出陣ね!」




 そして、私とマリはコントルー公爵家に向かったのです。







 コントルー公爵家は、王宮を挟んで我がグリーンフィールド公爵家と対角になる場所にあります。距離的には結構ありますね。


 そう言えばドロシア様が、私に話しかけていらしたのは、この招待状を渡して下さった時だけです。それ以外は数人のご友人といらっしゃるか、もしくはイザベラ様とヤツの傍にいらっしゃるかですね。この方がイザベラ様と張り合っている? そうでしょうか? そんな場面は見ていないと思いますけど。確かに、ランチや放課後などは必ずと言って良いほど、ヤツを挟んでイザベラ様と一緒ですけど。ご苦労様ですわね。

 



「お嬢様? そろそろ到着しますよ」


 私はマリの声に、姿勢をシャンと正しました。









「ようこそいらっしゃいました。シュゼット・メレリア・グリーンフィールド様」


 ドロシア様が正面玄関でお迎えして下さいます。今日の彼女は、髪を黒いベルベットのカチューシャで留めたシンプルな降ろし髪です。カチューシャには薔薇の模様のブローチが付いていて、艶のある赤毛を品良く上品に見せています。そして深いグリーンのワンピースの襟もとにも、黒のベルベットのリボンが結んであります。この方、かなりのお洒落上級者ですわ。マリの目がきらりと光ったような気がしますもの。


「ドロシア様、今日はお招きありがとうございます」


 ドロシア様は優雅にカーテシーをしてお迎え下さると、私の手を取ってホールからお茶会のお部屋まで自らご案内して下さいます。マリはお土産バスケットを持って、これまたよそ行きの顔で付いて来ています。因みに今日は、()()()()()()()()()()()()()といったコンセプトの様ですわ。



「こちらになりますわ。さあ、お入りください」


 大きな扉の前でドロシア様が立ち止まり、にっこり微笑まれました。











「えっ・・・イザベラ様?」


 明るい日差しの差し込む、少しアンティーク調のお部屋。白いレースのテーブルクロスが掛かった丸い円テーブル。庭の緑が映る大きな窓ガラスを背に、ピンクのワンピース姿のイザベラ様が立っていました。




「いらっしゃいませ、シュゼット様。お待ちしていましたわ」


 どういうことでしょう。ドロシア様とイザベラ様の、お二人しか見えませんけど?




 驚いたまま、私は扉付近で立ち竦んでいました。後ろにいるマリも同様ですわ。


「驚かせてしまってごめんなさい。実は今日のお茶会は三人だけなの。騙すような真似をして、本当にごめんなさいね」


 ドロシア様にそっと背を押されて、我に返りました。何ですかコレ。新参者に対する洗礼でしょうか? それも二対一ですか? これは腹を括れということですか?






「いいえ。お招きいただいて光栄ですわ。ドロシア様、それからイザベラ様」


 何でしょう。この先手を打たれた感。

 でも、これでこの二人がターゲットかどうか探れますわ。そして、もしそうであったらいい機会です。


 まとめて色々考えます!


次話まで、恋愛チックな雰囲気から離れます。

女子同士のお話です。これは避けて

通れませんので、ご容赦くださいませ。


ブックマーク、誤字脱字報告、感想、イラスト

感謝しています。

評価ボタンのポチも頑張るパワーになりますので

引き続きよろしくお願いします。


楽しんで頂けると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
まぁ。正直王太子殿下には本当に悪気はなかったんだろうし、二人だけで友達なら素直に謝ってお互いに和解できるようなことだと思うけどね、どっちが悪いかとかではなく。 だから、強いて言うなら、王太子とシュ…
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