表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/122

22. 歌劇場にはご注意ください?

セドリック君の容姿の一部解禁です。


 シュゼットは、天覧席に()()が座ったのに気が付いた。チラッと目の片隅で様子を伺ったところ、人影が二人いることを認めた。一人はヤツ。そしてもう一人は同じ髪色をした姉姫だろうと思った。


(まあ、5年振りですし、ここからは顔なんか判りませんわ)


 すでに照明が落ちて暗くなった1階の客席から、天覧席の貴人の姿は見えない。こちらにヤツが気付くことは無いはずだ。私は以前の面影が無い程に変わってしまったし? まして予定と違ったパートナーと一緒にいるし?



(さて、このままゆっくり観劇している場合ではないわね。エーリック殿下もカテリーナ様もいるなら、ご挨拶はしなくてはいけないわ。さて、ヤツに会うか? 会わないか?)



 はっきり言って、ヤツだって10歳の子供の頃から、この5年で結構変わっているはずだ。


(だって、エーリック殿下もセドリック様だって随分大人っぽくなったもの。エーリック様は、最初お会いした時、女の子と思う位い可愛らしかったですわ。おかっぱの黒髪で、童話に出てくるお人形の様でしたもの!)


 思い出すと頬が緩んでしまいそうになる。背丈だってそんなに変わらなかったはずなのに、今ではシュゼットを軽く越してしまい、頭一つ高くなっている。そして、少女人形の様な可愛らしさが薄れてキリリとした美少年になった。


(そう言えば、エーリック殿下に婚約者とかいるのかしら? 聞いたことがありませんけど?)


 今まで考えたことも、聞いたことも無かったけれど。でも、ヤツにそんな話がある以上、彼にもあるのかもしれない。


(まあ、無い方が不思議ですわね?)


(・・・)


(・・?・・)


(・・・セドリック様?・・・)


 変わっていないかも。

 初めて会った時から、今も変わらない気がした。言ってることと行動のインパクトが強すぎて、他の事が記憶に残っていないのかしら? 





(なーんて! そんなことは、ありませんわ!)



 思わず自分で突っ込んでしまった。


 そう、セドリックとはずっと教室で席が隣同士だった。遅れて入学してきたシュゼットの隣の席が、学級委員のセドリックだったのだ。

 


 ()()にしていれば良いのに。と、何度思ったことか。



 サラリとした癖の無いアッシュブロンドの髪は、彼の祖母の出身地による特徴だと聞いた。北方系の切れ長のアイスブルーの瞳に白い顔。普通にしていればキレイな顔だと思うけど、それを()()()()()()()()。そして、自分の容姿に全く興味を持っていなそうなところが、




 ・・・・残念。本当に残念過ぎます。




(そうですわよ! 髪だって、前髪が長すぎますわ! 後ろはちゃんと短く切ってあるのに、何のポリシーですの? 折角の綺麗なアイスブルーの瞳が隠れていますのよ! 勿体ないですわ!! 髪を切るか、さもなければ上げなさいよ!)


 年に何度かそう言い合いになった。その度に試験の結果を賭けたり、順位を競ったりしていた。まあ、シュゼットは負けてもランチを一緒に食べるという、自分にはデメリットにならない罰? を受けた。



(そう言えば、随分前髪が長くなっていましたわね? もしかして、1年切っていなかったのしら?)




 たまに前髪を上げる時があった。問題を考えながらくしゃりと搔き乱す時、剣術の授業で汗に濡れた時、急な天気で小雨に降られた時・・・アイスブルーの瞳は、幼い時から変わらぬ澄んだ水色だった。



 時折、彼の瞳が自分をじっと見ていることがあったような気がする。大体、身長差から見下ろされることになるシュゼットが、それに気付くのは()()()()? とか()()()()? を言われている時だった。




(何でしょう? とっても、()()な気持ちになってしまったわ・・・)




 でも、エーリックとセドリックの幼い時の事を思い出したら、少し元気が出てきたような気がした。


 此処(コレール王国)には無い5年間が、()()()()()()()()にある。確かにあるのだから。


「ふふふ・・」


 笑うところでは無いのに、思わず小さく微笑んでしまった。声が聞こえたかもしれない。でも、聞こえたとしてもシルヴァしかいない。




(大丈夫ですわ。 さあ、2幕が始まるまでが勝負ですわね?)




 幕間の休憩時間まではもう少し。


 







「遅れてしまった。エーリック殿下に叱られるな」


 セドリックが馬車の中で独り言つ。

 本当ならば時間に間に合うように官邸を出られたはずだった。しかし、来客の名前を聞いて足を止めてしまった。普段ならどんな高官が来ようが気に留めることも無かったのに。


 グリーンフィールド外務大臣。ほんの少し前まで、ダリナスにコレールからの外交大使として駐在していた。シュゼットの父親。


「シュゼットが劇場に・・・」


 グリーンフィールド大臣は、誰かの侍従? らしき人物が訪ねて来て話をしてから、暫く一人百面相をしていた。やっとそれが落ち着いた頃に、シュゼットが歌劇場に行っていることが何となく判った。はっきり聞こえた訳では無いが、そんな感じの事をお付きの従者と話していた。替わりに誰かが一緒に行くとか何とか?



(まったく! 観劇に行くなら、行くと言えばいいのに。いや、(むし)ろ行きたいから、()()()()()()()()()言ってくれれば! 一緒に行くのもやぶさかでは無い!)



 それから馬車に乗った。父親の事より、やっぱり娘の方が気になった。


「言ってくれれば、エスコートだってしたものを! ()()()()()()()()()()!! シュゼット・メレリア・グリーンフィールド!」


 とりあえず、幕間の休憩時間に間に合うように、ゆっくりと馬車は歌劇場を目指していた。



「・・・・」(考)


「・・・しかし、誰がエスコートしたんだ?」

 

遂に、セドリック君の容姿が書けました。

無頓着な美形さんのイメージですが・・・

皆さん、ご期待に添えましたでしょうか?

えっ? イメージと違う? 

もう、遅いデース。書いちゃいましたし。


でも、見捨てないでください!

お願いします!

ブックマークとできましたら評価ボタンも

ポッチとして頂けると励みになります。


お楽しみいただけたら、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ