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16. 彼と彼の彼女への気持ち

少し短いですが、今日は

ここまでです。


すみません。まだ歌劇場に

行っていません。

女子は支度に時間が掛かります。

「殿下は、シュゼットに愛情をお感じなのですか?」


 (むせ)た。盛大に咽込(むせこ)んだ。

 グリーンフィールド公爵家からの帰り道、馬車の中でいきなり質問された。随分大人しかったから何か考え事でもしているのかと思っていたが。お前がそれを聞くのか? 


「私より、お前はどうなのだ? 随分とシュゼットを認めていたな?」


 肘掛けに寄り掛かって、セドリックをじっと見た。はぐらかす訳では無いが、彼の言動が普段以上に変だし、面白過ぎるから自覚があるのか気になった。


「天使の様に可愛らしいとか、辛い思いも悲しい思いもさせないから安心しろ。とか言っていたな?」


 少し意地悪な気持ちが湧いてきた。そんなことをシュゼットに面と向かって言えるのは、セドリック位のものだろう。自国にいるときから、ずっと態度は変わっていない。


(どうなんだ?)


 目を細めて、答えを促す。


「・・・・・」


「どうなのだ?」


 セドリックは腕組みをして固まっている。言葉を選んでいるのか、それとも誤魔化そうとしているのか。






「とても()()に思っていますよ?」


「えっ!?」


 まさかのストレートをぶち込んできた。真っ直ぐに目を見て答えてくる。自覚があったのか?


「僕のライバルたる者、そんじょそこらの者では認められません。容姿、成績共に最高でなくてはなりませんよ! そして、そんな存在は貴重ですから大切にしなければ! それに競うからにはベストな環境でなければいけません。集中を妨げるモノがあれば、取り除いてやらねばなりませんよ。だってフェアな環境でなければ、勝っても嬉しくありませんから!!」


 ああ。違う。やっぱり、セドリックだ。角度が違っていた。でも・・・少し安心した。


「そ、そうか・・・判った」





「殿下? 僕の質問に答えていませんよ?」


 覚えていたのか。




「私もお前と同じだ。()()に思っているよ」


 はぐらかすつもりは無かった。だから正直に本心を言った。ただ、意味は同じではないと思う。





「そうですか。殿下も同じですか。そうですか・・・」


 何となく気まずい空気に、顔を背けて馬車の小窓の向こうを見た。ああ。外はもう暗くなっている。








「それは・・・困りましたね・・・」


 小さくセドリックが呟いたのに、エーリックは気付かなかった。






 土曜日。


 シュゼットは王立歌劇場に行く準備をしていた。人気の演目だけあって、席を取るのに苦労をしたらしいが、さすが公爵家の執事である。マシューは1階のボックス席のチケットを2枚手に入れてくれた。今回は観劇そのものが目的ではないので十分だった。



「お嬢様、今日は旦那様と現地集合ですね? 大丈夫ですか?」


 マリが、午後のお茶のカップを片付けながら聞いてきた。


「うん。多分大丈夫だと思うわ。もしも()()が来ていたとしても、時間ギリギリで天覧席か桟敷の良い席でしょ? 1階のボックス席に誰が来ているかなんて気にしないわよ。それに、お父様が来るまでは、マシューが付いて来てくれるから。モ・ン・ダ・イ・ナ・シ!!」


「承知しましたわ。それでは、ドレスを選びましょう。実質、これが社交デビューになりますから、気合を入れますよ!」


 マリの背後からオレンジ色の炎が見えた。初社交にシュゼット以上に燃えている。


「お嬢様を、天上から舞い降りた天使にしますわよ! 公爵家に天使がいる事を見せつけてやりましょう! さあ、腕が鳴りますわよ!!」




「お、お手柔らかに・・・お願いしますわ」


 天使降臨まで、あと少し。

ブックマークありがとうございます。


セドリック君はひと癖ありそうな感じです。


次話こそ歌劇場へGoです。

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