14. 5人目の候補者はわ・た・く・しです
婚約者候補が明らかになりましたが
個性的な面々で、ちょっと
フェリックス君が可哀そうな気が・・・
「婚約者候補ですの・・・」
はい。知ってます。全部で5人でしょ? ここにあと1人いますからね。
「フェリックス殿下はいずれ国王になるお方だからね。慎重に選んでいるのかな? 確か候補は5人いるって伺ったけどね?」
エーリック殿下はまるで他人事の様に言って、クッキーに手を伸ばしました。まあ、そうですわね。確かに他人事ですけど。貴方も似たような感じでは無いの?
「特に、公爵家のイザベラ、ドロシアと、エーリック殿下の従姉妹に当たるカテリーナ様の ≪三薔薇の君≫ は強烈だな。ああ、すみません。殿下のお従姉妹様に対して失礼なことを言ってしまいました!」
「お前、ワザとだろう。まあ、そう思われても仕方が無いのだけどね」
エーリック殿下は、肩を竦めてため息を吐きました。ほう? 珍しい表情をされましたわね?
カテリーナ様は、私も知っている方です。確か半年程前に留学されたと聞いていましたから。婚約者候補としていらっしゃったのですね。知りませんでした。
カテリーナ様は・・・何というか、一言で言えば ≪我が儘なイノシシ娘≫ 。とにかく我が強くて、我が儘な方だったような。まあ、はっきり言うと隣国の王族としては所謂問題児さんです。
茶色に黒のメッシュが入った変わった色合いの髪に、真っ黒で大きなアーモンド形の瞳が印象的な美人? うん。美人さんですね。見た目の個性に負けない行動力は、イノシシ並みの猪突猛進タイプ。私も何度か絡まれたことがありました。
いや、絡まれたというか、可愛がり?
多分ですけど、エーリック殿下とセドリック様は、カテリーナ様のお目付け役になっているはず。
「まあ。カテリーナ様が候補のお一人なのですね? でも候補なんておっしゃらずに、カテリーナ様が婚約者で良いのではありませんか? 隣国の王族の方なら文句の付けようがありませんのにね?」
「シュゼット? 本当にそう思う? 思ってないでしょ?」
エーリック殿下は眉間に深い皺を寄せると、そう言って私をチロッと睨みました。いえ。本当にそうして頂きたいのですけど。
「イザベラ嬢とドロシア嬢は、絵に描いた様な恋敵的な関係だな! 常に張り合っているぞ」
セドリック様にしては、良く見ていますわね。この方に女子のモヤモヤ&キリキリが見えるとは、期待していなかったのですけど。
「恋敵? もしかしてそのお二人には、取り巻きのご令嬢とかいらっしゃるのかしら?」
「いるだろうな。いつも4、5人で行動しているからな。因みにカテリーナ様も同じような感じだな」
ということは、クラスの女子たちは三バカ、いいえ三薔薇の君の派閥に半分近くは所属しているということなのね?
「ところで、もう一人のローナ嬢って? どんな方ですの?」
そうです。もう一人いますよね。
「・・・・・」
どうしました? セドリック様が言い淀むなんて滅多に無いですけど。
「ローナ嬢は・・・」
「ローナ嬢は?」
はよ言え。
「アライグマ」
「はっ?」
「だから! アライグマみたいなんだ!」
デジャブですか? セドリック様の鳩尾に思わず拳を叩き込みそうになりましたわ!
「・・・アライグマ・・・とは? 」
自分も似たようなことを言われたことがありますので、想像は付き易いですけど念のため確認します。
「ううむ。見た目がアライグマっぽいのだ。背は低く丸々と太っていて、顔も真ん丸でたれ目気味。動きがちょこまかとしていて・・・小動物っぽい」
随分な言い方だわ。私もそんな風に言われていたって訳ね。会ったことは無いですけど、ローナ嬢には同情してしまいます。
「ローナ様は、取り巻きはいらっしゃらないの?」
さすがに言い過ぎたと後悔したらしい。セドリック様がコホンと咳をして教えてくれましたわ。
「ローナ嬢はフェリックス殿下の側近、ロイ殿の双子の妹なのだ。カリノ侯爵家は側近と婚約者候補を選出された名門だな。さすがに三薔薇のような無茶もバカもしない。成績は優秀だが、余り目立っていない方だな」
あのロイ様の妹君ですか。カリノ家って国内の勢力図的には、結構な力ワザを使っていますのね? しかし、ロイ様はどちらかというと子犬っぽい感じに見えましたけど、妹君はアライグマとは・・・小動物系なのでしょうか?
じっと考えていると視線を感じました。エーリック殿下とセドリック様が私の顔を見詰めています。はて? 何でしょうか?
「あのさ、シュゼット? ちょっと聞くけど・・・・君さ」
「シュゼット・メレリア・グリーンフィールド! まさかお前が5人目の婚約者候補なのか!?」
セドリック様? 空気が読めない割には、勘がイイですわ。
でも、さすがにその言い方って、エーリック殿下に失礼ではありませんこと?
セドリック君は空気が読めませんが
意外に勘は鋭いようです。
次話でお茶会は終わります。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
ブックマーク、評価もありがとうございます。
頑張る糧になりますので、
これからもよろしくお願いします。
誤字脱字が多くて・・・
すみません。