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悪役令嬢(の娘)は天使の皮を被ってます!!

別話で投稿していたお話ですが、

この度本編の番外編として投稿し直しました。

ご存じの方も、そうでなかった方も

楽しんでい頂けたらと思います。

シュゼットの娘と、その他の登場人物達と

その次世代のお話になります。


「セレニア! 今日の鑑定式は何番目?」


 教室から廊下に出たところで、いきなり後ろから声を掛けられた。


「ああ、キャロライン様。御機嫌よう、ですわ。順番は……一番最後の30番目です」


 我が国には、満10歳になると魔力を鑑定する鑑定式と言うのがある。この魔力鑑定は、貴賤に問わず10歳の誕生日の後に魔法科学省の鑑定人によって行われている。全国各地の聖なる泉がある教会で、毎月必ずどこかで行われているらしい。


 でも、鑑定式で魔力がある事を鑑定される人はそう多くは無い。

 現に、王立学院の中等部で前回の鑑定式で魔力があるとされたのは、たったの二人だったと聞いた。学年には70名程の同級生がいるけど、前回の鑑定は40名が受けたはずなのに。


 貴族の家系はその血の濃さも影響して、魔力のある子供が生まれる確率も高いと言われているけど。


「じゃあ、貴女で今年の鑑定式は終わりってことね? まあ、貴女なら鑑定する必要も無いんじゃなくて?」


 キャロライン様は、そう言って私の隣をニコニコしながら一緒に歩く。前回の鑑定式でたった二人しかいなかった()()()の一人だ。


 キャロライン様は、我がコレール王国のフェリックス王太子様と王太子妃であるカテリーナ様のご長女だ。上に5歳年上のアンシェル王子様がいるが、お二人共に魔法術の識別を持つ稀有な存在だ。


「判りませんよ? 魔力は遺伝しないと言われていますからね。母の実家でも母以外はいませんし」


 私の母は、100年振りに発現した『光の識別者』で、癒しと水の複数魔法が使える。そして、父はそんな母を愛して不自由な生活すらも苦にしない変人だ。














 実は私の母は、このコレール王国から他国に行くことが出来ない。貴重な『光の識別者』 という大変珍しい魔力持ちだったからだ。何でも色々とあったらしいけど、この国にいる限りであれば、母は自由意思で結婚相手を選ぶことが出来たらしい。


 キャロライン様のお母様、カテリーナ王太子妃様に聞いたけど、母は随分モテモテだったらしく、父以外からも求婚されていたみたいだ。
















 で、そんな母が選んだ結婚相手は……










 隣国ダリナスの、マラカイト公爵家嫡男であるお父様だった。




 母は、シュゼット・メレリア・G・マラカイト。


 父は、セドリック・シン・マラカイト。


 そして、私は二人の娘であるセレニア・ステラ・G・マラカイト。先週10歳になったばかりだ。


 チラッと聞いたところでは、スターディアム卿のシルヴァ様にダリナス王族のエーリックおじ様、それから、コレール王国最高位の魔法識別者であるレイシル様とか……そうそうたる求婚者に囲まれていたらしいけれど。


 父と同じサラサラのアッシュブロンドの髪に母そっくりな顔立ちは、物心ついた時から可愛いと評判だった。自分で言うのも何だけど、結構イイ感じだと思う。


 瞳の色も父譲りの綺麗なアイスブルーで、何となく色素の薄い系は、見ようによっては少し冷たく見える。母みたいなプラチナブロンドにはっきり濃い海色の碧なら、メリハリが効いたかもしれない。














 キャロライン様と廊下を並んで歩いていると、向こうからアンシェル様が歩いて来た。




「お兄様!」


 キャロライン様が、嬉しそうな声を上げた。


「キャロライン? やあ、セレニア。久し振りだね? 今日の鑑定式は受けるんだろう?」


 アンシェル様は、駆け寄って来たキャロライン様の頭を軽く撫でると、優しく声を掛けてくれた。


「アンシェル様、こんにちは、お久し振りです」


 アンシェル様は、銀髪に琥珀色の瞳の美少年だ。元々美形と評判の王族の中でも、一二を争うお美しさだと思う。お若い頃のフェリックス王太子様にそっくりらしい。


 キャロライン様はお母上であるカテリーナ様譲りの黒髪に黒目だ。カテリーナ様は隣国のダリナス王家のお姫様だったので、ダリナス王家の特徴である黒髪黒目を継いでいる。


 なので、キャロライン様は咲き始めた紅薔薇の様に華やかだ。きっと大人になったら物凄い美女になると思う。


「君の鑑定式には沢山の見学者が来るだろうね? 勿論僕も行かせてもらうよ。君のご両親もいらっしゃるのだろう?」


 キラキラしい笑顔で、アンシェル様が軽やかに近づいて来た。アンシェル様は高等部の1年生なので、こちらの中学部で会うのは大変珍しい。


「皆様の期待を裏切るかもしれませんのに、嫌ですわ。そんなに期待をされても困ります。両親には来ないでと言ってあります。母が来るとなると、護衛やら何やらで大所帯で学院に来ることになりますし、父が来ると……それはそれで面倒臭い事になりそうですから」


 母が移動する場合、沢山の護衛やお付きの人が付いて来る事になる。特に今回の様な公的な行事では仰々しくなってしまう。母はなるべく地味に、静かに行動したいらしいけど、何かあったら大変だと思われているんだろう。やっぱり、貴重な識別者なんてなるモノじゃない。


 父は……父はまた母と違って少し()()()()()()


 母がコレール王国から出られないのを承知で結婚したんだから。父も母もダリナスとコレールの両国で公爵の爵位持ちだし、母はグリーンフィールド公爵家の一人娘。父には16歳も離れた弟がいるけど、叔父様は私との方が年が近い。まあ、幸い叔父様がマラカイト公爵家を継げれば父はもう少し自由に()()()()()()()()(ダジャレでない)


 父はダリナスの外交大使として、コレールとダリナスの両国間を行き来している。エーリックおじ様やシルヴァおじ様のお力添えもあって出来た特例らしい。






 でも……エーリックおじ様やシルヴァおじ様から求婚されて、何で父を選んだの? 


 不思議だ。母に聞いても笑うばかりではっきりとは答えてくれない。


 でもよ? 冷静に考えてダリナスの王族であるお二人と、言ってみれば臣下の公爵家の長男だ。そう言えば、もう一人いた。レイシル様だって、コレールの王族の一人で神官長兼魔法科学省の師長だ。


 見た目の姿形だってタイプの違う美形だし、性格は私が知っている限り父よりは普通に思う。


 身分だって見た目だって、性格だってすこぶる良い皆さんは、しょっちゅう我が家でお会いする。皆さん母に会いたいだけかと思っていたけど、決してそうでは無い事が最近判ってきた。

 父と話をしたりするのが楽しいらしい。特に、エーリックおじ様は楽しそうで、学院で行う授業の時の顔とは全然表情が違う。そう、エーリックおじ様は、今は王立学院で魔法学の授業を受け持っている。


 そうか、私に魔力があって識別者になったら、エーリック()()の授業を受けるという事になる。


 うん。それはそれで楽しいかもしれない。まあ、私に魔力があったらの話だけど。



 静かに鑑定式に臨むつもりだったのに、アンシェル様情報によると見学者が沢山来そうだ。

 困った。私に魔力が無かったらがっかりさせてしまう。それは、母も父も、今日見学に来る皆さんにもだ。

 稀代の『光の識別者』、先代のセレニア様から名前を頂いたのに……



 私には、セレニア様のような、母のような、そんな偉大な魔力は無さそうだ。今まで同時代に複数の『光の識別者』がいたとは聞いたことが無い。いや、希少性から言えば母が識別者になる前、セレニア様が亡くなられてから100年の間が空いているくらいだ。




 まあ、でも、こればかりは仕方が無い。考えても、努力しても、魔力の有無は変わらない。




 アンシェル様とキャロライン様と、三人並んで廊下を歩く。


「あっ! 忘れ物! 教室に忘れ物してしまったわ! セレニア、ここで待っててちょうだい!」


 ふと思い出したように、キャロライン様がポンッ! と手を叩く。何を忘れたというのだろう?

 はいと私が頷くと、アンシェル様が少し呆れたように肩を顰めて苦笑いをした。


 何故か、キャロライン様は振り返りざまにウインクをすると、来た廊下を小走りに戻って行った。


 何とも慌ただしい。途中で転ばなければ良いけど……








「ねえ、セレニア」




 隣から優しい問いかけが降って来た。




「何でしょう?」




 背が高いアンシェル様を見上げて、私は答えた。




「僕は、君が識別者でも、識別者でなくても()()()()()?」




「……はい?」




 なに? 何が構わないのだ? キラキラと銀髪が輝いて、ガラス窓から差し込む日差しが眩しい。












「僕の、婚約者に……なってくれない?」



 魔法鑑定より、びっくりした!?



 マジで!?









沢山のブックマーク、感想を

頂いていていた本編に、改めて番外編として

投稿し直しました。

久し振りに、このお話の後日談や次世代編など

チョコっと投稿する予定でいます。

マリ視点なんてのも予定しておりますので

宜しくお願い致します。


楽しんでい頂けたら嬉しいです。

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