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さらに半年がたった

記憶が戻り、売られると知ってから2年


大きく、事情が変わってしまった


家出の時期が来たのだ


きっかけは、私の浅はかな行動


この世界は、前世と同じ10進法だった

基本的な計算も同じ

ギルドの仕事を手伝うようになったユーガ

教会の勉強で計算が躓いたマイク

それを、見ていた私がソロバンを作ってしまった

どんぐりのような木の実を使った簡単なもの

これがあれば、足す 引く だけでなく

掛ける 割るが数が大きくなっても出来てしまう……

二人は大いに喜んだ

使いこなすには、練習が必要だったけど

いざ使いこなせれば、今まで時間を掛けていたのがバカバカしくなるほど早い


だって、日本人は小学校で習うよね??

私は幼稚園で習ったんだよ

だから、そんな大変な物だって知らなかったんだよ


そのソロバンをギルドや教会に持ち込んだ兄たちの周りが大騒ぎになった

画期的な発明!!

だったらしい………


ユーガはギルドへの就職が決まった

貧民街から、直接ギルドへの就職が決まったのは初めてだ

ギルドから、領主そして王宮へ報告が飛んだほどの大発明

マイクはアルト地区への就職が決まった

ソロバンの独占契約を欲した商会へ

契約の一部としてマイクを雇われる事が決まったのだ


契約はギルドマスターだけでなく

領主のロビン卿、代行のケイン伯までが参加する事が決まった


両親は、いきなり将来が約束された

ユーガを気に入ってくれていたギルドマスターの計らいで

商品の権利を売り払うのではなく

ライセンス料として、純利益から10%アリアの家族に20年間にわたり入る事になる

あとで聞いたら、教会とギルド、領主にもそれぞれ5~10%入るらしい

みんな、しっかりしている

ソロバンだけあっても、使い方がわからないので

それを教えるために、ユーガとマイクがそれぞれ雇われた

教える事にも、別途お金が入る

商品だけを取り上げて、二束三文で権利を取り上げられる可能性もあったが

ギルド内でのユーガがマスターにまで気に入られて、彼が間に入ってくれたおかげだった


契約は領主の館で、王都から魔導士を招いて行われる

権利を破って他の者が製造したり、

ライセンス料を支払わなかった場合は罰せられるように

契約自体に魔法が掛けられる大掛かりなものらしい


契約を前にして

マイクが働く事になる、商会から支度金が用意された

館に上がるにも、それなりの服装が必要になる

これから、莫大なお金が入る可能性がある為

貧民街からの引っ越しも必要になるのだと言う


両親も兄たちも大騒ぎだ


貧民街からの大出世


お金も入った両親が、私を売らなくなるか??

それは、別問題だ


隠れて暮らすのも、そろそろ限界がある


それを考えても、売られていくのは必須だ


契約に立ち会って

その足で逃げよう


契約には、たぶん私の署名も必要だろう

兄たちは

「妹が作ってくれた」と、大人たちに話していたからだ


魔法を近くで見れるチャンス


この機会を逃しては、いけない気がする


うん。決めた


契約は5日後になる。と連絡がきている


ユーガとリンデンは悲しんでくれるかもしれないが

新しい生活を目の前に

悲しんでいられる時間は少ないはずだ


新しい生活に不安があるが、

2年準備してきたのだ

失敗したら、その時はまた逃げ出そう


2度目の人生

閉じこもっているより、目いっぱい楽しみたい


さぁ、旅の準備は慣れている

いつもと同じ

最低限の持ち物と最大限の用心


うん。私は出来る子だもん。頑張れる







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