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5

記憶が戻って1年半


5歳になった

なんだか、タイムリミットが早まっている感じがする

少なくとも、あと1年以上はあるはずだったが………

気のせいなのか

時間をかけて、値段を吊り上げるのが狙いだったはず


自分の容姿を私は知らない

鏡なんて高級品は家にはないのだから

水がめ、タライ、川などの水鏡でみるぐらいしか出来ない


外出するのは、兄と朝早く薬草罪や洗濯に行く時で

往復はフードを深くかぶっている

近所の人と顔を合わせることが、ほとんどないので

家族以外からの反応も知らない


身体が弱く日光アレルギー。って説明しているみたいだ

私はドラキュラか!!



ある日、一番上等なワンピースを着て

自分たちが住むスラム……とまでは言えないが貧民居住区ハーツから

ギルド地区を通り越し

大きな商店や裕福な庶民にが住む地区アルトに連れてきてもらえた

喫茶店のような店に入ると

父からフードを取って良い。と言われたので取る

その時の周りの反応に驚いた


それまで、私たちにとっては高級な服を着ていても

どこか貧しさが漂う私たち父子をよけていたような人たちが

驚きの目をしたのだ


自惚れかな??と周りを見回すと

みんなが私をみていた……


神様?にお願いした時、

10人中、7,8人が好意をもつような容姿ってお願いしたはずなんだけど

サービスしすぎじゃないか??

いや10人ってもしかして、異性だけじゃなくて

女性や子供、老人も含まれている??

じゃ、ほとんどの男性が好意を持つ容姿ってことか??

そんなの、ありえる??

だって好みとか、みんな違うでしょ


あー、なんだろう残念な感じ

5歳の子供に向ける視線じゃないよね。皆さん


あまりの反応に

父がフードをかぶる事を促し

急ぎ、店を出た


はい。

かぶります。もう、脱ぎません

今にも攫われそうだ


これがチートか


確かに売りたくなるわなぁ

家に置いておいても、あの環境だと悲惨な運命しか待っていないだろう


スゴスゴと父とアルト地区をあとにする

後ろから何人かが付いてくるのも感じに恐怖を覚え、父に相談する


父も感じていたみたいだ

アルト地区とハーツ地区の間に

冒険者ギルドと冒険者用の商品を扱う店や宿屋がある地区がある


そこまでは小走りに行き、ギルドの建物に入った


ギルド内は、ガヤガヤと賑わっていて

父が入ってくると横目では確認するが、みんなそのまま話をし続けていた


ギルド内の受付のお姉さんに

父が声をかけ、カードを出して休憩する部屋を用意してもらった

しばらく、そこに滞在してから家に帰るらしい


うん。良い判断だ

なんなら、お姉さんにフードや服の替えを借りてもらおう

ユーガの洗濯のおかげで、我が家はギルド内の評判がすこぶる良い

返すときに洗って返す。といえば、きっとすぐに持ってきてくれるはず



この1年半で勉強して、色々と理解できた


兄マイクからの情報を取るのは簡単だった

単純明快な彼は、おだて上げると

教会で学んだ知識を私たちに披露してくれる


それと、ユーガがギルトで学んでくる

洗濯をする事によって、

ギルド内の職員と仲良くなった彼は独自の人脈を築いた

もともと優しく、賢く、色々な事に気が回る彼はギルド内で人気者だ

ギルド職員は、国のエリートが多い

たたき上げの冒険者が引退後になったり、王都の学院を出た人だったり

話を聞いて驚くほどの経歴の者がいる

確かに冒険者は、国の財産

魔獣を狩り魔石を取るだけではなく、有事の際は傭兵や間者にもなれる

優秀な冒険者を多く取り込む国は、それだけでも他国に脅威を与える

管理する人を優秀でないはずがない。

教会でマイクが午後に学ぶように

ユーガはギルド内で学んでいた


その2人の知識がアリアに集められる

この時代に最高の教育を受けた。と、言っても良いほどの情報量だ


この国……王が支配している王国

ローデンブルグ王国

王家と貴族がいる。

魔法が利用できるのも、この人たちが多いらしい

他に民間人の魔法使いは、王国が管理していて

魔法ギルドなるものが基盤となっている


そして、アリアが住むこの場所

王都ではない

収めているのは侯爵

ロビン・アルトバイン卿だ


多くの領地を持つ侯爵の領都で

侯爵は王都で大臣職に就き

息子のカイン伯爵が領地を管理をしている


街の名前はエーデル

白い花。という意味の領都だ


大きな侯爵のマナーハウスを中央に

そこから放射状に貴族街

さらに周りの東西南北に分けて

魔獣の出る森を背にした北側を冒険者地区

東に富裕層のアルト地区、西側を貧民・冒険者が多く住むハーツ地区

南側を農業に携わるボーク地区が囲んでいる


西から北にかけては、森にすぐ行ける場所となっており

ユーガが薬草を摘んだり、洗濯に行くのは家から40分ほど歩いた場所だ

マイクの通う協会は西寄りの南側にある

片道1時間ちょっとかかる


父と母は、仕事で忙しく

マイク午前中は薬草摘み、午後を教会で勉強

ユーガも薬草摘みや洗濯とギルド内で勉強

日中に家にいるのは妹2人だけだ

家事をして

リンデンの昼寝をしている間や、遊んでいる間に

魔法練習の他にピラティスやヨガなど前世の記憶を頼りに身体強化にとむ事が出来た


転移魔法は、やはり知っている範囲しか移動が出来なかったので、あまり使えず

転送は、想像が出来なかったのか失敗を繰り返した

火、水、土、風、簡単な治癒などは想像がしやすかったので、習得は早かった

空間魔法は、おもしろかった

空間を呼び出し、中に入れるのは出来たが、思った通りに取り出しが出来ない

ふと、テレビで見たアマゾンの倉庫を思い出した

自動操作されたカートが、次々と目当ての棚から商品と積み出していく

そんな光景が頭に移った瞬間、空間魔法の制御が出来たのだ

久しぶりに感動した


そんな毎日を過ごしていると

ユーガから朗報がもたらされた


「アリア、魔獣の森に魔法使いが住み着いたらしいぞ!!」


ギルドから帰るなり興奮したユーガから受けた報告


「ギルドの人から内緒だよ。って教えてもらった

魔法の事を色々と以前に聞いたのを覚えてくれたみたいで……」


「えっ!!魔法使いって本当にいたのね」


「なに、言ってるんだ??アリアは魔法使いだろう??」


アッ、忘れてた

私も魔法使いなんだよね

自分以外に魔法使いの存在を始めて実感した


いままで……

誰にも聞けなかった

本や教科書なんて、ないし

魔法を使える人が身近にいなかったから……


「ユーガ兄さん、住み着いた。って

これから、ずっといるって事かしら?

でも、森の中って人が住めるの??」


「う~ん、詳しい事はわからないけど

しばらく住むらしいよ。生活用品の面倒とかギルドで見る。

って言ってたから………

なんか、聞いたら、また教えるよ」


満面の笑顔の兄

きっと私の事を心配してくれていたんだろう


兄以外は、私の魔法を知らない

両親は「何かがおかしい?」と、思っているふしもあるけど

気づかないようにしている

きっと、気づいたら大事になりそうだし

売る予定の私なんだから

面倒に巻き込まれないようにしているのかもしれない


でも、これで逃げていく先の目途がついた

何かあれば、森に逃げて保護してもらおう

森なら洗濯する川に転移が出来る

保護してもらえなくても

魔法ギルドを紹介してくれるぐらいは、してもらえるだろう


やっと、家出先の見込みがたった

大進歩だわ


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