1
眼が覚めた
うす汚れた部屋……
かろうじてベッドといえるものに寝ていた
どこだろう、ここ
先ほどまでの真っ白の空間とは正反対な場所
隣には、別の誰かが寝てる
くさい……なんかくさい
アジアの田舎町の匂い??それも違う…
すぐ横には小さい子供が寝ている
うん?
私も小さくないか??
などと、考えると急激に頭が動き出した
「は!!」
思わず大声をあげると
隣で寝ていた妹が寝がえりを打った
そう、妹だよ
で、向こうでイビキをかいているのが兄2人
私 アリア3歳
貧乏の子だくさん
兄弟は、兄2人に私と妹の4人
ファミリーネームなんて、ない。はずだ。うん。
なぜか転生した
添乗の仕事をしている時に事故にあい
人を沢山、助けたからだって……
うん。うん。覚えている
いや、思い出した………
特典に、お金持ちをお願いしなかったからかなぁ
サービスはないんだね
は、は、貧乏だわ
はぁ~
ため息をつく、26歳の記憶を持つ3歳児って
イヤじゃない??
さて、どうしよう
とりあえず、ベッドを出てダイニング……なんて良いものではないが
水を飲みに行く
水もなぁ~
まぁ、アフリカに比べれば井戸から汲むし
今まで飲んできたんだから免疫もついているよね
まだ前世の時、インドから帰ってきたら
保健所のおじさんが大学までやって来た
一緒に行ったゼミの男子が水道水を飲んで体調を崩したら
伝染病の赤痢だった
「待っているから、検便しろ」って
ゼミ旅行参加者全員に検査キッドを渡された
運悪く感染していた友達は、黄色い救急車に運ばれていった
「どこも触らないでください!!」って
白い防護服の係の人と
見たことない色の救急車に座らされている姿はシュールだった
その日のうち
消毒隊までやってきて、ゼミ部屋を消毒していった
立派なトラウマだよ
おかげで、海外に行った時はミネラルウォーターが手放せない
なんて、事も思い出しながらドアを開けようとする
その先から父と母の声が聞こえてくる
「……まだ、早いか……」
「そうね3歳じゃね、あと3,4年後くらいが良いんじゃない?」
3歳って、私の事だよね?
何が早いんだろう
「まぁ、他に3人もいるし一人いても、いなくても一緒だしな
でも外には出さない方が良いんじゃないか?
変な虫がつくだけならまだしも、攫われてもこまるし」
うん??
「まさかねぇ~、3歳の子に売ってほしい。なんて、大金だす人がいるとわね
……たしかに、アリアはこの辺りじゃ見ない器量だけど
でも、このまま行けば、キレイになるのは確実だし、
もう少し育った方が高く買ってくれる人がでてくるんじゃないかしら?」
えっ、なんだって??
私を売る相談??
娘だよ……
前世よりも命は軽いし、人権もないに等しい世界だというのは理解できる
貧乏……
と、言っても、何とか食べていけるぐらいだよね
「じゃ、アリアは、外に出さないようにして育てて値段をつりあげよう」
あれ、決定事項??
チートで美貌を貰ったけど……
ダメじゃん、この世界
とりあえず、ベッドに戻っていた方が良いよね
聞かれたのが知れたら、すぐに売られそうだし
……あと3年は猶予があるはず。うん
たしか、魔法も運動神経も貰ったはず
明日から鍛えよう
いざという時に逃げて生活できるよう
とりあえず頑張ってみよう!!
今、記憶が戻ったのも、きっと神様からのギフトだ
努力は身を助ける。
前もそうだった!!
うん、やれば出来る子だもん私
インドから帰ってきて数日
保健所の人が自宅にやってきました
赤痢は陰性でしたが、O-157に感染してました(汗)
エジプト帰りの友人が赤痢に感染した時は
保健所から連絡
「自宅近くで隔離されますか?職場近くで隔離しますか?」
選ばせてもらえたらしい………
みなさん、海外旅行する時は
飲み物、食べ物には、ご注意ください