45 呪魂契約
「はーい。これでお2人は死にたいと懇願するほどの不幸が雨の如く降り注ぎ続けますよ!おめでとうございます!」
悪魔は嘲笑いながらパチパチと素早く拍手をして2人をいじめ抜く。
「ああ……ああああ……」
彼女たちは胸の髑髏を見て絶望する。エリスちゃんは必死にその髑髏を取ろうとするがすり抜けているようだ。
これが敗者の末路。今後、永遠に不幸を浴びせ続けられ、負を撒き散らし悪魔のエネルギーと化す。
どんな人に生まれ変わろうとも不幸が訪れ続ける。……想像を絶するものだろうな――。
悪魔が最初に流した映像を思い浮かべる。
本当に恐ろしい。改めて思う……こいつは悪魔だ。
「では、制裁も終わったことですのでお2人も存在を消させていただきますね。一応結末、気になるでしょ?」
2人は茫然と悪魔を見る。最早、抵抗する気力すら無かった。
「それでは、ご機嫌よう」
パチンッと鳴らすと2人はスーっと姿が消えていった。
シンとした間ができた。私の認識には、この私たちの上にふよふよと浮かぶ悪魔と私の目の前に対峙する東堂さんのみ。
「さてさてお2人さん、今の御心境はいかがですかな?」
わかっているくせに……。今までの悪魔の様子を見るに人の心の中がわかっているような感じである。
「まあ、高鳴っているよ。改めて人生がかかった勝負に臨んでいることに……」
ブレないように見えた……が、さすがにアレを見た後か少し震えている。
武者震いって言葉もあるけどそれなのかな?
「あなたはどうです?」
聞いてくることに少しため息をつくと……。
「そうだね、緊張してるよ。ただ、悪い感じの緊張ではないけど」
頭は割と冷静だ。さっきまで酷く動揺していた2人がいなくなったせいかここまでの短い時間でありながら色んなことを考えたせいか2セット目や3セット目の動揺がない。
人ってこんなに簡単に変われるんだと思ったが――。
……変わったのかな、私。
こんなに短い時間、色々あった。とても恐ろしい事態ではあったけど、何故か充実感がある。不謹慎だな。
本当ならこんな事態にならなくてもアイドルを目指しているなら、もっと色々切磋琢磨し、社会に揉まれ刺激を受けて強くなるものではなかったのかなと思った。
悪魔はニッコリと笑みを浮かべ……。
「それは何よりです」
と言ってみせた。




