36 暴走する幼女
佐藤 美夢……ドロー。
エリス・メールワルス……ナンバー。
倉田 千夏……ナンバー。
東堂 雪綱……ドロー。
「――なっ!!」
「――えっ!!」
2人は驚く。特にエリスちゃんは瞳が震えているのがわかるほど動揺している。信じられないと言わんばかりの顔だ。
「佐藤さんと東堂さんはドローですね。では、カードです」
シュっとポイントカードが目の前に来る。
「エリスちゃんと倉田さんはナンバーですねぇ。では……」
パチン。……彼女たちの表情から見て、必勝の数字は出なかったらしい。ここまで来るとポーカーフェイスをする意味もないからね。
「…………あなた、何を考えていますの?」
少し聞こえづらい小さな声で身を震わせて聞いてくる。
「言ったはずだよ。覚悟を決めたって」
ダンッ!テーブルを強く叩く。
「聞きましたわよ!あなたおかしいんじゃありませんこと。ここでナンバーを選んで確率を上げるのが鉄則でしょう?なのにドロー!意味がわかりませんわ!それとも別の意図があるとでも!」
追い詰められているせいか、わからない行動をする人が無性に腹ただしいらしい。すごい剣幕で怒鳴ってくる。
だが、私は動じない。私はこのセットに全てを賭ける……そう決めたの!
私の冷静な表情を見てか、怒鳴り散らしているエリスちゃんの隣で彼女は笑みを小さく浮かべる。
「ふっ」
さっきまで絶望した表情をしていた私たちを、残念そうに見ていた彼女は楽しそうだ。
「あーーエリスちゃん、そろそろいいかな?ファイズ2いくよ――」
「私はカードを捨てないよ」
即答する。私の選択肢にカードを捨てるはない。
「あなた……」
エリスちゃんは握り拳を作り、怒りを抑えようとする。
「他の方はどうです?」
「捨てないに決まってますわ!!バカじゃありませんこと!!」
彼女は怒鳴り答える。2人も捨てないと答えた。
「ではフェイズ3!さあ、リバースカードの中身、なぁにかな?キャッハハ」
陽気に言ってみせた。正直、そんなノリの状況ではないのだが。
私はカードを2枚、裏にして置いた。
「……あなた……あなたねぇ!私の隣で意味のわからないことをしないでくださいまし!イライラしますの!!自暴自棄になるなら、もっとそれらしい顔でもなされたらどう!!」
指を指し注意する彼女に私は答えた。
「……別に自暴自棄になんてなってな――」
「だから!!それを止めろって言ってんですのよ!!頭の壊れた奴はコイツ1人で十分ですのよ!!いい加減にしてくださいな!!」
東堂さんを指差して説教する。感情が抑えられず、暴走しているようだ。




