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人生終了ゲーム 〜リバースカード〜  作者: Teko
3章 人生終了ゲーム開幕
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35 運に命を賭ける

 

 駅の待合室での出来事が鮮明に脳裏によぎる。


 可波くん……運で命が作られる……か。


 この言葉が頭から離れない。


 確かに「私」という存在は色んな出会いからできてる。


 お母さんとお父さんの元に生まれ、テレビを見てアイドルに憧れた。それでアイドルの話をして友達もできた。その友達に後押しされアイドルのなり方を模索する中、この後輩に出会った。


 色んな過程の中で歌うことの喜び、踊ることの楽しさ、見てもらうことの嬉しさ、応援してもらうことの頼もしさ、色んなことを知った。


 もちろん辛いこともあった。


 努力が報われない辛さ、甘さからくる現実の厳しさ、自分の無力さを知る苦しさ。


 まだ、色々あると思う。自分でも知らない自分を作ったもの。


 これからも自分を自分で作り、自分を色んな人たちに作ってもらい、自分が色んな人たちを作る人になりたい。


 小さな私がアイドルを見て、自分を作り始めたように、私も誰かを作る人になりたい!



 そのためにも、こんなところで負けられない!私は見たい。未来の自分がどんなに輝く姿になるのか。


 ……そういえば彼はこんなことも言ってたな。


「――運に命を賭けるってカッコいいッスよね」


 ……全く。ギャンブラーのセリフだよ、それ。


 でも、うん。カッコいいよね。


 大きく手を広げ、大きく深呼吸をする。


 スゥーーッハァーー。


 みんな、ギョって顔をして私を見た。


 目を閉じ、胸に手を当て、心臓の鼓動を感じる。


 落ち着け。大丈夫。……覚悟はできた――。


 キッと目を開き、コインをパチンと鳴らす。


「随分と顔色がよろしくなりましたわね」


 苦難の表情を浮かべるエリスちゃんが皮肉交じりに語る。


「悩んだって何も変わらないなら……覚悟を決めただけだよ」


 その言葉を聞いた2人は……。


「……そうですわね。悩むだけ無駄ですわね」


「そうだね。私たちには選択肢がないもんね」


 その2人の手は小刻みに震えていた。コインを置く音もしないくらい静かに指を添えた。


 無理もない。2セット連続で当てるか3枚取りをするかだ。どちらも厳しい。


 私も彼の言葉がなければ、絶望した表情を浮かべコインを置いたろう。だけど――。


「皆さん、置きましたねぇ。ではいきますよぉ――」


 今は信じられる未来がある。見えているわけではない。だけど信じたい未来があるなら手を伸ばさないと届かない!掴むんだ!未来を――。


「オープン!」


 2人はナンバーを示す中、私は……。


 スッ。


 コインを手に取り、宣言した。ドローを――。

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