11 翻弄
プレイヤー・ポイントカード
佐藤 美夢 1枚
エリス・メールワイス 2枚
倉田 千夏 0枚
東堂 雪綱 0枚
……………
「では皆さん、2セット目フェイズ1!オープンかナンバー、ドローどれか選択して下さい」
パチンッ、カードが全てリバース。エリスちゃんのカードも追加された。カードがブレる。恐らく中身が変わった。
私はかなり動揺している。手汗が酷くなる。
当てられるとは思ってなかった。確かにエリスちゃんはナンバーを宣言した。当たる確率が跳ね上がっているにしても……保険もかけずに臨めるものなのかな……。
だって負けたら――脳裏にまた悪魔が見せた映像が蘇る――不幸の連鎖という地獄が待ってる。
ふっと右手を見る。酷い汗の量に小刻みに震えも出てきた。息も早くなる。心臓の音も……。
「――あら大丈夫?」
そんな私の様子を見てかエリスちゃんが話しかけてきた。
テーブルに肘をつき余裕ある表情で提案してきた。
「何をそんなに焦っているのかしら?あなたはまだ1点差。またドローを選べばいいだけではなくて?」
他の方々は0点ですのに……と言ってきた。私はふと我に帰る。
そ、そうだよ。他の2人はまだ1点もない。ちらっと2人を見る。
倉田さんはもうコインを隠している。東堂さんは少し悩んでいる様子。だがその表情に焦りがない。
この2人に比べれば私はやっぱり安全策を取れていたんだ。さっき自分にも言い聞かせたじゃない。例え当てられても1点差になるだけ。
ドローするか当てに行けばいい……けど、やっぱり当てる自信がない。エリスちゃんみたいな自信家なら勝負にも出られたかもしれないけど……私には無理だな。少し落ち込むと……。
「エリスちゃん、ありがとう。お陰で少しは落ち着いたよ」
「いいえ、どういたしまして」
ふんと余裕の表情で鼻を鳴らす。
エリスはにやりと小さく笑みを浮かべた。
私の取れる手はドロー。オープンもナンバーも怖くて宣言できない。それにオープンかナンバーを宣言して外したら、彼女からの差も大きくなる。下手をしたら他の2人にも……だからここはドローだ!
私はコインを指で隠し、置く。
「……皆さん、よろしいですねぇ。……では「オープン!」」
私は再びコインを手のひらに入れテーブルから引っ込める。
佐藤 美夢……ドロー。
エリス・メールワルス……ドロー。
倉田 千夏……ナンバー。
東堂 雪綱……ドロー。
え!倉田さんがナンバー!エリスちゃんがドロー!
「では、倉田さん以外ドローですね」
悪魔はそう言うと倉田さん以外にポイントカードを配った。
「では、倉田さんにはリバースカードの合計数字が表示されますよ……では」
倉田さんは少し緊張したように上目遣いに悪魔を睨む。パチンッ。倉田さんの表情が変わる。苦虫を噛み潰したような表情した。さっきのエリスちゃんとは違う。
そのエリスちゃんはふっと小さく笑った。




