05 質問
「いくつかありますわ」
とエリスちゃん挙手。
「同点だった場合はどうなりますの?」
「同点だったプレイヤー同士でサドンデスを行います。5セット目でポイントカードが少ないプレイヤーはその時点で敗北となります」
「2つ目。フェイズ2での宣言もフェイズ1と同様ですの?」
その説明がなかった。フェイズ1でも同じって私は捉えてたけど……。
「いいえ。特に隠す必要はありません。ただ、コインで宣言を表示はして下さい」
統一性を持たせるためにねと補足。
「なんでフェイズ1のように隠さなくていいの?便乗するんじゃない?」
「フェイズ2ではポイントカードを切らないとダメだからですよ」
そうか……勝ち点を1つ減らしてまでやるわけだから、人の意見に便乗なんかできない。その説明に納得したエリスちゃんは3つ目の質問をする。
「3つ目。ポイントカードを他のプレイヤーにあげるのはありなの?」
「!!」
「ククッ。面白い質問しますねぇ」
ポイントカードを渡す!思わず動揺する。その質問に倉田さんが……。
「つまり、他のプレイヤーを買収するってこと?」
「まぁ、そうですわね」
「ば、買収?」
私は尋ねる。
「そうですわ。例えばフェイズ1にドローして、そのカードを渡し、そのカードを使って私のカードをオープンなさいとか……まぁ、この例えはまずあり得ませんが……ゲームが進めば色々と意味も出てくるでしょう」
エリスちゃんは意味深に語った。悪魔の答えは……。
「どうなんですの?悪魔」
「全員がいいならOKですよ」
「……いいんだ」
あなた達はどうなの?とエリスちゃんが質問。
私は悩む。はっきり言って想像がつかない。相手にカードを渡してまですることって。それに渡された方は裏切るかも知れないし……。
「あたしは別に構わないけど……」
倉田さんには何か手があるらしい。どうしようと考えていると……今まで無言だった彼女が口を開く。
「私は嫌だ」
「何故ですの?」
ちょっと嫌な顔をして聞いた。
「なに、私は正々堂々と勝負したいのだ。カードの受け渡しなど、明らかに騙し討ちをする準備にしか思えん」
目を閉じながら堂々と言い張る。エリスちゃんは、はっと笑いこう言い放つ。
「あなた、さっきから黙って聞いておりますが、実はルールがあまり理解されてないのでは?」
とバカにするように……だが、東堂さんはガンと言い放つ。
「そうだが?だから何だ」
「はぁ?」
東堂さんは自信満々に言ってるよ。ルールを全部理解はしてないって。自分の心配もしなくちゃだけど、この人も大丈夫かな?
倉田さんは苦笑い、エリスちゃんは呆れ果てている様子だ。
「では1人でも拒否したものがいるので、この件については無しということで」
仕方ないとエリスちゃん、ふぅとため息。
「もうないですか?」
「あと、もう1つ」
挙手をして言ったのは倉田さんだった。
「フェイズごとに時間制限はあるの?」
そういえば時間制限の話はなかったような……。
「時間制限は特にありません。いくら悩んでいただいても結構ですよ」
「いや、向こうの時間が――」
「先程も言いましたが、ここは私が作った空間。ここの時間の流れは他の世界の時間軸には当てはまりませんから、ご安心を……」
「つまり、ここでいくら時間が経とうが私が消えた時間に戻るってことかしら」
はいと悪魔は答え……。
「時間制限が欲しいのなら先程同様、全員が大丈夫なら通りますが、いかがします?」
みんな、少し唸り考える。
私は正直、考える時間があった方がいい。初めてやるゲームだし……何より人生がかかってるから……。
私は手を上げて……。
「……せ、制限時間は無しでいいんじゃないかな?みんなだって考える時間は沢山あった方がいいでしょ?」
みんな、納得した様子だ。それを確認した悪魔。
「では、これで質問は無いですね?」
みんな、無言で返す。……でも、心配になった私は。
「あの……質問じゃなくてゲーム内容をもう1度確認……大丈夫かな?」
と念を押した。




