08 ゲーム前の準備
「では、皆さん覚悟ができたところでそろそろゲームに移らせていただきますねぇ」
私たちは真剣な眼差しで悪魔を見て息を飲む。
ゴクリッ。
「と、その前に」
思わず肩を落とす。
「ちょ、ちょっと!」
「まあまあ、皆さんがゲームをやるにあったて色々お知らせすることがありまして……」
「勝者と敗者の待遇以外で?」
「ええ。まず、皆さんには潰しやすいように、皆さんは全く違う異世界から呼んだということです」
それは何となく気付いていた。エリスちゃんを見た。この子は召喚とか魔力とか言ってたから別の世界からきたのかな?って思った。
「あの……エリスちゃん以外は日本人の名前だと思うんだけど……」
「パラレルワールドってご存知ですぅ?」
パラレルワールド。平行世界と呼ばれるもの。今いる自分と別の世界にいる自分がいるとかだっけ?
「そこから引っ張ってきたんで、皆さんは面識どころか本来ならどんな因果関係であろうと出会うはずがないんです」
「あなたのこの空間に呼ばれる以外にってことかしら?」
悪魔は頷いた。
「では、情報その2。この空間では基本、魔法は私以外使えません」
「――なっ」
エリス、思わず声が漏れる。
「私は正々堂々勝負していただきたいので、その辺は無しです」
「悪魔が正々堂々だなんて、聞いて呆れますわ」
「建前に決まってるでしょ?」
……建前ってことは、何か別の考えがあるってことかな?嫌な予感しかしない。
「情報その3。外野の皆さん?」
「は、はい!」
不意に声をかけられ驚く3人。
「この4人の邪魔にならないよう、あなた達の存在を消させていただくか、帰っていただきます」
「そ、存在を消すって……」
「ああ、この4人に認識できなくするだけですよ」
ほっとした様子だ。だが、そんなことされたら心細い……。
「応援しちゃダメなの?」
「ダメですぅ」
「お嬢様を見守ることもですか?」
「存在を消させていただければ、それはOKです」
「何で?どうして?」
奈々が必死に悪魔に尋ねる。
「あのですね、先程も言いましたけど、正々堂々としてほしいんです。2人はいいかもしれませんが、他2人はアウェイでやらされるんですよ。この人生が決まる勝負を」
どうやら悪魔はあくまで4人の勝負がやらせたいらしい。
「……わかりました。私たち見守ります!だよね!ほのかちゃん」
「当たり前でしょ?」
「執事さんは?」
「残ります。心配は……しておりませんが、お嬢様のお側におりませんと……」
「……爺」
悪魔はこうゆうのがあるからあーやだやだというと指を鳴らし……すぅーと3人の姿が消えていく。
「ほのか!奈々!」
「爺!」
「えっ!ちょっ――」
「美夢!がん――」
言葉途中で消えてしまった。やはり寂しさを感じる。
「さぁて、これで準備は整いましたねぇ」
悪魔は両手をバッと広げて――。
「では、これより人生終了ゲームを開始しまーす。勝っても負けても人生終了!ゲームプレイヤーは、エリス・メールワルス、佐藤 美夢、倉田 千夏、東堂 雪綱、そして、ゲームマスターはこの私、悪魔でーす。さぁ……始めましょう」
今、人生終了ゲームの火蓋が切って落とされた――。