04 悪魔登場
私たちの上には楽しげにくるくると回りながら笑う魔人の姿があった。
その姿は上から下まで赤と黒のチェック柄のスーツの様な恰好。顔はハート型の仮面?……いや、鼻や口と繋がっているようだから顔の一部なのだろう、そのハートも半分ずつ色が赤と黒に分かれていた。
……分からない事が多いが、簡単に分かる事もあった。こいつは人間じゃない。大きさ的にも顔的にも……
「ご機嫌よう、諸君〜」
この魔人?だろうか……楽しげに話しかけてきた。
エリスは顔を引きつらせながら……。
「……やっと、お出ましかしら」
「はい!やっとお出ましです!いっやぁー見てて愉快でしたよ〜」
高笑いの随分とノリの軽い魔人――。
「魔人じゃないですよ?」
――!私は驚いた。心の中で思ったことなのに……。
「自己紹介しましょう!どうも!悪魔です。てへ☆」
悪戯心ありありのウインク顔……こんな状況だからかな、イラっとする。
「あ……悪魔?魔人じゃありませんの?」
「…………!」
「……ほう」
各々方、思う事がある表情を浮かべる。そんな中……。
「あ……あはは、あ……悪魔ってそんな、バカな……
」
ほのかが珍しく動揺を見せる。無理も無い、私だってそう思う。
「夢だ!これは夢だ。寝て起きればきっと――」
ほのかが壊れ始め、現実逃避を始めた時……。
パチンッ。悪魔と名乗るこの存在は指を鳴らした。すると……。
「えっ!えあ!ええぇ!!」
みるみるほのかが小さくなっていく。
それを見て皆、驚愕した。
「ほ、ほのか!!」
「ほのかちゃん!!」
「……、……」
小さくなっていく彼女は何か喋っているが、声も小さくなり聞こえない。
「これで分かりましたぁ?これ現実で・す・よ。私は悪魔で・す・よ?」
「わ、分かった!分かったから早く元に戻して!」
「ええぇ〜、面白いのに〜」
「お、面白くありません!早く!」
「はいはい」
パチンッと鳴らし、ほのかは元の姿に戻った。
「はぁ……はぁ……死ぬかと思った……」
「大丈夫?ほのか」
私たちは駆け寄る。他の人たちも動揺を隠せない表情をしていた。
「……ほ、本物ですわね……」
「……一体、何なの?」
「……ふっ。面白いじゃないか。」
悪魔はそんな私たちを見て笑った。嘲笑うように……。
「…………っ」