11 怒ってもらう優しさ
重い足取りで学校へ向かう。通い慣れた道が今は退屈に思える。以前はそうじゃなかったのに……。まぁ足取りが進まない理由は他にもあるけど……。
その理由が今、走ってきた。
「――美夢ぅーーッ」
「ううっ」
ガバッと思いきり抱きしめにきたのは奈々だった。
「心配したんだよぉ〜」
「ご、ごめん」
その目には涙が出ていた。そんなに心配してくれてたなんて……本当に申し訳ない。私は小さい声でもう一度言った。
「ごめんね」
「ううん。大丈夫だよ、謝らなくてもいいって」
そう言うと私たちは一緒に学校へ向かった。その通学中、彼女は特に何も聞いてくることはなく、学校での話をしてくれた。
やはり、友人っていいな。さっきまでの足取りが軽くなった。
校門に到着。仁王立ちした2人を私は見た。正直、ちょっと行きたくない。ほのかと体育の先生だ。どっしりとした体型同士、威圧感ハンパない。
ちなみに体育の先生は担任、私が向かってると連絡をしたのは奈々みたいです。
「佐藤!先生がどれだけ心配したか分かるか!連絡も寄こさず、家に行っても出て来ない」
「全くだよ。美夢!」
「ま、まあまあ。落ち着いて2人とも……」
「金子は黙っていなさい!」
「奈々は黙ってて!」
「は、はい!」
奈々と私はしゅんとなる。奈々は完全なとばっちりだ。本当に申し訳ない……。その後はガミガミと2人から校門前で説教を受けた。
「今後、こんな事がないように!わかったな!」
「は……はい」
こんな事、不純かもしれないけど、本気で心配されることがこんなに嬉しいことだったなんて……。少し表情が緩んだ気がした。
時間は進んでお昼。いつものように教室で、私の机の近くで昼食を摂る。
「あれ?美夢?お弁当じゃないの?」
「うん。コンビニのあまりパン」
「あ、バイト先の?」
いつもならしっかり栄養取らないとと弁当を作っていたが、今日は金欠時のあまりパンだ。
店長が大変だろってよく貰うやつである。本当にいい店長さんだ。あの冷酷社長に爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
「さて、そろそろ話してもらおうか」
「うん。そうだね」
「えっ……あぁ……うん。そうだね、聞いてもらおうかな?」
やはり友人っていいな。私の気を使って落ち着いたこの時間に話を聞いてくれる。情けないって思うけど、今は甘えたいって気持ちがあった。
「……実はね――」
ここ最近の出来事を2人に話した。