婚約破棄されました
短編にするはずが構想上連載になってしまった
思いつきで書くからこうなるんだと1人反省会
「公爵令嬢アマリリス・コスティナ、お前との婚約は破棄する」
王家主催のパーティが始まってすぐ
まだ国王すら現れていない会場に響くのはこの国の第一王子、カーディナル・レストンの声
そしてその隣には淡いピンクのドレスを着た1人の可愛らしい女性
その周りには王子の側近である名家の子息たち
向かいに立つのは
シルバーブロンドの艶やかな長い髪、その瞳は夜を映したような漆黒
100人が100人とも美人と称するであろう容姿をした1人の女性
え?今なんと仰いました?
婚約を破棄すると仰いました?
なんてことでしょう
全然オッケーです!
むしろ、ありがとうと言いたい!よくぞ言ってくれました
「お前はここにいるリリアナ・モロー男爵令嬢を」
「あの、カーディナル殿下!
本当に婚約破棄してくださるのですよね?え?今更撤回とかなしですよ!?いいですね!
あ、それからついでに国外追放とかしちゃいませんか?しちゃいますよね?
わかりました、そういうことなら仕方ありません
それでは皆様、ごきげんよう」
そう言って去っていくアマリリス
そしてその場に残されたのは
ーー何が仕方ないのか?その前にせめて殿下のセリフを最後まで聞いてあげようよ!
と心の中でツッコミを入れる参加者たち
そして、途中でセリフを遮られ、挙句の果てには何も言っていないのに勝手に結論を出し、去っていくアマリリスの後ろ姿をぽっかーんと見送る第一王子と愉快な仲間達
そんな空気の中現れたのはこの国の国王と王妃
その登場に全くもって誰も気づいておらず
アマリリスの去って行った扉を見つめ顔さえも向けない参加者たちに首をかしげた
とりあえず
ゴホンッ
咳払いをしてみた
さすがにこれにはみんな気づき、慌てて腰を折った
「あー、俺一応国王ね?もうちょい敬おうよ
ところで何かあったの?」
王様軽い!軽すぎますよ!もっと威厳を持ってください!
隣の王妃は頭を抱えた
「あ、えっとそのアマリリスがここにいる男爵令嬢であるリリアナのことをいじめたので婚約破棄を宣言したのですが」
「は?なに、お前婚約破棄したの?
バカなの?バカなんだな!
そんなのしたらアマリリスが喜び勇んで受け入れるに決まってるだろう
そもそも、婚約自体したくないのを無理やり押し付けたようなもんだからな
はっ!?
これはまずいぞ
このままではアマリリスのことだからこれ幸いにこの国を出て行ってしまうぞ!」
「あー、その事ですが、こっちの話も聞かずついでに国外追放しろとかなんとか言って去って行きましたけど?」
「オーマイガー!
ヤバいよ、それ絶対アカンやつだよね!
はっ!こんなことしとる場合じゃない、パーティは中止だ!すぐに国境を封鎖しなくては!」
何が何やら全くわからない会場の皆さん
相変わらずぽっかーん顔の王子と愉快な仲間達
こうしてパーティは始まる前に終わってしまったのであった