第一章2『ここはどこ?』
彼の名前は八那賀晴翔18歳の高校生である。
趣味はネットとゲーム、そして自称引きこもり、だが学校には行っている。
引きこもりと自称していれば、他の人間と関わらなくていいという安直極まりない考えから、自称し始めた。
彼の18年を語ろうと思ったらおそらく10行もかからない、下手をすれば1行で終わる。
簡単に言えば人生の堕落を極めた男、それだけである。
そんな人生の堕落を極めた男は目を覚ました。
「っ・・・・ん・・・・あれ・・・俺確か穴に・・・・・・ここどこ?」
目が覚めた晴翔は周りを見回した。
部屋、ごく普通の・・・・いや少し貧相であろうか、食器棚とテーブルに花瓶と花、そして晴翔が寝ているベットがあるといういかにも小市民が住んでいそうな部屋であった。
改めて自分の身に起きたことを走馬灯のように振り返り始めた晴翔
「そうじゃん!俺穴に落ちたんだよ!ってかここどこ!?まさかの地獄?天国?極楽浄土!?いやいや、地獄に落ちるような悪いことはこれっぽっちもした記憶がないし、かと言って天国に逝くようないいこともした記憶がないな・・・・って本当にここどこだよ!?」
などと虚しい独り言を言っていると
「目が覚めたばかりなのに元気だね、もしかしてただの行き倒れだったの?」
声のした方に顔向けると
「っ・・・・・・」
晴翔は絶句した。
晴翔の目の前に現れたのはストレートくらいの長さであろう碧い髪をなびかせて
銀色の瞳をし、シンプルなワンピースを着た少女だった。
晴翔は絶句したままだった
「?・・・・どうしたの?、私の顔ばっかり見て、私の顔に何かついてる?まさか朝食べたパンがほっぺたに?!やだ私ったらちゃんと顔を洗ったのに」
なにやら顔を赤くして、ひとりで慌てふためいてる少女を他所に晴翔はやっと意識を戻した
「はっ!なんだこの状況は・・・・目が覚めたら絶世の美少女と二人きりでしかも俺はベットの上・・・これは・・・・夜のお世話をされた後だとでも言うのか!いや、待て、俺は生涯を二次元に捧げると決めた身・・・そんなことは・・・」
晴翔が独り言を言っていると少女が顔を覗き込んだ
「なに言ってるの?」
不意に覗き込まれた晴翔は少し驚き距離をとった。
自分の考えていたことを知られるのはパソコンのハードディスクの中身を見られるくらいの羞恥だ。
「な、なんでもねえよ!そ、それよりここどこ?俺学校の帰りに穴に落ちてさ、ここ君の家?」
晴翔が質問を投げかけるも少女は不思議そうな困惑した顔をしながら
逆に晴翔に問いかけた
「ガッコウ?・・・・穴に落ちて?・・・さっきから君なにを言ってるの?」
晴翔は面食らった
中学生までは学校に行くのが国民の義務であり、勉学を修めなければならない
そんなことは自称引きこもりの晴翔でも知っていた。
『学校を知らない?おいおい、どんだけ世間知らずで過保護な家で育てられたんだこの女』
心の中で呆れながら晴翔が言葉を返した。
「いやいや、そんな冗談はいいよ、どこの学校なのか言いたくないなら聞かないし、俺は聞く気もないよ。」
呆れた感情が強く少し冷たい言い方になる晴翔だったが
それでも少女は困惑している。
「本当に君大丈夫?どこから来たの?もしかしてガッコウってお城の名前?」
困惑の中で必死に晴翔がなにを言っているのか理解しようとしている
そんな少女に晴翔もだんだん違和感を感じ始めていた。