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堕転生  作者: 菜柚月
あの人を探して
6/7

襲撃

お久しぶりです

長いこと更新が遅れていましたが、今回はかなり短めです

 青年が退く。

「俺の剣を受け止められた奴なんて、お前合わせて今までで二人しかいなかった!これは楽しくなりそうだぜ!」

 俺は一歩前に踏み出す。そして聞いた。

「名は」

 青年は一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに笑顔を見せた。「戦闘中にお喋りなんて、余裕だな?……俺の名はダンテ。代々ミュラー家に仕えてきた騎士だ。お前は?」

「シヴ」

「へぇー、どっかで聞いたことがあるような……まあいいや」

 ダンテの背後から、鎧を身に付けた兵士がぞろぞろと現れた。数でこちらを圧倒するつもりだろう。

 ククルの方を見ると、ククルは何か言いたげな顔をしていた。そして、杖をぎゅっと握り締めて言った。

「ダンテちゃんは体術が苦手だから、剣を奪ったら勝てるはずだよ。頑張って」

 どうやら敵とククルは知り合いのようだ。これなら闘い易い。

 敵の数はおよそ十。俺は一歩踏み込み、敵の方に飛び込んだ。その眼前には、二人の兵士がダンテを守るように立ちはだかる。

 身を深く(かが)めて剣を一振り。予想外の動きに二人の兵士は避けることができず、足から血を噴き出した。低くくぐもった、悲痛な声が聞こえる。

 俺は休むことなく、次にその背後にいた兵士に飛びかかった。兵士は槍の柄で俺の剣を受け止めた。だが槍は真っ二つに折れ、その残骸は足下に散らばった。兵士のその後は、もはや言うまでもない。

「っっ!皆反撃しっ」

 一人の兵士が叫んだ。いや、叫ぼうとした。言い終わる前に喉元を掻き切られ、その兵士はあっけにとられた顔で崩れ落ちた。

 この間、およそ五秒。

「残り六人。誰から死にたい?」

 一度止まって、兵士たちに睨みをきかせる。敵は皆凍った視線に畏怖し、蛇に睨まれた獲物のように小さく震えた。

「あ、わかったよその目で。どっかで聞いたことある名前だって思ってたんだ。手前(てめぇ)<転生者>だろ。それも首に痣のある奴だな」

 本来ならダンテの方が苦戦を強いられている状況なのに、何故かそいつは愉悦を感じさせる笑みを浮かべた。

「証拠は」

「首に巻いてる髪、緩んでるぞ。好んでそんな気持ち悪い刺青する奴もいねーだろうし」

 言われてみれば首が寂しい。首元を触ると、そこに髪はなかった。戦闘中にほどけたのだろう、これでは痣が外からでも見える。

「…首の痣はまだしも、何故顔を知っている?俺はまだ顔は割れてないはずだったが」

「……さぁー、なんでかな」

「答えろ」

「全く<転生者>ってのは気が短いな。手前らって皆んなこうなのか?短期は損気だぜ?じゃあ俺たちに勝ったら教えてやるよ」

 痣の部分に血液が集まるのを感じる。ククルと出逢ってから三回目のこの感覚。この力をこんなところで使うのは少々気が引けるが、身体は待ってくれない。

「上等だ」

 痣は赤く、腕は黒く染まる。腕の筋肉は大きく隆起し、剣と一体化して異形の形となった。

「おお!すっげえ、本物初めて見た!!」

 興奮気味のダンテを尻目に、俺はククルに言った。

「すぐに片付ける」


 兵士が六人、縦横無尽に飛び込んできた。

 俺はその間を駆け抜けた。

 瞬間、兵士たちの時は止まった。見えたのは俺の残像だけ。兵士たちはひたすら戸惑った。何が起こったかわからなかったからだ。

「……あれ?」

 兵士の一人が声を漏らす。

「まずは六人」

 六人はそのまま倒れ、身体中から血を噴き出した。

 兵士は俺の動きも、自分が斬られたということすらもわからなかっただろう。まあ、常人の動体視力では追いつけないような速さで六人の全身を斬りつけたのだ。そうなるのもおかしくない。

 兵士たちは訳もわからぬまま、すぐに息絶えた。

 俺はすぐにダンテの方を向く。

「……ははっ、手前本当に人間かよ……」

 またも剣と剣がぶつかり合う。俺が兵士を殺した後、ダンテは俺の剣撃を予測し、とっさの判断で大剣を使い身を守った。

 剣撃は防げた。防げたのだが、それはあまりにも重かった。

「なんだ……これっ………くそっ」

 大剣使いは基本、腕力が強い。そうでなければあんな巨大な鉄の塊を振り廻せていない。だが<転生者>の覚醒後の力は、それを遥かに上回る。そして身体と一体化した剣は鋼鉄よりも硬く、よほどの人間離れした力が加えられない限り折れることはない。

 ダンテは後方に飛んだ。自らの剣が俺の力に耐えきれないと悟ったのだろう。

「<転生者>は人間ではないと、親に教わらなかったのか?」

 奴は千切れかけた大剣を俺に向けた。俺も剣を向ける。

「へっ、そういやそうだったな」

 ダンテはこちらに向かって来た。それも物凄い速さで。

 速い。だが及ばない。

「消えっ……?」

 その時、ダンテの視界から俺は消えた。

「ここだ」

 ダンテが振り返る。俺はそのすぐ後ろにすでに回り込んでいた。

 金属の折れる音がした。俺の剣が大剣を引き裂き、宙を舞う。

 ダンテが大剣を手から離すと同時に、俺は奴の後頭部を掴み、その顔面を床に思い切り叩きつけた。木製の床が割れ、奴の頭は深くめり込む。

「お前には聞きたいことがある。死ぬなよ」

 奴は全く反応しない。すぐに息をしているか確認するため、次は髪を掴んで頭を上げさせた。苦しそうだがまだ息はある。気絶しているだけだろう。

 ……縄で縛って目覚めるまで待とう。

【ここで重要なお知らせ】

私は今年受験生であり、勉強に勤しむために投稿を長期間休みます。時々投稿するかもしれませんが、本文は短いことが多いでしょう。

一応書いておきますが、書く気は大いにあります。

また次話もよろしくお願いします。

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