第六話 険悪な空気
少し短いです。
ここから旅の話です。
旅が始まっていい雰囲気とは言いがたいが、それでも何とか旅をしていた。
必要最低限の事務的な会話のみだったが、これといった問題もなく、喧嘩も起こらなかった。
問題なく旅ができていたのは旅慣れしているガルドやセリカ、アルカがいたからだ。ダンも野宿の経験はあった。旅をしたことがないのはメイやエレナだけだったのだ。
そんな感じで回り始めていたそんな時だった。
パーティーメンバーの仲が悪いのがさらに悪化した。
発端はメイの旅の不慣れである。
元々、彼女は研究者でインドア派である。実戦もあまり経験したこともなく、初めての経験ばかりであった。それでも一切弱音を吐かなかった。
そんな時、いつも気を張って、精神的にいっぱいいっぱいだったメイを見かねたガルドが気を紛らわすために軽くからかったのだ。
だが、精神状態が不安定で限界だった彼女には逆効果だった。最悪の事態になり、ただでさえいいとは言いがたい空気がさらに険悪になった。
ダンはそんな諸悪の根源であるガルドを睨み、セリカですらも白い目で見た。エレナはそんな空気を何とかしようとしたが空回りし、無意味だった。むしろ悪化する可能性があるので、アルカがさりげなくやめさせた。
仲間に非難の目を向けられ、さすがのガルドも謝ったがもはや事態は手遅れだった。
ちなみにエレナもメイと同じく旅をしたことがなかったはずなのに、初めての体験に興奮し、興味津々だった。そして素直で純粋な性格だったためか、なぜか順応した。
何だろうね、この空気とアルカは心の中でぼやく。
そんな過去最悪の空気にアルカは泣きたくなった。
えっ?魔王討伐?無理なんじゃないかな?
あはははと渇いた笑みを浮かべ、遠い目をする。もはや諦めの境地にいるアルカだった。
そんな時にゴブリンに襲われた村に着いたのだ。