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第二話 選定と選抜

まだ旅に出ません。

もうしばらくお待ちください。

「相変わらず余所者には冷たいわね」

この容姿が彼らにとって異端であるとわかっているが、あまり気分のいいものではない。

あの後、神との約束を守るため、神殿に向かい、そこで勇者だと認めてもらうまでにいろいろとあった。

「まぁ、こんな小娘が勇者なんて信じたくないんでしょうね」

おまけにこの容姿だしとアルカは呟く。

人々の希望が私では不安なのはわかる。だが、神が私を勇者と選定し、認めた以上、神殿がどんなに信じたくなくても事実は変わらないのだ。それなのにごねる。

「面倒だわ。やっぱり断れば良かったかも」

『そんなこと言わないで!』

唐突に聞き覚えのある声が頭に響いた。

『お願いだから魔王討伐してください!』

あの夢の中に現れた青年の声で、その声はもはや嘆願に近かった。

「わかってます。引き受けたからにはちゃんとやります」

『ならいいけど…。僕もここまでひどいとは思ってなかったな…』

「魔王討伐どころじゃないですね。これでは先が思いやられます」

『…………一応、こっちでも手を打っておくよ』

「お願いします」

さて、どうしたものか…。

一番手っ取り早いのが力を示すこと。いや、結果を出したほうがいいか…。

「はぁー…、問題は山積みだし、前途多難だね」


「勇者が現れた?本当か?」

訝しげな声が部屋に響く。

ここは大陸の中でも大国の王の執務室である。今回の魔王討伐は国力があるこの国が主導でやることになっていた。

「はい!」

「現れるのはまだ先だと思っていたが…。まぁ、いい。その者についてわかっていることは?」

「それが……」

報告していた者は口を濁す。

「どうした?」

「白髪に赤い目をした少女だそうです」

「はっ?」

「名前はアルカ。歳は14。家族はいません」

「……まだ子供ではないか」

「一応、成人はしていますが」

この時代の成人は13歳である。戦争で寿命が短いために必然的に早いのだ。

「……間違いなく勇者なのだな?」

「間違いありません。神託があったようです」

「そうか…。では、勇者の周りを優秀な者で固めるしかないな。選抜は終えているな?」

「はい。今は交渉をしております」

「どのような者達だ?」

「今のところ、近衛騎士のダン、傭兵のガルド、宮廷魔術師のメイ、宮廷薬剤師のセリカ、神官のエレナを予定しております」

「神殿からも人を出すとは」

これには国王も驚いた。想定外である。

「それだけ今回の事態を重く受け止めてるということでしょう」

「これだけの精鋭揃いなら大丈夫か…」

「かと思われます」

「うむ、彼らに期待するしかないな」


選抜された勇者のパーティーメンバーは5名。

近衛騎士のダン。

彼は剣士である。貴族の次男でありながら卓越した剣術で近衛騎士にまで上り詰めた実力者だ。

真面目で努力家のため、周りの評価も高い。また素直で純粋な性格なので先輩方から可愛がられてる。

選抜された理由はずば抜けた剣の技量を持つからだろう。

傭兵のガルド。

彼は戦士である。数多くの戦場を渡り歩いて来た百戦錬磨の強者である。

大雑把な性格で、一言で言えば豪放磊落。またかなりの酒豪でもある。

選抜された理由は豊富な経験を持つからだろう。

宮廷魔術師のメイ。

彼女は魔術師である。最年少で宮廷魔術師になった天才である。

口が悪く、かなりの毒舌家なのが欠点である。

選抜された理由はあらゆる魔法を修め、ずば抜けたセンスと技術を持つからだろう。

宮廷薬剤師のセリカ。

彼女は遊撃である。森のことなら何でも知っており、薬草や罠、偵察など何でもこなす実力者だ。

ただ基本無口である。必要最低限しか話さない。

選抜された理由はそのサポート能力を買われたからだろう。

神官のエレナ。

彼女は治癒師である。治癒や強化といった補助を得意とし、特に治癒魔法は神官の中でも随一である。

穏やかな性格であり、神殿でずっと育ったために世間知らずで天然である。

選抜された理由は治癒魔法の随一の使い手であり、神殿からの推薦があったからだろう。

そんな5人の選抜者と勇者アルカは魔王討伐の旅に出る。5人ともかなりの実力者だが、それゆえに個性的な性格をしており、非協力的だった。


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