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第十四話 メイの弟子入り

今度はメイです。

アルカが使った魔法の話が少し出ます。

「話してるところ悪いんだけど、昨日のあれ何なの?」

メイは勇者とダンの会話に割って入る。

「あれ?」

勇者は首を傾げる。

「魔法よ!使えるなんて聞いてなかったんだけど!」

「使えるって言ってませんからね。使えないとも言ってませんけど」

最後の言葉にイラッときたが抑える。

「そういうことは初めに言っておきなさい!何で今まで使わなかったのよ!?」

「使うまでもなかったからですよ。魔法を使わずにどこまでいけるか試してたんですけどね〜。さすがにあの数のオーガ相手には使わざるをえませんでしたけど」

「…………無詠唱、しかも呪文すらなく発動だったけど何で?」

「厳密に言うと、私とメイさんが使っている魔法は少し違うんですよ」

「違う?」

「はい。まず私はエーテルを使って発動しています。メイさんはマナですね」

「……つまり私が使ってる魔法とはまったくの別物ってこと?」

「そうなりますね。正確に言うと精霊魔法の一種です」

「精霊魔法?それってエルフが使える魔法でしょう?」

「はい、そうです」

「……何であんたが使えるのよ?」

「確かにエルフが得意としている魔法ですが、エルフだけが使える魔法っていう訳でもありません。別に人間でも使えますよ」

実際、私は使えますしと勇者は付け加える。

「私でも使えるの?」

「使えなくはないですが…、難しいですよ?」

「でも、あんたは使えるんでしょう?」

「私の場合は特殊ですから例外ですよ。精霊魔法を使うには適性と相性が必要ですし、特に私達人間には難しいですから」

「人間には?」

メイはそこに引っかかった。

「そうです」

勇者はにっこりと笑ってそう言った。

「……とりあえず私でも使える可能性はあるのよね?」

「可能性はあります」

断言したってことは本当に使える可能性があるのだろう。やってみる価値はあるか。

精霊魔法は他の魔法系統とは違って特殊である。誰でも簡単に使えるものではないからだ。一番の特徴は無詠唱の発動が簡単にできること。だが、人間が習得するのは難しいため、使える者はほとんどいないのだ。ではなぜ人間には難しいのか。人間は感受性が低いからである。

「なら精霊魔法を私に教えてちょうだい」

これでもかなり譲歩した言い方である。今までの言動からでもわかるだろう。

メイの弱点は詠唱である。もちろん無詠唱もできるが、その分威力が落ちる。また魔法を発動する時にどうしても一瞬隙ができる。発動するには集中力と呪文が必要でその時間が生死を分けることもある。そう、土の壁を一瞬で発現させ、ダンの危機を救った、あの時のように。

あれを目にしたメイは矜持とかそんなものは捨てて強くなるべきだと思ったのだ。

「教えを請う者は基本断らないのよね?」

「はぁ、そうですが」

「じゃあ、よろしく」

こうしてメイはアルカに弟子入りした。


「…………これは何だ?」

ガルドは目を覚ましたが、繰り広げられてる光景に唖然とする。

「ダンとメイがアルカに弟子入りした」

セリカは簡潔に答える。

「そうか…」

これは夢だな。うん、そうに違いない。

昨日浴びるくらいに飲んだからな〜。飲みすぎたか…。

「はい。ガルドさん、どうぞ」

エレナから飲み物を差し出され、受け取る。

一気に流し込む。

「……夢じゃねぇのか…」

「夢じゃない。現実」

またセリカから簡潔に言葉が返ってくる。

「何がどうなってこうなった…。俺が寝ていた間に何が起こった…?」

「ガルドがぐーすかと寝ている間にかくかくしかじかがあった」

セリカがこれまでの経緯を話す。

「……なるほど、それはまた…」

嫌みが込められてるのを感じたが、とりあえず言いたいのは

「何でだ…。何で俺じゃねぇんだ…」

結構ショックである。

「ガルドとは戦闘スタイルがまったく違うし、アルカのほうが強いから」

「……んなことは知ってるわ…」

正論を返され、ガルドは膨れた。

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