プロローグ
初投稿です。
未熟ですが、頑張りますのでよろしくお願いします。
「こんな所にいたのですか」
部屋に入って来たのはメイド服を着た黒髪に漆黒の目の少女だった。
「うん?まぁね」
白髪に赤い目をした少女は絵画を見ていた。
「マスターが勇者だった時の絵ですね」
メイド服の少女は白の少女の隣に立ち、その絵を眺める。
「夢で見てね…。久しぶりにこの絵見たけど懐かしいな」
少女は遥か昔のことを思い出すように目を細める。
「この頃はまだ比較的まともだった時代ですね」
「うわっ、ひどいな〜。今でも十分まともだよ」
「どこがですか。まともな人なら魔王になりませんよ」
「…………」
言い返す言葉もないため、少女は沈黙する。
「まぁ、マスターが勇者だったと聞いても何の違和感を感じませんけどね」
「そう?かなり昔の話だから今とは結構違うと思うよ?あの時は若かったからね〜」
しみじみと呟く少女の姿は見た目に似合わず、それなりの年月を感じさせていた。
「その時はまだ生まれていないので記録に残っている話しか知らないのですが、何をやらかしたんですか?」
「えっ?何かやらかした前提!?」
「マスターのことですからそれはもうありえないと思われるようなことをきっとしているのでしょう」
「えっ?何か難易度上がってない?そんなたいしたことしてないよ?普通に旅して魔王討伐しただけだから」
普通に旅をして魔王討伐したという時点でおかしいことに少女は気づいていない。
じとーとした目で見られた少女は弁解する。
「何よその目。本当だって。当時は今と違って普通の人間だったし、弱かったんだから!」
「聞いた話によるとそんな風には思えないのですが」
「どんな話を聞いたの!?…まぁ、かなり昔の話だから誇張されてる部分もあるだろうね。せっかく、この主人公の勇者である張本人の私がいるのだから語ろうではないか」
ふふんと少女は自慢げに胸を張る。
「そうですね。その当時のマスターのことを知りませんし、ぜひとも聞きたいです」
「では、まず、当時の情勢について説明するとしよう。簡単に言うと動乱の時代。国が乱立して荒れ、度重なる戦争に国も民も疲弊していた。そんな中、一時的に平和になった時代に私は生まれたのです!」
教師風に説明する。
「わー、パチパチ」
無表情でメイドは拍手する。
「超棒読み!もっとこう何かさー…!……まぁ、いいけど…」
前と比べたらだいぶノリ良くなったしと少女は呟き、話を続ける。
「まぁ、この通り珍しい容姿だったのでちょっと特殊な環境で過ごし、14歳になった時!」
「ちょっと待てー!特殊な環境って何だ!いきなり14歳って飛びすぎだろ!相変わらず突っ込み所満載だな!」
いつの間にか隣にいた青年が突っ込む。
「ブラッドじゃん」
「おう、近くを通りかかってな。話が聞こえたから来たんだ。俺も興味あるな、お前の勇者時代」
その時はまだ会ってないしなとにやりと笑う。
「まぁ、いいけど」
咳払いをし、話し始める。
「私が14歳の時に神託があったのです」
ここから勇者アルカの物語は始まるのだ。