「ホルムズ海峡封鎖」している状況で「ガソリン補助金」は妥当なのか?
◇補助金が無ければガソリンはいくらになっているのか?
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回はホルムズ海峡の状況が不透明な今の状況で「暫定税率廃止+補助金」は妥当なのか? について個人的な意見を述べていこうと思います。
質問者:
補助金が無ければ一体どれぐらいのガソリン価格になってしまいそうなんですか?
筆者:
現状(3月31日現在)、どれほどの補助金が出ているのかについてみてみましょう。
26年3月18日に政府は1週間のガソリン小売価格が1リットル200.2円になる見込みとし、30.2円の補助を決め、
25日には向こう1週間のガソリン小売価格が1リットル218.1円になると見込み、それと170円との差額であるリットル当たり48.1円の補助を決めました。
つまり、現在は全国でおおよそ1リットル170円前後だと思うのですが、補助金なしでは218円前後だという事です。
しかも、ガソリンの暫定税率廃止後にこの水準なのですから、暫定税率(25.1円)が仮にあるとするのなら243円ほどだったと思われます。
質問者:
筆者:
ただ気になるのがこれが「平時」であるとするのなら国民の物価高のためにこの補助金は必要な措置であると思うのですが、
現在が「有事」に限りなく近い状況だということです。
ホルムズ海峡の事実上の封鎖というのは続いておりまして、今後の原油の確保について全く不透明な状況です。
戦争の状況もどうなるか分からず、僕は長引く可能性もあるとかこのエッセイで触れました。https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3093595/
現状原油には民間と政府備蓄合わせておおよそ250日ほどの備蓄があるとのことですが、それが尽きた場合は「物流の全てが止まる」ことになるのです。
ナフサは備蓄20日で精製を合わせて120日分、ヘリウム(主に医療用)に関してはもう厳しいと言われています。
原油の備蓄が無くなる前段階から徐々にあらゆるところでホルムズ海峡封鎖の影響は出てくることでしょう。
質問者:
しかも茂木外務大臣は「ホルムズ海峡における全ての船舶の航行の安全確保が、国際社会全体にとって喫緊な課題」として日本だけの通航を求めないという話みたいですからね……。
筆者:
イランは3月23日の時点で交渉次第で通っていいとしているのに、長年の友好関係すらも活かすことが出来ないのは本当に愚策としか言いようがないですね。
しかも、ウォール・ストリート・ジャーナルの3月30日の記事では、
「ホルムズ海峡封鎖状態のままでも軍事作戦が終了することはあり得る」とまで発言しているわけです。
そうなると、なおさら今後は各国の交渉能力が問われてくるであろう状況下で呑気なことを言っていられる場合ではないと思うんです。
質問者:
他国との協調と言うと聞こえは良いですけど、日本は原油自給率0.3%ですからね……。
◇原油を理由に「憲法改正に活用」される
筆者:
「憲法改正できないと原油確保できないよ?」という強迫的なことを国民に対して行いたいのかもしれませんね。
しかし、今回の原油の調達に関しては憲法改正とかと関係なく交渉をイランと個別に行うか否かの問題なので全く関係ないと思うんですけどね。
むしろ、自衛隊をホルムズ海峡に派遣していたなら「アメリカと日本は一体」とみなされ、イランは頑なになり原油が入らなくなる可能性は上がると思います。
憲法改正を行ってもアメリカに対して派兵を断ることが出来る交渉力を持ち、なおかつ原油を確保する方法を考えることが本来あるべき姿なのかなと思いますね。
質問者:
日本国民を守るための憲法改正ならともかく、アメリカの言いなりにやる要因になっては意味ないですからね……。
筆者:
本筋とは異なるので短く終わらせますが、現状の自民党憲法改正案の特に緊急事態条項では憲法裁判所や罰則規定などのブレーキ能力は皆無なものなので断固反対ですね。
話しは戻りますが予算でのガソリン補助金は追加上乗せは行われなかったので、
恐らくはガソリン補助金予算が尽きるまで続けるという形なのでしょうね。
ちなみに政府はガソリン補助金の予算を1兆800億円程度確保していますが、
48.1円の補助金が今後も続く場合には、1日当たりの補助金額は136億円となり、予算が底を突くのは6月上旬(6月8日頃)となるそうです。
勿論補助金額がこれより引き上げられるようになるのであれば予算が尽きるのはこれより早まることが予測されます。
質問者:
たった2か月ほどで1リットルあたり200円越えという事ですか……。
筆者:
ただ、予備費などを投入すれば追加で措置を続けることも可能なようなのでどこまで続けるかは政府の匙加減次第だと思いますね。
これは「原油確保が難しくなる」という判断がどの程度のところでなされるか次第だと思うのですが、
いよいよ入らないことが確定ともなればむやみやたらに補助金を投入して無理やり価格を下げることはむしろ「ガソリンがゼロになるXデー」を早めるだけになります。
◇ガソリン補助金の「闇」
質問者:
供給が不透明な情勢だと補助金をむやみやたらに投入するのも考えものなんですね……。
筆者:
そもそもの話として「ガソリン補助金」というのは「効率が悪い」んですね。
暫定税率25円ほどを1年間下げるための予算としては1.5兆円ほどになりました。
しかし、今回50円近くを引き下げる必要があるとはいえ約2か月で1兆円が消化されてしまうんです。減税の2倍以上の非効率さがあると言って良いでしょう。
質問者:
確かに、効率が随分悪い気がしますね……。どうしてなんでしょうか?
筆者:
マネーポストウェブの記事 https://www.moneypost.jp/1384276 では30円補助金の段階で13円しか実は価格下げ効果が無かったことが分かっています。
これは補助金分を石油元売り会社が卸価格に全額反映させず、一部を自社の在庫評価益の補填や利益の積み増しに留保したとしても、外部からそれを検証・是正する強制力は働くシステムが全く無いためです。
質問者:
そもそもどうして全国のガソリンスタンドに直接給付しないんですか? その方が直接効果が見込めるような……。
筆者:
これは、石油元売り企業が全国で10社ほどしかないのに対して、ガソリンスタンドは全国に2万8000店舗ほどあるために、これらから補助金申請を受け付けるだけで各役所がパンクするからです。
ですが、2022年の石油元売りへの補助金の際には各社が「過去最高益」を叩き出し、その後も堅調な利益を出し続けています。
つまり、「補助金を餌」に利益をたたき出し続けていると言っても過言では無いのです。
そして、石油連盟は25年は自民党に対して5000万円の献金をしています。
これら「利益相反」とも言っていい関係が政策を歪ませているのです。
各社も出しているでしょうから億単位の献金とは思いますけどそれで何千億も利益が業界で出るのなら安いものでしょう。
質問者:
効率の観点から石油元売りに補助金を出すまでは良いですけど、不当に利益が出ていないか監視する方法が無いというのは問題過ぎますね……。
国民の生活ための補助金なのに、利益を出すために使われているようなのは納得がいきません……。
石油元売り会社への補助金は国民への支援の間接的な存在に過ぎないのに……。
筆者:
石油元売りが儲かるようにするために「敢えて不備の制度を放置」しているんでしょうね。
不備があるのならそれを利用するのが営利企業としては当然なので、国側の制度に大いに問題があると言えるでしょう。
「財源」とか言う前にこういう非効率なところを是正するか引き下げ額を増やす方法をとることの方が大事だと思いますけどね。
国民の役に全く立っていないわけでは無いので完全にやめろと言いにくいのがこのやり方の汚いところだと思います。
質問者:
やはり企業献金が日本を悪くしている印象がありますね……。
石油元売りさんに補助金を出す以外ではどのような方法が考えられますか?
筆者:
国民は物価高に苦しんでいます。とはいえ、ガソリンに関しては暫定税率を廃止したために減税をすることは難しくなっています。
そのために、社会保障減額又は現金給付――若しくはその両方を行うことによって国民の生活を支える方策を考えるべきでしょう。
ガソリンの補助ばかり過剰に行ってもガソリン車を使っていない人にとっては間接的にしかプラスにはなりませんからね。
質問者:
むしろ、供給が安定するまではガソリンはある程度上がってもらって「車は節約」の方向性の方が長く持つかもしれませんね。
筆者:
ここら辺は少しずつバランスを取って全てやるぐらいがちょうどいいかもしれませんね。
安倍政権の時の国民への10万円一律給付には12.8兆円がかかりました。
石油元売りへのバラマキが2ケ月で1兆円ほどかかるのなら5万円ぐらい給付して物価高対策に自由に使ってもらうといった政策の方が望ましいと思いますよ。
ですが自分とお仲間だけが潤う政策をやりたいのが自民党の根源にはあると思うので、
中々実現はしないでしょう。
これらの「全自動中抜きシステム」を指摘していき、自民党政策の穴をその都度追及していく他無いと思います。
という事で今後もこのようなあまり報道されないような政府に不都合な情報を共有し、皆さんに考える機会を提供していこうと思いますのでどうぞご覧ください。




