騎士団【カフェサイド】
一方、同じ騎士団が侵入していたカフェでは…
「レイナ!大丈夫か!」
カフェの店主の大きな声が響いた。
「大丈夫です!」
レイナは元気に返事をし、店主へ笑顔を見せた。
◇◇◇◇◇
少し時を二時間ほど遡る……
騎士団が侵入してきた際、騎士団特有の剣を下げている音がカチャカチャと鳴り、それに気がついたカフェの従業員達はホウキやらフライパンを持って一斉に飛びかかった。
このカフェでは朝早くから夜遅くまで営業している為、従業員はカフェの上にある部屋で寝泊まりしていたのだ。
いくら騎士団とはいえ、慣れていないカフェの店内(正確にはカフェの上にある部屋)で暗闇だったので一斉に飛びかかられてうまく反応出来ず、ぼこぼこにされていた。
カフェに侵入している騎士団のなかで騎士団副団長であるラルフは他の団員とは別に行動していて、彼は真っ直ぐにとある部屋の前まで来ていた。
その部屋はレイナの部屋。
ラルフはそっとドアを開け中に入る。
レイナはベッドで横になって眠っている様だった。
(申し訳ありません)
ラルフは心の中で謝りレイナを抱えて連れ出す為に布団に手をかけた。
次の瞬間!
バサッと音と共に布団がラルフ目掛けて飛んできた。ラルフは咄嗟に剣を抜き布団を切った。
……ベッドにレイナがいない!
とラルフが思った瞬間後ろから衝撃がきた!
いつの間にかレイナがラルフの後ろをとり、思いっきり蹴られたのだ。
しかし寝間着を着ている女性の蹴りなのでなんとかラルフは倒れることなくその場に踏ん張った。
「待って下さい!話を聞いて下さい!」
ラルフは声をあげた。
「深夜に女性の部屋に侵入する男性の言葉なんて聞きたくありません!」
そう言うとレイナは地を蹴り飛び上がって回し蹴りを繰り出した。
「なっ!!!」
ラルフは女性であるレイナから反撃されるとは思っておらず慌てて防御の体制をとったのだが、レイナの回し蹴りは予想を遥かに越えた威力で、防御の体制のままラルフは壁まで飛ばされてしまった。
「ぐはっっ!!」
(な……なんてことだこんな細い女性からの回し蹴りで壁まで飛ばされてしまうなんて!)
内心ショックを受けているラルフだったが、レイナからの攻撃は止まない。
一気に距離を詰められ、拳のラッシュ!
避けたり防御しながら耐えていたが、
(なんとか攻撃をやめてもらって話を聞いてもらわないと!だが……どうすれば……)
ラルフが思案していると
「考えごとなんて…余裕見せてると…‼」
とレイナが言い、急に視界から消えてしまった。
「!!!」
気がつくとレイナはラルフの目の前に身をかがませながら近づいてきていて、右手を捕まれた。その後また蹴りがくるかもとラルフは思っていたがそうではなく、レイナは体を反転させ右手を担ぐように両手で掴み引っ張り背負い投げをされた。
見事な1本背負い。
ラルフは投げられるとは思わなかった為、そのまま前に倒された。
(つっっ!!なっ…なんだこの技は!?こんな細い女性のどこにそんな力が...)
ラルフは起き上がり声をだそうとしたが、まともにくらってしまった為背中を強打してしまい動けないし、声がだせない。
この隙にレイナは近くに置いてあったカーテンを縛っていた紐を使いラルフの腕を縛った。
「よし!」
手をパンパンと払いレイナは仁王立ちした時、冒頭の店長の声がかかったのだった。
~国の破滅まで、あと2日~